2014年3月11日

ジャクソン・ブラウンを聴きながら



夢見の悪い夜だった。
数年前に他界した頑固な親父が
己の火葬について電話で業者を罵っている。
話にならん!そう言い捨てて受話器を乱暴に置いた。
おいおい、あんたはもうこの世にゃ居ないんだぜ。
何を今さら・・

そう言いかけたところでカミさんから内線の呼び出しがあった。
そうだ、今朝は資源ゴミを大量に出す日だったんだ。
寝ぼけたままの頭で集積所を何度か往復する。
いい天気だ。眩しいほどに空が青い。

ゴミを出し終え、再び布団に潜り込む。
さっきの夢の続きを見て真相を解明しなくっちゃ。
一所懸命に最後に見た光景を思い出そうとする。
けれど、夢の世界に続きなどあるわけもなく
まんまと其処へ行き着くことなど出来やしないのだから
悶々としたまま1時間ほどが過ぎた。
徒労に終わったということだ。

なんだろう、いつもと違う空気。
空気というより、得体の知れない怪しい「気」に満ちた不思議な朝。
仕事場へ向う途中では、無理やり割り込んで来る車が何台もあったり
何故こんな場所で事故が?と思えるような所で事故処理をしていたり、
人心を惑わす磁場の大きな乱れが生じた日のような
街も人も、何もかもが噛み合ってない、そんな不思議さを感じる朝だった。

これが3.11なのか。
3年目にして初めて感じる異様な感覚に
身の危険を思わずにいられなくなった。
平穏さを装う裏側で何かが蠢いているような
その正体がわからないことほど恐ろしいものはない。

それでも今日は、何事も無く一日が終わった。
束の間の安堵感、けれど体は緊張したままだ。
したたかに酔いながら頭の中はふにゃふにゃになって行く。
ジャクソン・ブラウンを聴きながら3年目の3.11を見送る。

そんな夜だった。

*

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