先日、フリマサイトでOTTOの旧いアンプを目にしまして
それが送料込み三千円という潔い売り値であることと
札幌在住のお爺さまが趣味で調整や部品交換をされてることや
この個体も内部清掃やボンネット塗装などが施された上に
パイロットランプをLED球に交換したりしてあって
プロポーションも顔つきも70年代そのものとあっては
これはもうポチるしかないじゃないですか。
私の好みが見透かされているかのようにドンピシャなんですもん。
とは言いながら「いや、ちょっとだけ冷静になろう」
天の声が聞こえた気がして、ポチる前にあれこれ調べてみました。
OTTO DCA-301、1977年発売のエントリーモデルです。
W400mm/H155mm/D255mm、やや小ぶりなミディアムサイズは
往年のマランツやDENONの風貌にも似た感があります。
そして興味深いのは経年劣化が著しいトランジスタを多用せず
パワー段もイコライザ部もICで構成されていることでした。
発売当時の価格が¥27800という安価な製品ですから
コストを抑え込むために必要な手段だったとは思いますが
45年経過した今、これが幸いして動作不良が起きにくい気がしたのです。
この時代の多くのアンプはトランジスタやコンデンサの劣化によって
購入後暫くするとノイズの発生や不安定な動作になりがちなんですよね。
これは部品点数が多く回路も複雑な中級機や高級機ほど顕著であって
ある日突然プッツンしたり、ブツブツボソボソ言い出したりするのです。
そんな悔しい思いを今までに何度も経験しましたから
主要部品がIC構成で回路保護のリレーも入ってないということは
シンプルさゆえの良い結果が生まれるだろうと確信したのです。
けれどあくまで冷静を装う私は、その夜はそのまま床に就き
「売れていたなら縁がなかったということで良しとしよう」
そのまま眠りにつきまして、翌日の朝になってからポチリました。
わずか三千円の買い物に慎重すぎる、そうは思いましたけど
なにぶん根っこの辺りまでケチ臭い人間なものでして(笑)
しかしながら・・
翌日まで購入を待ったのにはもうひとつ理由がありました。
実はこのお爺さまがヤマハのCA-400も同時に出品されていて
コンデンサと抵抗を交換して綺麗に整備された個体が6600円だったんです。
こちらも好きなモデルですし、とても割安なので大いに悩んだわけですよ。
つまり本命はこちら、OTTOは補欠みたいな優先順位でしょうか。
翌朝サイトを開いてみると、やはり人気のあるCA-400はSOLDでした。
やっぱりなあ・・不思議と悔しさは全く感じませんでした。
負け惜しみではなく、それは私にとって良い結果だったと思うのです。
CAシリーズは音と美貌に定評があって私も一目置いていましたが
パワー部が高熱を発生するためなのかトラブルが多いんです。
よほどしっかりとメンテナンスされた個体じゃなければ
おそらく使い始めてじきに不具合が生じることでしょう。
そう考えると、回路がシンプルなOTTOの方が長く使えそうに思えて
当初の予定通り(確信を抱いて)購入したのです。
その日のうちに出品者さんから発送のお知らせがありました。
札幌からの到着は発送日の翌々日、期待がぐんと膨らみます。
わずか三千円の45年前のアンプ、果たしてその実態は如何に!
(続く)