2021年1月12日

ジロキチ亭の主

 

夜にFBを開いたら

旧い友人が一人で「呑み語りライブ配信」してた。

歌うわけでもなく

楽器を奏でるわけでもなく

社会に訴えかけるわけでもなく

ただ淡々と、古家の薄暗い一室で

ちびりちびりと酒を呑みながら呟いている。

一方通行なので、こちらとの「会話」は成り立たないが

不思議なことに、これが妙なリアルさを感じるのだ。

小さなテ―ブルを挟んで、傍でじっと彼の話を聴いてるような

そんな感覚に陥ってしまうから可笑しい。

そもそもWEB配信といえば、何かしらのテ―マが必ず在る。

けれど、その思惑が煩わしく思えることも度々あるのも事実だ。

そのテ―マも必然性も全く無い「日常の呟き」が

むしろ現実味を帯びて心地好く目と耳に入り込んでくる。

これはちょっと見逃せないほど癖になりそうだ。


薄明りの向こうで、

古い柱時計が振り子を揺らしながら静かに時を刻み

これまた古くてデカい寒暖計まで登場するそのセットは

まるで計算されたかのようなドラマ性を引き出してくれる。

一人芝居、これは面白い。

ジロキチ亭の主に、密かに嫉妬してしまった。


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