2013年3月3日

オホーツクの悲劇

北国の冬は厳しいものです。
吹きすさぶ風と雪は、悪魔と呼びたくなるくらい凶暴に見えます。
桃の節句を祝う今日、痛ましい事故が起きてしまいました。

http://mainichi.jp/select/news/20130304k0000m040073000c.html

北海道オホーツク海沿岸の小さな町、湧別町での出来事は悲惨でした。
あと50m進めば民家が在ったというのに
それをさせないのが、荒れ狂い牙を剥く自然の脅威なのでしょう。
極限状態で一人娘をかばうように抱き抱え、北風を一身に受けながら守り抜いた
その父親の姿には頭が下がり、そして目頭が熱くなります。

地元の方々でさえ未だ経験したことのないような今回の冬の嵐。
台風並みに発達した低気圧は、容赦なく人間の暮らしに襲い掛かりました。
それは人類が築き上げた文明を嘲笑うかのように・・

色褪せた一枚の古い写真を今でも覚えています。
私が幼少の頃、家に有ったもので昭和初期のものかと思いますが
軒下から地面まで届く太い氷柱(ツララ)が写っていました。
当時の北海道の冬は、今とは比べ物にならないほど険しく厳しいものだったことが窺えます。
やがて家が増え、人が増え、文明の発達と共に氷柱も小さくなって行き、
車が普及すると人々は雪道を何処へでも行くことが出来るようになりました。
その便利さが、冬の恐ろしさを忘れさせてしまったような気がしてならないのです。

私の実家の前の道はバス通りで、今では綺麗に舗装されて広くなっていますが
昭和の30年代は周囲の家も数えるほどしか無い畑の中を通る砂利道でした。
平坦な土地でしたから、ひとたび吹雪になると吹き溜まりがすぐに出来てしまい
その路線バスが動けなくなって運転手が私の家に電話を借りに来ることが度々ありました。
父親と一緒にスコップを持って、大きなタイヤの周りの雪を掻いたことも記憶しています。
なんたって、他に民家は無かった時代ですからね。

北海道に限らず、北国で暮らす皆さま
どうか車の力を過信せずに、嵐の日は外出を控えるようにしてください。
命を落とされたお父様と、一人ぼっちになってしまった娘さんが不憫でなりません。

それにしても、
夏には沖縄近海で頻繁に台風が発生するようになり
冬には北日本の低気圧が台風並みに発達したり
地球の自然環境が狂い始めているのが気にかかります。

*

0 件のコメント:

コメントを投稿