2013年12月10日

空母の甲板に立つ



憂鬱な仕事場にも、ひとつだけいいことがある。
休憩時間に足を運ぶ屋上駐車場から見渡す夕方の空だけは
そのパノラマ状の雄大さにいつも見とれてしまうのだ。

大きな物流棟の屋上は南北に200m、東西に70mほどはあるだろうか。
その無機質で真っ平らな場所が全て駐車場となっている。
海から近いこともあり、上下左右どこを見渡しても遮るものはない。
風のある日は強く吹き荒れ、雨や雪は容赦なく吹き付けて
自然と対峙している実感が否応なしに伝わってくる場所でもある。

とりわけ、夕方近くの時間帯は素敵な光景だ。
沈む夕陽と雲が織り成す明暗と色合いが何とも言えない。
私は毎日、こんな空を見ることができるのだから
それはとても幸せなことなのではないかと思ってしまう。
自然と向き合うことは、束の間の休息には欠かせないものだ。

この、空しか見えない巨大な平面に立つと
自分が航空母艦の甲板に居るような錯覚に陥ってしまうことがある。
車に乗り込みエンジンを掛ければ、あの夕陽を追いかけるように
白い蒸気を吐き出すカタパルトから離陸して行けそうな気分になるのだ。
妄想とは言え、心を掻き立てられる力強さがこの大きな空には在る。
やはり私は夕陽が好きなようだ。



ちなみに世界最大のミニッツ級空母は全長333m、発着甲板幅77mもあるそうだ。
私が今居るこの建屋がすっぽりと収まるほどの巨大さとは・・

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