夜になってから
忘れ物に慌てたような強い雨が、ざあざあと降り出した。
窓を開けていると、湿気を伴った臭いが部屋に充満する。
それは夏の草木が濡れる清々しい匂いではなく
長雨に祟られた土が腐ったようなひどい臭いだ。
こうも蒸し暑い澱んだ空ばかり見ていると
澄んだ青空が無性に恋しくなる。
夕方、虹を見た。
けれどその虹さえも、灰色の厚い雲を背景にしては
その美しさが十分に引き立てられないでいた。
雨上がりの大きな虹は
真っ青な空が一番よく似合うというものだ。
その虹の向こうへ行ってみたくなるような
そんな感動が湧き上がるような空じゃなければ
私は嫌だ。
ああ・・私の青空よ。
*
0 件のコメント:
コメントを投稿