2013年7月22日
う・・
価格高騰から、去年は穴子の蒲焼で我慢した。
今年はちゃんとした店で「本物」を食べたいなあ~とは思ってみたものの
値段は年々上がるのみ、やはり諦めちゃおうかねとカミさんと話してた。
しかし、テレビを観ていると
どのチャンネルも今日は選挙結果と鰻の画像でいっぱいだ。
脂の乗ったテッカテカの蒲焼を何度も目にするうちに
突然プチッ!と何かが切れた。
我慢の限界、辛抱の糸が切れたのだ。
してやられた。
これがメディアの罠なのだ。
景気は上向いてるんですよ~
土曜の丑の日は鰻を喰わなきゃだめですよ~
たまには贅沢しましょうよ~!
とばかりに庶民を煽る。
まんまとその策に嵌ってしまったのが情けない。
だが糸が切れたままでは成す術もなく
せめて西友の安いやつでもいいからと夜になってから覗いてみると
あったあった、国産うな重¥990の更に3割引きの格安品が。
尾っぽの部位ではあるが、どうせ気休めこれで我慢すんべぇ。
かくして¥693の(安っ!)宮崎産うな重にありついた次第。
味は・・普通。
普通に鰻の味。
鰻を喰ってることを実感できる味。
旨いのだけれど、悲しいかなその程度の感想。
いや、味以前に
今年は鰻を喰えたという満足感でお腹いっぱいになった感覚と言うべきか。
「おいおい鰻ってぇやつぁなあ、老舗の名店で肝吸い付きを喰うもんでぃ!」
威勢のいい江戸っ子の兄さんに叱られそうで肩身が狭くなった。
確かにそうだ、うな重はスーパーで買うもんじゃない。
暖簾を潜って、その芳醇な香りが立ち込めた専門店で喰うものだ。
そう思うと、ちょっぴり虚しくなった。
穴子ではなく(本物の)鰻であったとしても、
やはり今夜食べたのは紛れもなく紛い品なのだから。
所詮、現実はこんなところだ。
景気が上向いてるというその論理の出所は
株価と新車の販売台数と、百貨店の売上などなど。
高額商品がよく売れるようになりました!と店員が胸を張って言ったとしても
今どきデパートへ買い物に出掛けるような裕福な人間はそうそう居ない。
消費者物価指数を押し上げることに貢献している中流家庭から下は
データに反映されることも無く切り捨てられてるようなもんだ。
そこに矛盾がある。
友人と連れ立って、老舗店で旨そうに高いうな重を頬張る労働者の姿なんて
やらせでもない限り、今では目にすることも無いだろう。
そりゃそうだ、うな重一膳で一晩の飲み代くらいになってしまうんじゃ
たとえ一年に一度だけだとしても、勿体なくって軽々しく喰うことなど出来やしないさ。
好景気を煽るねぇ、メディアは。
前政権の(自称)どじょう内閣を思い出して吹き出しそうになった。
いいねえ、あの貧乏臭い名前は現実的で。
それが今はアベノミクス、魔法みたいに神秘的な響きだわあ。
場末のペテン師にゃあ真似できない「プロ」の手口だね。
あーら、現代的だわね。
渡さんの声が聞こえて来そうな夜だ。
友人の真似をして、来年からは「う」の付く物を喰って気を紛らすとするか。
土曜の丑の日の生みの親、平賀源内さますみません!
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