2013年10月15日

一片のパン



正義のための戦いなんてどこにもないのだ。
正義は或る日突然逆転する。正義は信じがたい。

逆転しない正義とは献身と愛だ。それも決して大げさなことではなく、
眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、その人に一片のパンを与えること。



一徹な人だった。
人間の弱さを、決して強くはないヒーローの姿を借りて
我々に諭すその言葉の数々は
老いてもなお、力強さが衰えてはいなかった。

正義は時として歪められる危ういものだという事と
己の顔を千切り、分け与える自己犠牲の精神は
自身の従軍体験から得たものであり
それが最期まで貫き通された。

晩年、やがて俺は死ぬだろうと言い放つが
その直後に「死にたくねえなあ」と、本音を漏らす。
94歳にして、やり残したことや見届けたいことがたくさんあったのだろう。

やなせたかしさん、
アンパンマンはあなたそのものだった。
どうか雲の上からずっと
この国を見守っていてください。


「手のひらを太陽に」 詩:やなせたかし 曲:いずみたく


行軍したり、泥だらけになって這い回ったりするのは、一晩寝ればなんとかなる。
ところが、飢えはどうしても我慢できない。
(やなせたかし語録より)

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