2012年7月7日

昼と夜、今日と明日


数日前、横須賀へ出掛けた折のこと
駅を出て、時間潰しに街を歩いていると
穏やかな田舎の空気を感じた。
人にも街にも、都会のような緊迫感が無いのだ。
京浜急行が高速で一目散に突っ走るのとは対照的に
辿り着いたその街には、ゆったりとした時間が流れていた。

それは大切なこと。
慌しい環境に身を置いていると
つい目尻がつり上がり、先を急ぐことばかりに気を取られ
己の足元が見えなくなるばかりか
他人を思いやる心までもが希薄になってしまう。
それほど一日が速い。
悲しいかな、都会で暮らす者には脇目をふる暇さえ無くなってしまったのだ。

私が北海道の実家に戻ると、一日が異常に長く感じられる。
昼も夜も、都会と比べると数倍長い。
仮に何処かへ出向き、ゆっくりと過ごしたとしても
日暮れ前には家に帰り着くことができるし、その後の夜も長い。
この違いは何なのだろうか。

横須賀で歌った後、遅れて現れた旧い友人と久しぶりに飲みながら語った。
わずか1時間ほどのその時間さえ、とても長く感じられたのは
やはりそこに流れる「田舎時間」の魔法だったのかも知れない。
たらふく飲み、再び京浜急行で横浜駅に戻った時はまだ日付が変わる前だった。

今や都会には時計があるだけで、昼と夜の区別は無い。
夜と朝の「間」も無い。
24時間で時刻は表示され、街は引っ切り無しに蠢いているから
昨日と今日の境い目すら無くなってしまっている。

人間の営みとして、これがいいわけはない。
そう、思わないかい?


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