2013年11月23日

オレンジ・オイルは化粧品



ギターのメンテに欠かせない物のひとつがオレンジ・オイル。
主に指板の汚れを落とすのに用いるのだが
これを塗ると甘みを伴ったオレンジの香りが部屋いっぱいに広がり
下手な芳香剤よりよっぽどましないい匂いに包まれる。
ボディに塗布するポリッシュはどれもキツイ臭いが残るので
使っていて心地好い雰囲気になるのは、このオレンジ・オイルだけかも知れない。

ただし指板を磨くだけでは、ボトルの中身は一向に減らない。
1本買うと何年も使えてお得な気分にもなりそうなものだが
他に何か使い道はないのか?
以前、知り合いの楽器店主にそれを尋ねたらいいことを教えてくれた。
オレンジ・オイルには糊剥がしの効用があったのだ。
それ以来、ピック・ガードを剥がした後のボディに残った糊はこいつで落としている。
どんなに頑固にこびり付いた糊も、ゴシゴシと擦っているうちに
あーら不思議、跡形もなく消えて無くなるのである。

先日、オール・マホのOO-15Mに目が留まり
手頃なユーズドでも物色してみようかと思ってしまったのだが
待てよ?合板のあいつならイメージ通りの音で鳴ってくれるんじゃないか?
早速押し入れの奥(私は大奥と呼んでいる)からこいつを引っ張り出してみた。


スタッフォード(黒澤楽器)製B-25のコピーモデルだ。
前にも書いたが、オール合板の安い製品だったもんで
このナチュラルの他に赤と黒、合計3本を大人気なく纏め買いした代物である。
赤は知人に譲ってしまったので、今はこれと黒だけになった。

10年ほど前だと、国内メーカーの各社が中国生産にシフトし始めた時期だったが
これはそれ以前の韓国工場で作られた物の在庫品だった。
合板とは言っても(単板だから音や響きが良いというのは迷信なのだ)
しっかりした作りで音も材質も良く、アクティヴのピエゾPUも使用に耐えるもので
2005~2006年頃のライブでは何度か使っていたこともある。


笑っちゃうくらい強烈な三兄弟揃い踏みの当時の絵。
今思えば、赤が手元に残っていたなら昨年の還暦ライブは当然これだったろうな(笑)

ちなみにこの3本の中で、ナチュラルだけは古いロットの製品だったようで
他の2本と比べても丁寧な作り込みで明らかに音の張り出しが違っていた。
いわゆる中域にピークがある蒲鉾型の音響特性、本家ギブソンに近いものであって
そのチープにも感じられる鳴りっぷりが気に入っていたものだが
やがてJ-50やJ-45にその座を奪われ、大奥へと追いやられてしまった経緯がある。
ところがオール・マホのミディアム・ボディに私が惹かれたことから
再び日の当たる場所に返り咲いたというわけなのだ。

おお、イメージ通りの音ではないか!
こりゃあ大奥から引っ張り出してきた甲斐があるってもんだ。
嬉しくなって、この子の貧相なピック・ガードを高級な物に替えてあげることにした。
ぺらっとした胡散臭い薄手の板を剥がし、Gibsonの純正品に貼り替えると・・


ほおら、上の画像とは見違えるくらい高級感が増したでしょ。
如何にパチモンとは言え、お化粧するとこんなにいい顔になるのだよ。
ちょっとだけサイズが違うので、僅かに日焼けした跡が残ってはいるけれど
ブラの紐跡みたいなもんで、これまたセクシーに感じてしまう。←変態なのか?
(勿論この時もオレンジ・オイルが大活躍、まさに化粧品なり)
尻軽で浮気者の私ではあるが、今夜はこの子を愛おしく見つめているのである。

(実はこの後、FBフレンドのとある方のギターがDVで破壊された画像を目にして
とてもショックを受けたのだが・・悲惨すぎる!!)

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