2014年5月18日

嫉妬


昨日の湘南台で
とある若いシンガーの歌を聴きたくて会いに行った。

「若い」とは言っても
もう三十代後半のその男の名前は以前から知っていた。

けれど何故か一度も顔を合わせたことがなく
生の歌声を聴くのも、もちろん初めてだったのだ。

本人はどうとも思ってないようだが
70年代から現在に至るまで
ずっと歌い続けている僕の好きなシンガーの長男坊である。

そんな男の歌を初めて聴いた。
時代は変われど
あの当時の何かを受け継いでいるかのように思えるほど
懐かしくもあり、反面新鮮な響きを伴って
僕の耳に、心に、届いた。

言葉の呼吸感が
親父さんによく似ていたので
わけもなく嬉しくなってしまい、
歌い終えてから
「親父さんのこと、思い出しちゃったよ」
そう声を掛けると
「そう?」と、少しだけ笑っていた。
たぶん、彼にとってはどうでもいいことなんだろうな。
あの人を食ったようなぶっきらぼうさが憎めない。

また聴きたい。
僕がそんな風に思えるシンガーは少ないのだが

また聴いてみたい。
また会いに行こう。

・・実はちょっとだけ嫉妬しているのだ。

*

0 件のコメント:

コメントを投稿