2014年2月1日

呆気に取られる



日頃は宵っ張りなもので
僕は早起きが大の苦手ときたもんだ。
それでも今朝は7時過ぎに起き
「ごちそうさん」が始まる前には家を出たってえわけさ。

相鉄線の平沼橋で降り
1号線を渡って歩くこと10分ほど
目指すは松島クリニック。

途中、タバコ屋の前で缶コーヒーを飲みながら
まるでこの世の暮らしを惜しむかの如く紫煙を燻らす。
そう、収監前の囚人みたいな気分。

クリニックの受付を済ませ
10分と経たないうちに名前を呼ばれる。
こちらを気遣うような妙に優しい声、
そしてドアを開けると柔和な表情の医者が微笑みかける。
おい、何か悪い知らせでもあるのか?

訝りながら椅子に座ると
数枚の鮮明な大腸内の画像を見せられ
そのにこやかな顔を崩さないまま医者はこう言った。

「まあーったく問題のない良性でーす」

・・いきなりの結論。
判決を先に言われる裁判みたいじゃないか。
長々とした主文からじわじわ攻められる方がスリリングでいい。

ぽっかあ~んと呆気に取られたまま
そそくさと退室して受付で金を支払い
ちょっと前に歩いて来たばかりの道を駅へ向かって歩き始める。

「もう2週間が経過しましたから、元の生活に戻して構いませんよ」
医者のその言葉に後ろめたさを感じながら。

・・さすがに
5日目から酒を飲んでますとは言えなんだ。

2014年2月1日、
何事も無かった朝である。

*

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