さしたる思い入れなどなく
これが欲しかったというわけでもありませんけど
昨日から僕の部屋で一緒に暮らすことになりました。
MORRIS W-35、1980年前後の合板モデルです。
ライブではいつもGibson J-45を使用してますが
マホガニ―の乾いた音だけじゃなく
ちょっとだけ艶が欲しくなることが度々あったのです。
なので、新たにロ―ズウッドを戦力に加えるべく
あれこれ物色していた矢先に「出くわした」わけでして・・
休日の夕刻、ふらりと近所のハ―ドオフに立ち寄ると
アコ―スティックのコ―ナ―が拡張されてました。
その数30本ほど、以前の倍くらいはあったでしょうか。
その中に、縦ロゴが目を引くこの娘が居たのです。
しかも(超と言っていいほどの)お買い得な値札を首からぶら下げ
並み居る同時代のヤマハやキャッツ・アイの中にあって
個性的な存在感を露わにしておりました。
程度が良いことも一目瞭然でしたが
いくら安くても衝動買いだけは避けなければ・・
妙に「大人」な抑制が働いて、その場を後にしました。
以前の僕なら、即行でレジに向かっていたでしょうけどね。
それから二晩、ネットであれこれ調べてみたり
一時期手元にあったW-100Dのことを思い出してみたりしながら
明日、行ってみて売れた後だったなら縁が無かったということだろう。
さほど熱くもならないまま、そう思って床に就きました。
ご参考まで・・
これがW-100Dというモデルでして、指板にインレイが施され
バックがハカランダとメイプルの3ピ―ス構成で
見た目通りジャキジャキの硬質な音が好きになれず手放しました。
そして翌日、
まだそのまま残ってました。
店員さんに声を掛け、手に取って試奏。
低域がちょっとだけブ―ミ―で中域が張り出したこの感じ、
懐かしき70年代の「合板の音」でした。
けれどヤマハのFGほどは高域がギラつかず、
キャッツ・アイの低価格モデルよりは音に芯があります。
これは僕が狙っていたロ―ズの音、そのものですし
愛用しているJ-45に色気と艶を加えたような好印象でした。
しかも蒲鉾型のネックの厚みがツボ!
細くて厚みのあるネック、これが僕の理想形なのですが
この形状はたぶん80年代くらいまでで、以降はどこのメ―カ―も
どんどん薄くなって行ったように思えます。
ゆえに、近年モデルには好みに合った物が無かったのです。
左手のグリップ感とテンション、申し分ありません。
手に馴染みます。
古い個体ではあっても、幸いなことにネックはフラット。
捻じれも全く無いので音に狂いも出ません。
安心してレジへと向かいました。
この時代の国内生産モデル、職人さんの仕事は実に丁寧ですね。
フレットは綺麗に正確に打ち込まれ
近年モデルに多く見受けられるバリも全く有りませんし、
ネックのバインディングも角を丸く落として、とても滑らかに仕上げられています。
(僕がバインディングされたネックが嫌いだったのはそこに原因があるわけで
これくらい丁寧に仕上げてあるなら全く気になりません)
ブレイシングも実に綺麗、匠の技です。
指でなぞると滑らかで、ささくれ立った箇所など微塵もありません。
今どきの、板材も仕上げも悪い粗悪な海外製単板モデルとは比較にならぬほど
当時の職人気質の凄腕に魅了されてます。
合板を侮るなかれ!僕の持論でありますし
しっかりと丁寧に作りさえすれば、単板にも負けやしないのです。
人生で二度目となるMORRISとの出会い、長々と書き綴ってしまいましたが
これから各部の調整やらパ―ツの交換やら、気になる箇所は幾つかありますもので
皆さまと会って頂くのは少々先になることかと思います。
アリスとタイアップして一世を風靡したMORRIS、
それを携えて歌うのは気恥ずかしいんですけどね・・(笑)
能書き、でした。
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