2016年3月1日

人間のソース


北海道の僕の実家辺りでは、強烈な低気圧が猛威を奮い
この時期としては珍しいほどの大雪に見舞われたとか。
おまけに吹雪きともなると、雪掻きをする気力すら失ってしまうことだろう。
心配になって、おふくろに電話してみた。
もうじき七十に届きそうな姉が何度も雪掻きに精を出しているそうな。
北国の高齢者は、容赦ない自然との闘いなのである。
半端な気持ちじゃ決して生きて行けない過酷さと対峙するなんて
ああ・・今となっては、僕は絶対に其処には住めないなと思ってしまう。
如何に今夜の横浜が冷えると言っても
氷点下でもなければ、吹き付ける風雪だってありゃしない。
心閉ざしてしまうほどの極寒ではないことを、幸せに感じなければいけないよね。

もう一人、旧い友人のことも気にかかり
父親の介護で4年前から其処で暮らしている知魅さんにも電話してみた。
母親を看取った後、たった一人で親父さんの世話をしている彼。
もううんざりだと、何度も口にしながらも奮闘している様子を聞く度に
重い荷を背負いながら、己に課した宿題を全うしようとしている彼が
何とも素敵に思えて仕方ない。僕には、たぶん出来ない。

吹雪いてるでしょ、雪掻き大変でしょ。そう問い掛けると
笑いながら(おそらく諦めの境地からの口調)
「酒飲んで外を眺めてる」・・そうな。
僕ら、そこじゃ暮らせないよね。共通の言葉だったけれど
早く東京に帰りたいと、今日も電話の向こうで切実な声で言っていた。
親の介護に明け暮れる毎日は、僕の想像を絶することだ。
老々介護という言葉が重く圧し掛かって来る僕らの世代、
非現実的な現実という物事ほど惨いものはない。
ましてやそれが日常の殆どを埋め尽くしてしまうなんて
能天気な僕は、今の彼には頭が上がらない。


呑気さゆえに、
釜揚げうどんが半額になる日であることを思い出し
カミさんを連れて丸亀製麺へやって来た。
僕の休日と重なったのは今年初めてのこと、
およそ半年ぶりくらいにその恩恵を授かったのである。

娘の家にもテイクアウトの天ぷらを買い求め、
もしやと思い自家製だしソースも売り物なのか尋ねてみると
残念ながらボトルでの店頭販売はしてないそうな。
これ、実に旨いソースなんだよねえ。


けれど、欲しい分だけ30円で持ち帰れるんだと。
湯飲み茶碗ほどの大きさの蓋付きカップを差し出され
「好きなだけ入れていいですよ~」と、笑顔で言われたもんだから
いっぱいになるまで並々と注いで持ち帰りましたわ(笑)
丸亀さん、太っ腹!また行くからねっ!!


そして僕はと云えば
お雛様と双子の記念写真にちゃっかり割り込み
のほほ~んと笑っているのでありました。

怒りや憎しみ、敵対心。ましてや絶望なんて
光の無い闇からは何も見出すことが出来ません。
人を愛し己を愛す、人間のソースはそれが肝心なのだと
僕はいつも思うんです。

なんたって、O型てんびん座ですもん。

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