2011年8月24日

Yesterday, Today and Tomorrow


今夜は新しき相棒、GUILDの歴史を紐解いてみよう。
私と同じ1952年にニューヨークで産声を上げた小さな楽器メーカーは、正にTrue American(真のアメリカ)と呼べるほど、いつしか多くのミュージシャンから愛されるようになった。

私が5月に購入したのはフェンダーメキシコ工場(1995年フェンダーに買収された)で作られた物だが、実は以前からロードアイランドのウェスタリー工場で作られたD-25という旧いモデルを持っていたのだ。それを敢えて手放してまで現行のニューモデルと替えてしまったのは、メキシコ職人の丁寧な作りとボディの軽さ、それに加えて音離れの良い鳴りっぷりからだった。


Gibsonもそうであるように、マホガニーバックのボディには音をパラパラと分離させる良さがある。重すぎず軽すぎず、ザックリとビートを刻む私には好都合な響き具合なのであり、おまけに私の歌の基本とも言えるローコードのGが実に心地好く鳴ってくれることも決め手となった。
ただしその音色だが、決してMartinのような洗練された美しさではない。むしろ野暮ったくそして野太い。表現は難しいが、Gibsonの音をそのまま大きくして膨らませたような、と言えば分かり易いかも知れない。
いずれにしても、今は良い関係を保っていられる。私の歌のいずれにも、いい感じで寄り添ってくれるのが有り難い。そんなGUILDの、始まりから現在に至るまでの物語・・



「Yesterday, Today and Tomorrow」

1952年10月24日、元プロ・ギタリストで楽器店オーナーのアルフレッド・ドロンジと、エピフォン・ギターの副社長であったジョージ・マンが組んで、ニューヨークのマンハッタンに会社を設立した。それがギルド・ギター・カンパニーの始まりである。実はこの時期には、ニューヨークで栄華を誇っていたエピフォンも経営難に陥っており、ギブソン社との合併話が進んでいたのだが、それを良しとしないジョージ・マンが、それに対抗しうるメーカーを作ろうという信念の下、エピフォンの技術者を連れて独立したのであった。すなわち、1957年にギブソン社がエピフォンを買収した時点でギブソンが引き継いだのは、エピフォンというブランド・ネームであり、技術はギルドに引き継がれたという訳である。


ギルドの歴史は、ニューヨークの一角の40坪ほどの小さな工場から始まった。ニューヨークに数多くあったジャズ・クラブに集まる、ミュージシャンからの情報を製品に反映させるという手法でギルドは順調な滑り出しをした。しかし翌1953年、共同経営者であったジョージ・マンが退社、ドロンジは技術陣の要として、新たな力を探さねばならなくなった。ドロンジの尽力の結果、グレッチの職人であったギルバート・ディアズ、アルゼンチン在住のスペイン人ギター職人カルロ・グレコ、さらにフィニッシュのスペシャリスト、フレッド・オーガスト等が集められ、その後のギルドの技術はさらに磨かれていくことになる。

順調に業績を伸ばし続けていったギルドは、1956年に工場拡張のためニュージャージーに移転、同年にギルドの名を世界に知らしめた名器、ジョニー・スミス・モデルを発表する。このギターはジャズ・ギター界の巨匠、ジョニー・スミスとのコラボレイトによって完成しているが、後にはアーティスト・アワードの名でも知られる(現在でもジョニー・スミス・アワードの名で製造され続けている)。また同様にジョージ・バーンズやデュアン・エディ等、多くのトップ・ミュージシャンからの信頼を得て、彼等のギターを作り続けていった。

1960年代、ジャズに代わって隆盛になったポップ、ロックの波を捕え、ギルドはソリッド・ギターを発表、さらにポール・サイモンに代表されるフォーク・ムーブメントに対応して、ポール・サイモン・モデル等のアコースティック・ギターもさらに磨きがかかっていった。ギルドの発展によって、ニュージャージーの工場ももはや手狭となり、1967年にロードアイランド、ウェスタリーに工場が移転され、ニュージャージーには本社オフィスが残された。ドロンジは、このオフィスと工場との行き来に自家用飛行機を使っていたが、1972年5月3日、墜落事故により帰らぬ人となってしまう。

ドロンジの死はギルドに大きな痛手を与えたが、ギルドを愛用するポール・サイモン、エリック・クラプトン、リッチー・ヘヴンス、ジミ・ヘンドリックス、ラヴィン・スプーンフル、バディ・ガイ、マディ・ウォータース、ハウリン・ウルフ等、多くのミュージシャンに支えられ、1990年代のアンプラグド・ムーヴメントを受けて現在に至っている。
1995年、フェンダー社がギルドを傘下に収め、ギルドの経営基盤を支えることになった。


http://www.fender.jp/guild/history/ 「Yesterday, Today and Tomorrow」より抜粋


現在のところ、フル・ステージでのライブはお休みしている。
毎年恒例でもある10月8日のバースデー・ライブまで予定は全く無い。
待っているのだ、体が歌を欲する時を。
私のようにギター・プレイヤーでもなく、本職のシンガーとも言えない人間の場合は
肉体と魂が上手くマッチングしなければ歌として成り立たなくなるものだということを痛感している。
それはひとえに「己を救うための」歌だから。
私がハッピーにならない限り、その歌は聴く者たちを退屈なものにしてしまう。
歌ってのは、そんなもんだ。
決して流されてはいけない、そう思うんだよね。
GUILDを携えて皆の前に現れるのが楽しみで仕方ないけれど、
今は待つのみ。歌を欲する瞬間を、ただ待つのみ。





0 件のコメント:

コメントを投稿