2021年3月15日

否応なしに

 

ひとり、またひとりと、天に召されて行く。

WEBニュースで訃報を目にする度、

またか・・と思いつつ、いつもの日常に戻ってしまう。

否応なしに。


情報は日に何度も何度も更新され

その度に、また何処かで誰かが亡くなっている。

何事にも留まってはいられないほどのスピードで

慌ただしく、一日が過ぎて行く儚さ。

つい、無口になってしまう。

わははと大笑いしながら、気心知れた連中と

酒を呑み交わす日は戻って来るのだろうか。


ふと、旧いギターケースを開けてみた。

ポリッシュとオレンジオイルで丹念に磨き上げ

弦を張り替えると、あの日あの時の思い出が蘇る。

そんな魔法が、唯一今の私を癒してくれる。

ハードケースのバックルをカシャリと外す音が

大切なものを封印してくれていたかのように聞こえるのは

先を急ぎすぎた私の、後ろめたさなのかもしれない。


そう思ってはみても

今日というやつは、生真面目に時を刻むものだから

間もなく日付が変わり、明日というやつがやって来るのだ。

これもまた、否応なしに。


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