2021年10月27日

「16センチの神様」第四章










最近ではあまり見かけなくなったが、私がオーディオに興味を抱くようになった若かりし頃には、箱に入れず1枚の板にユニットをマウントして聴いていた御仁も数多く居た。平面バッフルと呼ばれ、癖の無い音で再生できることから一部のユーザーに好まれていた時期がある。

実際に試したことはないんだけれど、素性の良いユニットであれば箱に入れない裸の状態であっても、そこそこの音で鳴ってくれるんじゃないかと思うようになってきた。それはAUREXフルレンジの作者であるSION SIONさんの動画に登場するElectro Voiceの12インチダブルコーンが、裸のまま無造作に置かれたデスクの上で案外といいバランスで鳴っていたからだ。

通称エレヴォイのユニットが、主にPA用として使われていたせいもあるんだろうけど、今の私にとってこの軽い音は好きだ。まてよ?ということは・・好みの音はまさにPAが再生する周波数帯域なのかもしれないね。

その昔、コーラルに8インチ・コアキシャルユニットの8CX-501というモデルがあった。中高域の張り出しが強烈で、まさにPAシステムを部屋に持ち込んだような刺激的な音だった。能率もかなり高かったので長く聴くには忍耐が必要な音だったけれど、唯一好感が持てたのはスパーン!とした抜けの良さと反応の速さ。例えばレコード盤の傷が「ポツッ」と鳴るのではなく、威勢よく「パチン!」と鳴るのである。その衝撃的な音が今でも忘れられないし、状態の良い物があれば欲しいくらいなのだが、現在はヴィンテージ扱いでお値段が高く諦めざるを得ない(エンクロージャーが大きいんで部屋に置けないという理由もあるけどね)

ここでひとつ蘊蓄を。先日テレビで耳にした情報によると、ヴィンテージとは製造から50年以上経過したものらしい。具体的な数字で何となく納得したけれど、私の感覚では60年から70年くらいかなあ。70年代の物をヴィンテージと呼ぶことにはとても違和感を覚える。せめて50〜60年代の物じゃないとね。ちなみに100年を超えるとアンティークと呼ばれるようになるんだとか。これも何だかなあ。。




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