2022年11月5日

70年代の玩具箱(#8)

現在、私が愛用しているレコードプレーヤーYP-400は

60年代中期から70年代初頭にかけて各社の主流だった

ACシンクロナスモーターで駆動するベルトドライブです。

このモーターが交流電気の周波数に同期して回ることから

ローコストな割には正確な回転数が得られることで

当時のプレーヤーの駆動源として多くのモデルで採用されました。

ところが或る時期からACモーターの振動や回転に伴うゴロ音などが

音楽信号に干渉して音質に悪影響を及ぼしていると囁かれ始め

静寂さと正確な回転をサーボで電気的に制御できる利点から

駆動源がACモーターからDCモーターに取って代わり

精度の高い部品設計や回転機構を必要としない

ダイレクトドライブの製品へと移行してしまったのです。

でも、ACモーターがさほど劣っていたわけでもなく

DCモーターとの違いなんて聴き分けられるものじゃありません。

いわゆるこれは流行という世の流れ、

CDが台頭してアナログ盤が追いやられて行ったのと同じです。

よほど精度の低いベルトドライブじゃなければ

33と1/3回転が大きくピッチを変えることはないんですけど

やがてシンクロナスモーターを使ったプレーヤーは

悲しいかな、あっという間に市場から消えて行きました。

かく言う私も20代でオーディオに目覚めて以来

そのほとんどの期間、DCモーターのお世話になっていました。

数年前、構造がシンプルで無骨なシンクロナスモーターに

ふと哀愁のようなものを感じて購入したのがYP-400でして

使ってみると、やはりこれが一番アナログ的だと思えるのです。

だって、凄いことだと思いませんか?

このストロボスコープの縞目がほぼ静止する定速状態で

モーターシャフトの細いプーリーがベルトを介して

アルミダイキャストの重たいターンテーブルを回すんですよ。

しかも回転を制御する電気部品など一切無く、

ただひたすらに電源周波数に同期してるだけだなんてね。

モーターのトルクやターンテーブル内周の径を計算して

正確な回転を保つプレーヤーを作り上げた当時の技術陣に

途轍もないアナログのロマンを感じてしまうのです。

(まだまだ続く)



2 件のコメント:

  1. そういえば、最近、磁力でターンテーブルを回す
    高級レコードプレーヤーの記事を見ました。
    ベルトの劣化や、安定した回転にはよさげな感じは
    しますし、音への執念さえも感じますが、なんせ、
    700万円の価格は、私のような庶民には到底無理な
    額です。
    それでも売れているんだから、世間は不景気でも
    良いものにはお金を惜しまない人もいるもんなん
    だなと。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/d6124dbc1de1c8245245570b1531d1133138e912

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    1. ティアックの子会社エソテリックのハイエンド製品ですよね、私もつい先日WEBで見掛けました。磁力を使って非接触でターンテーブルを回す構造だったと思います。
      でもねえ、レコードを再生するってことは針先が音溝をトレースして音を拾うわけですから、機材がいくら優れていたとしてもプレスの品質や盤面のコンディションが大きく影響されるわけですから、果たして700万円という価格が真っ当なものなのか甚だ疑問です。
      まあ、趣味の範疇ですから何とも言えませんけど、こんな高級オーディオを楽しむ人って、おそらくレコード盤も同社から発売されてるような高音質・高品質な物しか聴かないんだと思いますよ。普通にお店で売られている盤やリユース盤なんて絶対にターンテーブルに乗せないでしょうね。オーディオマニアを自負する人って、音のいい物しか聴かないという傾向が強くありますから。
      私もかなり拘る方ですけど、それは好きなミュージシャンの音楽を楽しみたいだけですし、大好きな70年代の音をきっちりと再生してくれるシステムを構築したいだけなんですよ。

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