2012年1月2日

Magic Dragon

そうなんです。
辰年の2012年を迎えたということは
年男である私が、なんと60歳に到達するわけであり
よくもまあ、こんなに長生きできたものだと感心してしまうのです。

実は幼い頃、私は自分の生涯が50年なのだと勝手に思い込んでいました。
理由は分からないのですが、たぶん何かのお告げがあったんでしょう。
おまえは50歳でこの世を去る、と。
それ以来、その歳が近付くにつれて
自分はいったいどんな死に方をするんだろうと、そればかり思うようになりました。
けれど不思議なことに悲壮感はまるでなく、
ドラマの結末を考えるような、どこかワクワクした気持ちで夢想していたものです。
が、上手くシナリオが描けなかったので開き直りました。
さあ来い!50歳!!

ついにその誕生日がやって来ました。
いつもと変わらず、何も起こりません。
翌朝、布団の中で目を覚ますと
やはりいつもと変わらずに、私は生きているではありませんか。
それから数日が過ぎ、やがて数ヶ月が経ち
それでも私は生きていました。
あのお告げはいったい何だったのでしょう。

その後、年が変わってもまだ生き長らえているのを見届けると、儲けた気がしてきました。
五十を過ぎてからの人生は、全てが付録みたいに思えてきたのです。
半世紀という折り返し点としても切りの良い数字の節目に
ある意味、生まれ変わったような気分さえ芽生え
こりゃあこの先、楽しく生きなきゃ損だよな!と思うようになりました。
三十数年のブランクを経て再び歌い出すことになったのも
たぶんこの時の開放感にも似た感覚がそうさせたのでしょう。

あれから10年が過ぎました。
その間には、20tトレーラーに追突されるという大きな事故にも遭い
あーこれだったのか、遅れて来たけどこれだったのか、と
ルームミラーに映る大きな黒い影がノーブレーキで突っ込んで来るのを見ながら
衝突の瞬間まで人生の終焉が訪れたことに想いを馳せていたものです。

が、それでもしぶとく生きてました。
体の右半分が麻痺して、回復するまでに半年ほどを費やし
自律神経がおかしくなったせいで様々な病を患い病院通いが増え
挙句、右眼は急性網膜壊死という極めて症例の少ない病に冒され
2時間35分もの眼球内手術を施され、数度に渡り入院生活を送ったりもしましたが
死神が迎えに来ることはなかったのです。

今こうして、この10年を振り返ってみると
如何に災いや試練が多かったとは言え、楽しく生きて来られた気がします。
これを「楽しい」と言ってしまうと語弊を招くかも知れませんが
痛みや苦しみを経験することで、人は優しくなれるのですから
私みたいな捻じ曲がった人間には学習としての良い教材になったのだと思うのです。

さあ、ここから先は未知の世界です。
まさか60まで生きられるとは思ってもいなかった私にとって
オマケが更なるオマケを生み出そうとしているのですから。
好奇心に満ちた眼差しで、これから先を見届けようとしています。
やって来たばかりの2012年に、今とても興奮しているのです。



今夜のBGMは「Forever Young」





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