「風立ちぬ」ようやく劇場に足を運ぶことができました。
空を飛ぶ美しい姿を追い求めた堀越二郎の飛行機作りは
決して兵器として当時の戦闘機を見ることの無かった
私たちに共通した理念と憧憬を感じられたのが嬉しい限りです。
三菱九試単座戦闘機、当時としては画期的とも言える
逆ガル型の主翼を持つ試作1号機のテストフライト。
その美しい機体が空を舞って以降、九六式艦上戦闘機を経て
やがて名機と呼ばれた零戦が誕生するのですが、
物語は九試単戦の試験飛行で終わり、その後の大戦を描くシーンも全くありません。
飛行機作りに情熱を燃やした男と運命の女性との出逢い、そして別れ。
そこに吹く風の描写がとても清々しく、どうしようもない悲しみに包み込まれてしまいます。
ちなみに、先日話題になった日本禁煙学会の要望書。
彼らが言う通り、随所に頻繁に喫煙シーンが出てきました。
愛煙家である宮崎監督のささやかな抵抗かも知れませんね。
皆、旨そうに紫煙をくゆらせていましたもの(笑)
けれどそれらはごく自然な流れの中でのひとコマ、
昭和という時代を描くにはそれでいいんです。
劇場から外へ出て、夕暮れの空を見上げながら吸った煙草の実に旨かったこと。
秋の訪れを予感させる、心地好い風が吹いていました。
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