2013年9月5日

吐露



弦を張り替えることもなく
伸びきった古いままのJ-45を弾きながら
馴染みの曲を幾つか歌ってみた。

体に染み付いている筈なのに
なんだろう、このチグハグさは。
来月にライブを決めておきながら不安になってきた。
やはり一年のブランクってやつは
そう簡単には埋められないってことなんだろうな。

怖い、と言った方が正確かも知れない。
楽器を手にした途端、自動的にパチッと入ったスイッチが
どこをどう探っても見つからないんだ。
これはかなり居心地が悪い。
まずは自分が気持ち良くならなければいけないのにね。

・・少々の焦り。

北海道へ戻り、父親の介護をしている旧い友人のBlogに
間もなく訪れる長い冬を迎えることへの恐怖が綴られていた。
九月になったばかりとは言え、中旬頃にもなると
朝晩の空気が肌を刺すようになる。
その痛みが日々増して行き、やがて極限の寒さが半年近く続くのだ。

北国の厳しい冬を知っている者にしか分からないことだろうけど
あの塞ぎ込んでしまうような、陰湿な冬には私も耐え切れない。
田舎に戻って暮らそうという気にならないのは
どうやらその辺りに理由がありそうだ。

人生は戦いの連続だ。
己のひ弱さを露呈して足元を見られるような場所には行きたくない。
そして音楽もまた、ひとつの戦いの手段なのだから
惨めな思いをするようなことがあってはならない。
その場の空気を支配することが出来なければ
それは負けたに等しいと思うのだ。

それが敵わぬ者は、歌わない方がいい。
毒にも薬にもならないような人間にだけは
生涯なりたくないのだ。

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