野太い彼女
GUILDをさ、
数ヶ月ぶりにケースから出して
手放すつもりで手入れを始めたんだ。
もうこれを使うことはないんじゃないかと思ってね。
そしたら
やだよー、あたいのこと捨てないで~!
と、言わんばかりに
むっちゃくちゃいい音で鳴るわけさ、これが。
だめだ、
この音を聴いてしまうと別れられない。
いかに尻軽の私であっても
思い留まるしかないじゃないか。
かのリッチー・ヘヴンスが愛用したGUILD、
そのDNAを受け継ぐ野太い彼女を
ここで見捨てるのは罪だよね。
ごめん。
浅はかだった私を許しておくれ。
そして彼女は再び
私の傍らに座り、寄り添ってくるのであった。
雨音が部屋を包み込む。
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