親亀に子亀を乗せる作戦、完成から三日が過ぎました。エージングが進んだせいか、当初よりもしっかりと鳴っている印象ですし、M800とのマッチングも申し分ありません。PT20が絶妙のバランスで絡んでくる音は、単純に帯域を広げただけではなく、ややブーミー気味だった低域をも明確なものに変えてくれました。これがいわゆるスーパーツイーターを加えたことの相乗効果というやつで、フルレンジユニットの場合は高域のみならず全帯域に於いて粒立ちが良くなるのです。不思議に感じるかもしれませんが、PCに内蔵されてるスピーカーからの音は、高域が目立っていてもちゃんとベース音まで聴こえて来るでしょ?M800にあの高音域が加わることで低域の輪郭を明確にしてくれるんですよ。
今回は親子のユニットが同じFOSTEX製であり、ソフトドームという素材も相まって音の繋がりがとても自然でいいんです。出しゃばらず引っ込まず、ほどよい塩梅で耳に届きます。全体の音像は少しだけ高い位置になりましたけど、そのぶん定位感が増した感じです。そして前にも書きましたが、打楽器系の質感やピアノの右手のアタック感、ストリングスの厚みや艶やかさがPT20を追加したことで格段に向上しました。助っ人の参入によってM800に余裕が生まれたんでしょうね、きっと。以前ならいっぱいいっぱいだった曲も難なく鳴らし切ってくれます。これは想定していた以上の好結果ですね。子亀くん、ありがとう!
私の場合、24インチのPCモニターを間に置いてニアフィールドで聴いてますから、壁の反射音がモニターで遮られてるんだと思います。背面のモコモコ音は前に出て来ないので、より音の粒が立ってるんじゃないかなと。非力な小口径のユニットなので、モニター全体がバッフル効果となって良い結果を生み出してくれてるのでしょう。大きめのユニットで部屋全体に音を浸すのもいいですが、これはこれで楽しめます。
この箱庭的なリスニングポイント、今はとても気に入ってます。アンプのボリューム位置が9時くらいであっても、前に座っていると結構な音圧で聴こえますが、席を立って少し離れてみると驚くほどに小音量です(当たり前だ、笑)おかげで深夜でも隣室のカミさんを気にすることなく音楽に浸ることができるわけでして、親亀の上に子亀を乗せる大作戦は成功裏に終わったのでありました。私が組み上げたM800ミニ・バックロードホーンとPT20の音は(おそらく)日本一、いや世界一ではないかと自負しております。いやあ、いい音だわね!
親亀の上に子亀を乗せる、新春工作大作戦!(完)