2015年12月22日

time is on my side


若い時分には
むしゃぶりつくように
一年という時間を食い漁りました。
旺盛な食欲の前では
味なんて、どうでもよかったんです。

ところが社会人となり
家庭を持つ頃になると
生き方だの、スタイルだのと
やたら過ごし方の味わいにうるさくなってしまいました。

同じ一年なのに
満足を得るためには
ずいぶんとお金が掛かるようになり
裕福でなければ幸せじゃないような
そんな錯覚を抱くようにもなりました。

一家の長として
人並みの生活を維持することが責務なのだと
働き盛りのその頃は思ったものです。

人並みの暮らし
そう言うことは簡単であっても
一年中、常に背伸びしながら
見栄を張って生きていた気がします。

時間に追われるように
はたまた時間を食い潰してしまう勢いで
我武者羅に働き続けるのが
悲しいかな庶民の姿なのです。

ふと気付くと、僕はもう
63年もの時間を平らげてしまってました。
お腹いっぱいです。

だからなのでしょうか、
近頃は焦りを感じることもなく
ただただ、淡々と一日を過ごしています。
どれほど大変で忙しい状況にあっても
己を見失うことがないように逃げ道を用意して
あくせくせぬように生きる強かさまで身に着けてます。

歳を取ると食が細くなるものですから
たとえ僅かな時間であっても
幾ばくかの満足を得ることができるようになりました。
今はそれで十分なのだと思います。

けれど若い諸君よ、
君たちは旺盛な食欲で時間を食い漁ってくれ。
不味かろうが旨かろうが、今はたらふく喰うがいい。
その飢餓感がなくてはならないのだ。

・・なあんて
呑みながら想う年の瀬でした。


この者たちは
まだ「時間」が何たるかを知りません。
その反面、親にとっては
時間の重さを痛切に感じてしまうのです。

それが世の常、人の常。
そんなもんです人生は。

幼な子はひたすら観察を続け
若者はありとあらゆるものを喰い
やがて毒と薬を見分けられるようになるのです。

ああ・・
偉そうなことをほざいてしまいました。
僕にとっての薬は酒だというのに。。



淡々と
2015年が去って行こうとしています。
淡々と
見送りましょう。

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