2012年10月12日

文明の光


寒くなってきたので、デスクの灯りを熱源の高いミニ電球のタイプに交換しました。
かなり熱を発するので、夏場はとても使えたものではありませんが
今の時期は温かみのある光と、ほんのり手元が暖まる感じがいいのです。

いわゆる裸電灯の黄色と朱色が混ざり合った色、心が落ち着きますし
光に照らされた物たちすべてが、命を与えられたように鮮やかな色を発します。
それは夕焼けに映し出された風景に似た世界、
デスクの上が黄昏色に染まって行くのは楽しいものです。

けれども世は省エネのご時勢、厄介者の電球は姿を消しつつあります。
後を引き継ぐのは無機質な光を放つLED照明。
昔ながらの電球を小ばかにするように、利口ぶった生意気そうな顔をしています。
私はそんな冷徹さが好きになれません。

確かに省電力化は必要なことでしょうけど、
部屋や人を温かく包み込むような、光がもたらす幸福感てのがあるんだと思います。
如何にご時勢とは言え、それが失われて行くのは悲しい気持ちになってしまうんですよね。

十数年後、電球はオークションで高値で売買されていたり
はたまた真空管のようにヴィンテージな物になっているのかも知れません。
やがて「電球マニア」などとオタクっぽく揶揄されるようになるのは御免ですが、
私は安く手に入る間は使い続けて行こうと思っています。
小まめに消すなど、省エネ対策は別の方法で十分貢献できますからね。
この温かで心安らぐ橙色の光は捨てられません。

ちなみに我が家の電気料金、昨年の節電時期をも凌いで前年比30%減を保っています。
旧型の照明器具ばかりですが、努力と工夫で何とかなるものです。
四六時中点灯させなければならない業務用の照明ならLEDの方が有利でしょうけど
点けたり消したりする一般家庭での節電効果には疑問を抱いてしまいます。
それに何と言っても高い!
売り物が無くなってしまった家電業界の罠なんじゃないでしょうか。

諸説ありますが、ジョゼフ・スワンが発明し、
後にトーマス・エジソンが竹をフィラメントに用いることで実用化されるに至った電球。
明かりを灯すと、大いなる歴史の光が満ちて来そうな気がします。
いけません、そんな文明の光を絶やしてしまっては!

(猫も杓子も省エネ)に関連して、自動車にも同じようなことが言えるのですが
それは次回にでも。


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