星野が監督に就任した春、あの未曾有の大震災が起きました。
その3.11をひっくり返した数字の今日、東北楽天が優勝を果たしたことが
不思議な巡り合わせのような気がしてなりません。
震災直後、計画停電と称してさほどの被害も無かった都市が闇に閉ざされ
節電の大合唱の下、ネオンやショーウィンドウの灯りを消して
形ばかりの体裁を繕ったのが中央に位置する都会のやり方でした。
新品の防災服に身を固め、テレビの前で原稿を棒読みする閣僚たちを
被災地で必死に生きる方々はどのように見ていたことでしょう。
「不謹慎」というレッテルが連鎖的にそこら一面に張りめぐされ、
伝統の祭りまでもが中止になってしまう不可思議をどう受け止めていたでしょう。
批判を恐れた多くの都会に住む者たちは、自粛という隠れ蓑に逃げ込み
やがて時が過ぎ行くことだけを願っていたように思えるのです。
そんな風潮を、いったい誰が喜ぶでしょう。
結果、支援しなければならない者たちまでもが疲弊してしまい
街には背を丸め暗い表情の、疲れきった市民で溢れてしまいました。
冒頭に何故このようなことを書いたかと言うと
楽天の諸君が、なりふり構わず貪欲なまでに優勝を捥ぎ取ったからです。
ポーズと体裁、セオリーを重んじる(東京)巨人軍とは対照的に
勝ちたい、勝つんだという意志が、皆の顔に漲っていたのは言うまでもありません。
その想いが空回りすることなく、力に転化できたことが素晴らしいのです。
格好に拘らずそれを成し得たことが素敵なんです。
都会の人間やマスメディアは綺麗事しか口にしません。
評論家を自称する者は経験だけを語り、冒険を善しとはしません。
時には無謀だと言いながら嘲笑うことさえします。
則本の中継ぎ、田中の連投を目にして
楽天には他のピッチャーは居ないのか?と言う者まで居ました。
何を馬鹿な、短期決戦にセオリーなど無いのです。
確実に抑えられる投手を起用することに何の躊躇いが必要でしょう?
指揮官と本人の意志だけです。
美馬、則本、田中、このリレーは今日の楽天にとって最善の策であり
そして彼らはその期待に見事に応えてくれました。
地方の弱小球団が、巨大なグループ会社に支えられた伝統ある球団に勝利した
この歴史的な瞬間に立ち会えたことはこの上ない喜びなのであります。
格好ばかりを気にする都会の坊ちゃまたちに一矢を報いた彼ら、
その瞬間を思い出しながら勝利の美酒に酔いしれる私は
まさに「日ノ本一」の幸せ者であります。
最後に、
私を含め日頃は野球を観戦することも無い多くの者たちが
このシリーズだけは熱い眼差しを注ぎ一喜一憂できたのも楽天の功績です。
優等生揃いの読売巨人よ、来期は泥臭く直向なプレーに邁進するべし!
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