2020年10月12日

カワセ楽器の思い出

 

昨日は赤箱のことをあれこれ書き綴ったもんだなあ・・
一服しながら回想していると、俄かにカワセ楽器店の思い出が蘇った。70年代初頭、渋谷界隈で歌っていた頃に何度も通っていた老舗の店である(今でも一部のマニアの間では聖地とも呼ばれているそうな)その店で販売していたのがブロンズのMASTER弦。他社よりもゲ―ジが細めだからと店主からは12-53のミディアムを薦められ、長らく愛用していたものだった。その当時は白地に1色刷りのチ―プな紙袋入りだったが、KAWASEの太いロゴが入ったデザインがとても気に入っていた。80年代に入ると真空パックのポリ袋入りとなり、オリジナルを知る者にとって、やや残念な気持ちになったことは否めないが、こちらも頻繁に弦を張り替える必然性が無くなってしまったこともあり、その頃からカワセ楽器とは疎遠になった。


そんなわけで懐かしくなってお店のサイトを覗いてみると、80年代のパッケ―ジそのままで今でも販売されていた。お値段550円、当時とさほど変わってないような気がする(一緒に写ってる透明のサムピックも当時愛用していた物。懐かしいなあ)ちょっとだけ甘酸っぱい記憶が蘇る。よし、次はこれを張ってみよう。オススメの弦はありませんかと直球質問してきた友人にも、早速LINEで知らせてあげた。

ご存じの方も多いとは思うが、カワセ楽器は当時からMASTERブランドの良質なギタ―を製造販売していた。70年代の初め頃、15万円前後だったろうか。欲しかったけれど、当時のマ―チンの半額くらいとは言え、そのような大金は持ち合わせていなかったので断念。代わりと言っては語弊があるが、ロ―コストモデルのBILLYを43000円で購入した(当時としては大金だったので今でも価格を覚えているという恐るべき執念)サイド・バックは合板なれどカワセブランドを持つ満足感だけが誇りに思えたのだ。確かケ―スは別売りで7000円ほど、それにレインカバ―を特注した記憶がある。ヘッドロゴは数種類あるようだが、私のは初期モデルだったのでこの画像と全く同じだ。


何故こんな変てこなロゴにしたのか、カワセ楽器に尋ねてみたいものだね(笑)

この思い出深いギタ―も今は手元に無い。例によって売っぱらってしまったんだろ、と思うでしょ。ところがどっこい奇跡的に残っているのですよ。これは大切なものだからと、長男に預けてあるのです。機会があったら引き取ろうかしら、およそ50年の時を経た今、いったいどんなことになっているのやら。ケ―スを開けるのが楽しみでもあり恐ろしくもあり、離別した子供と再会するような心境になってしまう。もしもその時が来たなら、この場でしっかり報告させて頂くつもりである。

2020年10月11日

今は亡き赤箱を偲ぶ

 

マ―チン・ブロンズライトM140、いわゆる赤箱と呼ばれていた頃のパッケ―ジ。外装は厚紙で作られた箱製で内袋も紙だった。市場の実勢価格が400円ほどで安価だったこともあり、古くから好んで愛用している者の他にも、取り合えずとか間に合わせといった類の需要もあり、ロ―コスト製品ながら長きに渡って多くのギタリストに貢献してきた歴史がある。かく言う私もご多分に漏れず重宝してきた一人であり、ダダリオや幾つかのコ―ティング弦をとっかえひっかえしながら、チョイスに困ったときは決まってこれにしていたほど、数あるアコギ弦の中でもスタンダ―ド的な位置にあったのだろうと思う。

私感ながら、ブロンズ弦はなんと言っても、ざらついた音のジャリジャリしたところがいい。それに加えて、張り替えた直後のギラギラ感、少し馴染んできた頃のツッパリ感、そして古くなってからのにゅるにゅる感といったように、音色を三度楽しめるところもブロンズ弦ならではなのだ。個人的にはライブを終えた後、数日間放置した頃合いの音が一番好きであり、その後数ケ月経過した頃のサスティ―ンが抜けた音もまんざら嫌いではない。要は、ストロ―クで弾くにはある程度の「雑味」があった方がいいのであって、それは私のみならずギブソンやマホガニ―のボディが好きな方には解って頂けるのではないだろうか。

それほど重宝されていた赤箱だが、数年前唐突に市場から姿を消し、後継と思しきMA140 AUTHENTICというポリ袋入りの(今風な)製品に変わってしまった。







商品レビュ―や評判は悪くなさそうだが(おそらく)ザラザラギラギラ感を後退させ、少しばかりの高級感を醸し出しているんじゃなかろうか。だとしたなら誰も買わない、むろん私も。せめてダダリオのEJ11やDARCOと同じくらいの価格であれば受け入れたのだが、実勢価格は赤箱の2倍、安売店でも800円は下らないという、ある意味プチブル的な階層に属してしまったのが中途半端すぎて気に入らない。・・ねえ、赤箱愛好家だった皆さんは今どうしてるの?

などと、思いもよらず(今は亡き)赤箱を褒め称えてしまったが、それというのも昨晩、友人からお薦めの弦を紹介してほしいと尋ねられたことから始まる。いきなりの直球質問、知恵や経験のキャパシティに乏しい私。答えに窮するそんなときのために赤箱が存在していたことを、改めて思い知らされたからである。


2020年10月10日

爺さんの古時計


20年ほど前になるだろうか、逆輸入の自動巻SEIKO-5がネットでやたら大量に売られていた。種類も豊富でおまけに安い。扱うショップもたくさんあって、価格は現在の半分ほどの5千円くらいだった。あまりにも安いんで、白と黒の文字盤のモデルをそれぞれ1個ずつ買った内のひとつがこれだ。ム―ブメントが日本製なので、今でも正確に時を刻んでくれてはいるのだが、唯一寒さにだけは弱い。冬場、冷えた室内に置きっ放しにしていると遅れ始める。寒がり屋さんなのだ。ここ二日間、11月後半くらいの低温だったせいで、ご多分に漏れず遅れてしまっていた。誤差が生じるのは機械式時計の宿命であり、この辺りがアナログとしての可愛らしさでもあるのだが、時計が遅れるのは進むことより問題が生じやすい。ましてや三日ほど放っておくと平気で10分くらい遅れてしまうのだから、気を付けてないとあたふたしてしまう結果になるのだ。そろそろ引退させてあげようかなあ・・
実はひとつのプランがあった。仕事を辞めて自由人となるにあたり、その記念というか自分へのご褒美というかで、腕時計を新調しようかと考えていたのだ。が・・サイトを開いてみると、興味を抱いた物はどれもお高い。そして冷静に考えると、決まった時間に家を出ることも無くなった人間に必要ないのではないか?という結論に至る。誰にも話してないので暗黙の裡に自己決着と相成った顛末。ちょっと残念、ちょっと悲しい、爺さんの古時計のお話でした。

2020年10月9日

台風14号チャンホン

 

台風14号、近づいているのだと思いきや、最新の情報では日本列島から離れて行きそうな気配。かなりの迷走ぶり。けどね、あんたのおかげで昨日から寒くて適わんのよ。



2020年10月8日

2020年10月8日

 


むさ苦しい絵ヅラで恐縮ですが・・本日68歳と相成りました。

昨年末の武漢ウィルス発生のニュ―スから始まり、その後はコロナコロナと連呼され続けながらの毎日でしたが、何事もなかったかのように今年も誕生日を迎えることができました。

渦中のコロナ禍に於いて自粛や規制が叫ばれる中、働き方改革ならぬ「楽しみ方改革」が、あらゆる場所で自然発生して行くのを目の当たりにすると、嗚呼・・人間てやつは何て素敵なんだろう!と思わずにはいられませんでした。生きることの力の源は、やはり束縛から生まれるのではないでしょうか。

理不尽に縛られ、激しい痛みや苦しみを受けることの屈辱や反発から、人はやがて、新しい社会を生み出すための強靭なエネルギ―を心と体に宿すものなのだと、今回の件で思い知らされました。ウィルスと対峙する人間の生命力って凄いものですね。不自由さに目くじらを立てるばかりではなく、如何なるときも自由奔放な遊び心を忘れずにいたいものです。


そんな私、ひと月ほど前に日々の労働から解放させて頂きました。いわゆる自由人。けれど賃金収入の無い貧しい爺さんは、いったい何処へ向かうのでしょう。それもまた一つの楽しみとして、ゆらりゆらりと、これからを生きて参ります。


2020年10月8日 かずら元年



2020年10月7日

ヘイトフル・エイト

2時間48分という長さから、ウォッチリストに入れたままだった本作、ようやく観ることが出来ました。エンニオ・モリコ―ネのテ―マ曲で始まり、謎めいた登場人物と先が読めない展開に目と頭が釘付けになるほど楽しめたのも、クエンティン・タランティーノによる脚本・監督の成せる業なのでしょう。六つのチャプタ―に分かれた構成が長い時間を忘れさせてくれます。後半にはR18+に指定されたリアルで凄惨な映像も出て来ますけど、文句なしに楽しめる映画だと思います。

ちなみに、お尋ね者ドメルグを演じたジェニファー・ジェイソン・リー。この人、ヴィック・モロ―の娘さんなんですね。のっけから殴られっぱなしの汚れ役、本来の美貌をかなぐり捨てての名演でした。さすがサンダ―ス軍曹のお嬢様!

2020年10月6日

じい散歩

 



丘の上の教会までの行き帰り、四千歩ほど。
本日の爺散歩なり。