2013年10月3日

風来郷



南南西の風 風力1で
海を渡り山を越えて
名前も知らない遠い島から
流れ着いた歌を詠おう

ほっぺたにぺたんと貼り付いた
花びらがとても君に似合うのさ
風来郷

燦々と降る午后の日差しが
君を素早く虜にするんだ
悪戯な眼で微笑いかけてる
けどもうそこは行き止まりなのさ

道端のペテン師が
出鱈目な世界地図を広げ
陽気に歌ってる
風来郷

緑の風が髪を揺らして
頬を撫でて行くよ
小川の辺 鳥は歌うよ
風来郷

だんだんと僕は少年みたいに
川沿いの道を鉄橋目指す
線路の脇に腰を下ろして
レールに耳を当ててみたんだ

地べたにぺたんと座り込めば
鎮守の森はつむじ風が不意に起る
風来郷



「風来郷」 かずら元年

*

0 件のコメント:

コメントを投稿