僕の田舎、北海道では
冬になると足回りはスパイクタイヤがお決まりだった。
リベットが打たれたスノータイヤは、新雪だろうとアイスバーンだろうと
それさえ履いていればどこでも走れる安心感とお手軽さで重宝されていたものだ。
けれど30年ほど前、雪解け時期のアスファルト路面を削り取る粉塵が大問題となり
一世を風靡したそのスパイクタイヤは姿を消した。
確かに強烈な粉塵、春先の道路脇に残った雪が真っ黒になるほどだったから
人体に及ぼす悪影響は素人目にもわかったことだろう。
おまけにアスファルトの道路に轍ができてしまうことから
春は傷んだ路面を工事することが毎年の恒例になってしまっていた。
悪名高きスパイクタイヤ、ではあるが
あれほど強力に冬の路面をグリップしてくれる物は他に無かった。
なので使用が禁止されてからの数年は
仕方なく(制動の悪い)スノータイヤを履いた車の事故が後を絶たず
凍った路面で止まり切れずに踏切へ侵入し、列車と衝突するような
そんな痛ましい事故のニュースを頻繁に目にしたものだ。
当時のスノータイヤと呼ばれていた物は、
新雪ならまだしもアイスバーンには全く効果の無いものだったのである。
以来僕は、ゴムだけのタイヤで雪道を走れるわけがないと
ずっとずっとそう思い込んでいた。
スタッドレスタイヤが登場してからも全く信用できなかったのだ。
故に、やむを得ないときはチェーンを巻くようにして
ただの一度も冬のタイヤに履き替えることは無かった。
(年に一度か二度しか雪の降らない土地に住んでいるせいもあるがね)
けれど予期せぬときに雪は降るもので
昨年も一昨年も、結構なドカ雪に今住むこの町もやられた。
仕事場から(夏タイヤで)恐る恐る帰って来たことも何度かあった。
最近のスタッドレスはずいぶんと性能が向上しているようだし、
そろそろ年貢の納め時か・・
というわけで
(生まれて初めて)冬タイヤを買ってしまった。
おそらく数ヶ月間のほとんどは乾いた路面を走ることになるのであろうが
アルミ付きの安いPB製品を、しかも新品で、買ってしまったのである。
備えあれば憂いなし、とは言ってみたものの
ケチな僕が大奮発して購入したからには、たぶん今期は降らないだろう。
今日、そのニュータイヤを履いて仕事場まで走ってみた。
皮肉なもので、今まで履いていた夏タイヤが古かったせいもあり
乾いた路面ではあっても、乗り心地とグリップ感は申し分ないものであった。
新品のタイヤなんて、いつ以来だろう?
思い出せないくらいずっと中古のタイヤばかり履いていたものだから
真新しい柔らかなゴムの感触が、とても心地好く思えた一日なのであ~る。
・・スタッドレスとしての性能は
わからないまま磨り減って行くのかもしれませぬ(笑)
久しぶりのBlog更新、なのであ~る。
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