大袈裟ではなく、ロクハンとの出会いは今まで何度も聴いていたCDやアナログ盤の印象を大きく変えたことが一番の衝撃だった。手元にあるどのアルバムを再生しても、艶やかで細部に至るまでバランス良く耳当たりがいい。決して硬質な音調ではないのに、今まで奥に隠れていたような音が拾い出されるので、あれ?こんな音入ってたっけ!?という具合に、毎回ハッとするくらい驚かされるのだ。
たとえば分離・分解の良い音というものをイメージした時、多くの人はしっかりと輪郭がわかるのは高域が強調された硬質な音だと思うだろう。実は私もそうだった。ハイ上がりでやや尖った傾向の音にすることで、細やかな表現は伝わって来るものだと誤解していた節がある。つまり部屋を明るくして見易くするのと同じように、音だって単純に明るくさえすれば細かなものまで聴こえてくるような考え違いをしていたわけで、音が細くなりすぎると情報量までもが減少することに気付いていなかったのだ。
上手く表現できないが「アンプが石から球に変わったような変化」と言えば分かってもらえるだろうか。音の粒が大きくなって、柔らかいのに輪郭がはっきり表れるみたいな・・ああ、難しい(笑)
ただ困ったことに、この音の変化はアナログ盤よりもCDの方が顕著に表れた。それはまるでDAコンバーターを高級機と入れ換えたみたいに、今まで分解が悪くモッコリしていた音調のアルバムでさえも小気味いい音に変えてしまったのだ。やはりこれは中音域を主体としたロクハンの成せる技なのだと思うが、私の環境だと何故にCDの方が好結果だったのか?アナログ盤に於いても、以前よりバランスが良くなったことは感じる。けれどCDで再生した時ほどの驚きを伴う音には出会えてない。
原因をいろいろ考えた結果(今どきの政治家風に言うなら「何がボトルネックだったのか」笑)たぶんフォノアンプの力不足じゃないだろうか。私が使用しているエントリークラスのプリメインアンプのPHONO回路には、所詮オマケ程度のパーツしか使われていない。LINEとは異なり増幅度の大きいPHONO回路は、パーツの良し悪しがはっきりと表れる箇所なので、それが災いしてるのだと思う。レコードの再生が主だった時代のアンプは、当然ながらPHONO回路の優劣を肝として設計されたものだが、CDが主流となってからは一部のハイエンド機を除いてローコスト・パーツにグレードダウンしたわけだから、私のチープなアンプなんて尚更のことだ。
一般的なMMカートリッジの僅か5mV前後の微弱電流を増幅して、ノイズに埋もれそうな電気信号を音に変換する重要な役割を担うのがPHONO回路の仕事。その性能が音質を左右することは言うまでもない。やはりここは外付けのフォノアンプを導入して、CDと同等のレベルまで引き上げたいところだ。ちょっと物色してみると、DC構成の球のフォノアンプが安くなっていた。結果を恐れずポチッてみようかな。
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