2012年10月5日

土地の柄


北海道の実家へ戻って暮らし始めた旧い友人のBlogを読んでいて
うんうん、確かにそうだ。と、頷いてしまいました。

若い世代の方々の今の暮らしぶりは分からないのですが
あの地では、高齢者がストーブをガンガンに焚く習慣が昔からあるのです。
冬は勿論のこと、春先でも秋口でも、果てはちょっと冷える夏でも
寒いな、と感じると居間の大型ストーブのスイッチを入れます。
関東のヤワな家とは違い、断熱効果の高い住宅内のそれはかなり暑くなるのですが
長きに渡っての生活習慣のせいか、暑がる私を尻目に家主は平然としています。

氷点下20℃近くまで下がると、野外は痛いほどの寒さです。
ところが室内は暑いくらいで、真冬でも家主は薄着のまま暮らしているから驚きます。
私の父も晩年まで、寝床から「らくだの下着」のまま抜け出てくると
そのままの格好で勢いよくストーブを焚いていたものです。
寒いときでも厚着しようとはせず、ふだんの服装で暖かくなるまで焚くのです。
(私の父の冬の家着が、らくだの上下だったほどですからね)

幼少の頃は一緒に暮らしていたので、当たり前だと思っていたのかも知れませんが
しばらく遠ざかっていると異様な光景に驚いてしまいます。
冬が来る前でも、煙突に繋がった大型のストーブが赤々と燃えてるんですからね。
省エネなど眼中に無いくらい徹底していて、ある意味あっぱれで滑稽です。

その反面・・
私が中学生くらいまでの頃は石炭ストーブだったものですから
週に一度は煙突を全部外してススを抜く大作業「煙突掃除」がありました。
真冬の日曜の早朝、家の窓や扉全てを開け放っての極寒での過酷な作業です。
凍てつく北海道で朝の8時前から、防寒着を着込んだ父はそれを始めるのでして
寝起きでまだ体が温まってない私は泣きそうになりながら手伝っていたものです。
汗ばむくらいの室温と、真逆の外気と同じくらいの室温。
少年時代、冬はこの落差が嫌でたまりませんでした。極端すぎます。
やがて燃料が石炭から石油に変わり、煙突掃除の光景は見なくなりましたけどね。

今振り返ってみると、古の北海道民の営みはダイナミックなものでした(笑)
友人のBlogを見て、あれこれ想い出した光景に苦笑いしています。


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