2022年4月29日

忠さんへ

忠さん、あなたは私にとって

五人目のはっぴいえんどだったんですよ。

1stアルバムで一番好きだったのが

この「機関車」と「からす」だったのも

ほぼ同じタイミングでリリースされた

はっぴいえんどの「風街ろまん」と

全く同じフレーバーだったからです。


アメリカンポップスを愛した大瀧さんは福生へ

土の匂いに拘った細野さんと忠さんは狭山へ

それぞれが米軍ハウスへ移り住み

数々の名曲を生み出した時代に

自身のバンド名を自虐的に

フォー・ジョー・ハーフ(四畳半)としたり

あなたの放つ都会的な洒落っ気が好きでした。


それはアルバム「HORO」で更に磨きがかかり

You Gatと歌う「ゆうがたラブ」のリフや

Horoと歌う「ほうろう」のリフが

とても新鮮に、心地好く耳に入って来たものです。


そして衝撃的だったのは「機関車」のアレンジでした。

カントリーフレーバーだったオリジナルが

「HORO」ではR&Bに曲調を変え

サビのメロとコードをマイナーに変えたことによって

(目が潰れ 耳も聞こえなくなって それに手まで縛られても)

この歌詞が途轍もなく強いものになったからです。

75年、この時に受けた衝撃は今でも忘れられません。


冒頭で「五人目のはっぴいえんど」と表現したのは

エイプリルフール絡みの人脈であることに加え

アメリカンミュージックを日本の風土に合わせて

品種改良に貢献した(日本語で歌う)一人だったからです。


忠さん、あなたは私にとっていつまでも

「五人目のはっぴいえんど」であり続けることでしょう。

私がそちらへ行ったとき、また歌を聴かせてくださいな。


忘れものは もうありませんねと
機関車は走るのです
君はいつでも僕の影を踏みながら
先へ先へと走るのです

目がつぶれ
耳も聞こえなくなって
それに手まで縛られても

「機関車」




2022年4月18日

そんなわけで「ドライブ・マイ・カー」

 

家内が持病持ちで、ここ数年は街中へ出たことがないので

私が例のやつに感染してしまうと大変なことになりますから

自粛という名目で外食や外飲み、果てはライブに至るまで

繁華街へ出掛けることを避ける生活が未だに続いています。

私はどちらかというと引き篭もり気味の性分でしたから

それをさほど不便には感じませんでしたが

評判の映画が上映されても観に行けなかったのがちょっとね。


そんなわけで「ドライブ・マイ・カー」も

U-NEXTの無料トライアルを利用して

今日ようやくNETで観ることが出来ました。

およそ3時間の長い作品ですが

熱くもなく冷たくもなく、淡々と流れる時間を

サーブのシートに座って眺めているような感覚で

現実と背中合わせの非日常的な世界と舞台を

行ったり来たりしながら、つい見入ってしまったのは

やはりキャスティングの妙もあるのでしょうか。

三浦透子さんはさすがの存在感でしたけど

霧島れいかさん、そしてパク・ユリムさんも凄かったですね。


私、日本映画で一番気になるのが声の大きさだったんですが

どの作品もレベルをかなり上げないとほとんど聞き取れませんし

台詞が聴こえないほど小声の作品が多いのは何故なんでしょうね。

それと全体的な映像の暗さも好きじゃありませんでした。

いわば、真っ暗闇に近いシーンと息を殺したような喋り方

これが延々と続くのが日本映画の特徴だと思ったくらいです。

その点でも、淡々と一定の声量と棒読みで喋る演出と

暗くなりすぎない映像は好印象でした。


ひとつだけツッコミを入れたくなったのが

原作には無い後半の北海道へと向かう下り。

時間をかけて丁寧に構築されたそこまでの流れが

唐突に、やや乱暴で雑味なものに変わってしまったのが残念です。

季節柄、予めスタッドレスを履いていたとしても

広島から来て、そのまま冬の中頓別を走るのは無理があります。

しかも、旧いサーブ900ターボで。


その昔、サーブは私も好きな車でした。

バブル期にちょっとしたブームもあって

割と頻繁にそこいらで見かけたものです。

けれど、日本の夏の過酷さには耐えられなかったようで

高速の路肩にオーバーヒートで止まっていたのは

ダントツでサーブの確率が高かった記憶があります。

高温多湿の日本の夏は外車にとって過酷すぎますからね。

なので、一度も乗ることなく終わってしまいました。


もしかすると、主役がサーブ900ターボだったというのが

この映画を3時間も観ていられた最大の要因なのかもしれません。

そしてハンドルを握っている時のエンジンやサスの感触、

それらが無ければ生まれない発想やイメージがあることを

強く共感したからなのかもしれません。



2022年4月11日

あたしのこと、父ちゃんのこと、家族のこと


ここ2週間ほど、やたら元気です。

ご飯も日に30gほどは食べるようになったので

以前より少しだけ肉付きが良くなりましたし、

なんと言ってもチャームポイントの眼ヂカラ復活が嬉しいです。

完治するのは難しい病気ですけど

ほんの少しだけ安心できる程度には回復しました。

今日、先生と相談して

点滴の間隔を2週間くらいにすることにしましたので

通院のストレス緩和にもなるかと思います。

以上、心配されてた方々へ本人からの近況報告でした。(たー)


ついでに父ちゃんの話をします。

カムカムが終わった後、心はまだ岡山と京都にあるようです。

この分だと、沖縄へは暫く行けないでしょうね。

今朝、ほんのちょっとチラ見する程度に

チムチムエブリバディ(ちゃうて!)の感触を確かめたようですが

やっぱりつまんなそうな顔してました。

父ちゃん曰く、フツーの朝ドラに戻っちゃったと。

たぶん、半年間ずっとチラ見を続けるんでしょうね。

父ちゃん!料理番組だと思えばいいんだってば!(たー連投)


もひとつついでに。

双子のお孫ちゃんがこの春から小学生になったそうです。

でっかいランドセルが初々しいですよね。

毎日楽しそうに通ってるんですって。

いいなあ、人間は。

あたしも学校行きたかったなあ。。(たー三連投)

以上、本日はたーにゃんによる寄稿でした。



2022年4月10日

私なりの朝ドラ考

 


大阪局の朝ドラの歴史には本局との壮絶な戦いがありました。

「純と愛」で大阪局が派手に転けた翌年から始まったのが

「あまちゃん」⇨「ごちそうさん」⇨「花子とアン」⇨「マッサン」と続く

東京と大阪局の(ん)で終わるタイトルの攻防戦であり

それはいずれも見応えがある良い作品の目白押しとなりました。


その後「まれ」の不人気で東京局が失速してしまいましたが

その秋の「あさが来た」の成功によって大阪局は面目を保ちました。

大きな失敗作となった「純と愛」以降は大阪局に名作が多いのです。

おそらく本局の大河に相当する熱量が朝ドラの制作に注がれているのでしょう。


タイトルに関して続けると、名作「ちりとてちん」を含め

「てっぱん」「カーネーション」「おちょやん」等々、

大阪局の(ん)で終わるタイトルに拘る姿勢は尋常ではなく、

地味でしたけど私が密かに好きだった「べっぴんさん」も大阪局でした。


総じて、わたし的には大阪局制作の朝ドラが毎回面白いと思う訳でして

その歴史の中でも極め付けである「カムカム」が終わってしまったことで

今なお余韻に浸りながらも空虚な日々を過ごさざるを得ないのです。

特に今回は制作と準備に三年も費やし、三部作構成とは言え

半年間に三本の濃厚なドラマが放映されたことになるわけですから、

私にとって、その喪失感は計り知れないものがあります。

この壮大な物語の制作は大阪局だからこそ成し遂げられたのであって、

時間と労力、膨大な費用が必要となる大河を抱える本局では

たぶん企画の段階から決して許されなかったことでしょう。


そんな大阪局の心意気を嬉しく思いながら

今日もまた、カムカム百年分の記憶の断片を拾い集めに

私は夢想と夢遊の旅へと出掛けて行くのでした。



2022年4月5日

おいしゅうなれ、おいしゅうなれ

 

書かずにいられません。

初回から最終週に至る全てが神回です。

これほど丁寧に作り上げられた朝ドラがあったでしょうか。

何処を切り取っても無駄が無いどころか

伏線としてあちこちに散りばめられたピースを

順々に繋ぎ合わせて回収してゆく藤本マジックは

こう来たかあ!と唸らせてしまうほど

精密で巧みな脚本に仕上げられています。

たとえば生きるか死ぬかの瀬戸際であっても

決して重くならず、どろどろした感触を抱かせないのも

藤本作品の特筆すべき点ではなかったでしょうか。

これはある意味、三谷幸喜さんの作風にも似ています。


そして毎回感心するのが現場の熱量。

役者さんの技量やセンス、カメラワークはもとより

先の展望を予感させる小物類をチラつかせるショットなど

どれも上手すぎて、数え上げたらキリがありません。

キャスティングも見事な人選だったと思います。

ここにも全く無駄が感じられず、ちょい役の登場人物に至るまで

ストーリーの核として成り立たせる手法はまさに神業です。

画面の中で、全員が意味を持ってそこに映し出されているわけで

もはやこれは朝ドラの範疇では語れないほどの名作と言えるでしょう。

三部作の途中から出演している深津絵里さんは素敵でした。

ただ一人オーディションではなくオファーだったそうですが

おそらく藤本有紀さんの意向なのでしょう。

彼女の存在が、中盤から現在に至るまでの軸となっています。

川栄李奈さんがのびのびと演技できるのも

母親としての彼女あってのことだと思います。


総じて、この作品のキャスティングは実に素晴らしい!

バイプレーヤーの全てが物語のツボに嵌まってます。

そう、誰しもが物語のピースとなって

家族の百年の営みを壮大に表現してくれたのです。

本当に、名作だと思います。

あと三話で終わってしまうのはとても残念ですが

半年間、いいものを見せて頂いたことに感謝します。

朝ドラ好きの私にとって、忘れられない作品となりました。

ありがとう、藤本さん。

ありがとう、全ての役者さん。

ありがとう、現場のスタッフ。

ありがとう、NHK大阪局。


ちなみに・・

豆腐屋のスーパーきぬちゃん、どうしてるかなあ。




2022年4月2日

私の四月

 


先日、大掛かりな配置換えを敢行した際は

4セットのモニターの内2セットだけ結線したのですが

その時の疲れもようやく癒えたものですから

置き具合を修正しがてら全ての結線を終えました。


改めてラインナップをご紹介すると

一番下で支えてくれてるのがダイヤトーンのDS-251で

その上に縦置きしてるのが東芝製の16Cmフルレンジ。

この2台がDAWのモニターとして活躍してくれます。


そして掟破りの横置き8Cmユニットのバックロードホーン2機種、

下がマークオーディオのOM-MF519で

上がスーパーツイーターPT20を追加したFostex M800です。

どちらも解像度が甘いためリスニング用として使用しますが

音の艶やバランス的にはFostexのセットの方が好みです。


軽くて薄いMDF材で作られたエンクロージャーなのに

このM800という(特殊な)ユニットとの相性が抜群で

低域の量感や弾み具合がとても良いんですよ。

数が増えすぎたんで何度か手放そうと思いましたけど

いやいや、手元に残しておいて良かったです。

刺激的な音が一切出ないんでBGMとしては申し分ありません。


明日は天気が良くないみたいですから

久しぶりにアナログ盤を聴いてみようかと思います。

私の四月は真っ赤な嘘をつくことも無く

桜を愛でることもないまま、淡々と過ぎて行くようです。


今宵のBGMはアンドレ・プレヴィン&ダイナ・ショア「パリの四月」

M800が奏でる音は、夜の空気に艶やかに響くんです。