冬になるとジャズが耳に心地好い。
特に年末が近付くこの次期になると、この歌がとても沁みるのだ。
「You'd Be So Nice To Come Home To」
ヘレン・メリルのハスキーな声とクリフォード・ブラウンが絶妙に絡む素敵な曲。
何度か再録音されているが、マーキュリーのこのテイクが一番いい。
おまけにこのアルバムジャケット、チューブの大型コンデンサーマイクの前で
顔をしかめて歌う彼女の写真にはいつもきゅんとさせられる。
音もジャケットも、モノラル時代の名盤だ。
ちなみに邦題は発売当初から「帰ってくれたら嬉しいわ」で通っているのだが、
一説にはジャズ評論家であった大橋巨泉の大誤訳と言われている。
末尾の「to」が違う意味を持つらしいのだ。
直訳すると「君が待っていてくれるのなら、家へ帰るのはさぞや楽しいだろう」となり、
かなりニュアンスが変わってくる。
けど不思議なもので、ユー、ビッ、ソーと歌い始めるヘレン・メリルの擦れた声には
その間違った訳の方が何だかしっくりする。
邦題とはそんなものだし、心に響けばそれでよいのだ。
ああ、それにしても
モノラル録音て、音が太くていいよね。
決してローファイなんかじゃない、音溝にはちゃんと息遣いまで刻まれているし
楽器の定位だって(モノなのに)しっかり伝わってくるから不思議。
ジャズはモノラルに限る!
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