我慢できずに、アナログプレーヤーの上に積まれていた諸々の物を取り除き
埃がハラハラと降るのをものともせずにレコード盤が掛けられるようにしました。
かなり強引、休日の明日まで待てば掃除もできたのかも知れませんが
思い立ったらすぐ実行に移すのが、深夜のかずら元年なのであります。
DENONのMCカートリッジ、DL-103はさすがにくたびれているようなので
SHUREのM-97HEという、これまた骨董的に20年ほど放置してあった物と交換しました。
カンチレバーもダンパーも、たぶん耐用年数の限界を超えているんでしょうけど
案外と使えるもんですね、感心してます(笑)
音の輪郭が明快なSHUREのパチッ!というスクラッチ・ノイズ、気持ちいいですねぇ~
アナログの醍醐味ここにあり、て感じで楽しくなります。
アナログの時代は音楽を聴く上で避けて通れなかったノイズ音、
これがまた実に懐かしい風情なのです。と言うよりも、音楽の一部なんでしょうね。きっと。
最初に引っ張り出してみたのはリンゴ・スターの「BEAUCOUPS OF BLUES」
1970年にアップルから発売されたカントリー・ソングのカバーアルバム。
本場ナッシュビルの大御所ミュージシャンをバックにレコーディングされた物でしたが
発売当時は全くと言っていいほど売れなかったようです。
リンゴの歌はお世辞にも上手くはありませんが、
彼が好きだったカントリー・ナンバーを網羅したこのアルバムを
私はジャケット全体がコーティングされたUK盤(英国プレス)で持っていました。
そんなレア?な物をなぜ持っていたのかと言うと、
昔々勤めていた某レコード店に大量の在庫があり(千枚以上は有ったと記憶してます)
500円の売値でも一向に在庫が減らないことが不憫に思えて買ってしまったのです。
確かこの後は300円に値下げされた筈ですが、じゃあ何故千枚以上も在庫が有ったのかと言うと
その当時、海外のバイヤーから輸入盤を仕入れる時はタイプで打たれたリストが送られて来て
売れ筋や新譜を安くしてもらう代わりに、処分に困っている旧譜もセットで買わされたのです。
その貢献度が仕入れ価格に反映されるわけで、このリンゴの(売れ残り)アルバムも
無理やり押し付けられて大量に在庫を抱えてしまう羽目になったのです。
私も持っているだけで、敢えて「聴きたい」とは思ったことが無かったのですが
今こうして聴いてみると素朴な歌声が実に味わい深く感じられます。
ジェリー・リード、ピート・ドレイク、チャーリー・ダニエルズ、D.J.フォンタナによる演奏に支えられ
とても上機嫌で歌っているリンゴの姿を想像してしまいます。
いつも思うんですが、アナログ・ディスクの30Cm角というサイズは
写真やロゴ、デザインを含めて一番妥当な大きさだと今でも実感しています。
どんなに小さなフォントでも文字は全部読めますし
その文字の配置やデザインが絶妙なアートを醸し出してくれます。
これはCDのサイズでは絶対に表現できないものです。
裏ジャケをこんなふうにレイアウトしたり、
見開きジャケットの内側がこんなふうだったり、
歌詞やクレジットまで全部そのまま読むことができます。
レイアウトの自由性という点では、この30Cm角が限界でしょうね。
つまりは究極のアートと言えるわけで、当時は「ジャケ買い」が多かったことも頷けます。
お次はデイヴ・メイスンにキャス・エリオットが絡んだブルー・サム時代のアルバム、
ママス&パパスで鍛えぬいた彼女のコーラスが絶妙な一品です。
現在でもCDで購入できるようですが、前々からアナログで聴きたかった1枚でもあります。
それに何と言っても見開きジャケットの大きな写真がたまらない魅力です。
クレジットが無いので不確かですが、このモノクロで髪に風を当てる構図、
たぶんノーマン・シーフの手によるものじゃないかと思います。
数多くのジャケット写真を手掛けた彼の作品もまた、アナログ時代の象徴なのです。
それにしても・・
老朽したSHUREのボロボロなカートリッジも立派ですが
毎夜褒め称えているFE-103、アナログ盤も見事に再生してくれてます!(嬉)
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