2012年11月2日

アナログ回帰


アサイラム・レコードはこの時代が一番好きでした。
日本では東芝からリリースされていた頃で、この後ワーナー・ブラザースへと移行して
パイオニアから発売されるようになりました。
(営業的にはパイオニアへ移ってからの方が本気出してましたけどね)

手元に残されたわずかなアナログ盤の中に、73年のオリジナル・バーズがありました。
アサイラムが世に送り出したバーズ再編のアルバムです。


久しぶりに針を下ろしてみると・・
ああ、この雰囲気はやはりアナログでなきゃ伝わって来ないなあと実感しました。
デジタルに変換した時点で、空気感みたいなものが全て削ぎ落とされてしまうような
そんなことを思いながら聴き入ってしまいました。
音溝に刻まれた記録というのは「その時」の何もかもなんですからね。
カートリッジの針先が拾い上げる音はとてもリアルです。

この70年代初頭の頃までは、レコード盤そのものが厚くて硬めに作られていました。
気のせいかも知れませんが、それ以降の薄っぺらで柔らかな盤に比べると
音溝の耐久性もいいですし、スクラッチ・ノイズも少なく感じられます。


このオムニバス盤も、CBSがまだ日本コロンビアからリリースされていた時代の物ですが
ノイズも無く、音像がしっかり聴こえるくらいリアルなカッティングが成されてました。
ディランの初期の声やバーズの演奏も、CBSソニー盤とは異なり太く聴こえます。
おまけに、分厚い紙の見開きジャケットを開くと
さすが横幅60センチのアート、こんな世界が広がっているのです。


こうなると圧巻ですよね!

過去には千枚近く有ったLPレコードの殆どを手放してしまった私を含め、
我々はデジタル革命に浮かれて大切な文化財を失った気がします。
今からでも遅くはない、コレクターとしてではなくリスナーとしての立場から
安い物や掘り出し物を少しずつ買い戻して行こうかと思うのですが
巷ではアナログ回帰の風潮も見受けられるので値上がりが心配でもあります。
今のうちに叩き売りされてる物を探しに行かなくっちゃ!

2012年11月1日

カビ臭さがたまらないのです

嬉しい誤算というべきなのか、
Bluesのアナログ・ディスクはRCAのオムニバス盤以外は全て手放した筈なのに
ロバート・ジョンソンが2枚と、ビッグ・ママ・ソーントンが(奇跡的に)残っていました。
ほうぼう屋さんを訪ねて以来、Bluesをアナログで聴きたくなったなあと思っていると
デスクの下の奥の方に仕舞い込んである箱の中から発掘されたのです。
11月最初の日は、こんな感じでスタートしました。




ロバート・ジョンソンはリイシューですが米コロンビア盤、
ビッグ・ママ・ソーントンは東芝のプレスでした。
昔集めたジョン・リー・フッカーやライトニン・ホプキンス、サニー・ボーイ・ウイリアムスン、
戦前にフィールド・レコーディングされたYazooのシリーズ盤などなど、
Bluesだけでも100枚ほどは有ったアルバムが今は残ってないというのに何故これだけが?
・・謎です。

ただ、惜しいことにジャケットはかなりシミが付いてしまってます。
若干コーティングされた国内盤はまだしも、米国盤は紙の質が悪いのと
高温多湿な日本の気候に合わないので顕著です。
(反らないように米国盤は買ってすぐにシールを剥がしていたせいもありますが)
でもね、米国盤のジャケットのカビ臭さ!これだけは好きですね。
厚手の紙を使った国内盤とは全く違う臭いを発しています。
船便でのんびりと海を渡り、日本にやって来るまでの間の潮の匂いかも知れません。
そういえば・・
買って来たアルバムのシールにちょっとだけカッターの刃を入れて
つーっと口を開いた瞬間に、アメリカの空気を吸った気分になったっけなあ(笑)

それはさておき、さっそく明日にでも針を落としてみましょう。
円盤が回り、反りに合わせてアームが上下する様がたまりません。
そしてパッツン、ポッツンのスクラッチ・ノイズもデジタルには無い楽しみのひとつです。
Blues以外に他にも数枚懐かしいアルバムが出て来ましたが、それは明日にでも。

箱の中を漁ったときの印象ですが、残っている物が支離滅裂!
おそらく高く売れた「金目の物」以外が手元に残ったということなんでしょうけどね(苦笑)

2012年10月31日

冬支度


10月も終わり、そろそろ冬支度を始めなければなりません。
今日は冬物のパンツをまとめて7本洗濯しましたが
天気が良さそうなので、また明日も引き続き5本を洗濯する予定です。
・・え?計12本は多すぎるんじゃないかって?
お恥ずかしい話ですが、実はその内の半分はサイズが合わず履けなくなりました。
ここのところ、お腹がぽっこりしてきたもんで
ウエストが窮屈になってしまった物がほとんどなのです。
一度綺麗に洗ってから、仕舞うなり処分するなり考えようかと。。

午後から少しだけ陽が翳ってきましたが、外に干したまま散歩へ出掛けました。
途中、友人に電話した折「夕方頃に降るかも・・」と言われ空を見上げると
怪しげな黒い雲が西から東へゆっくりと流れて来るではありませんか。
こりゃいかん、せっかく洗ったのに濡れてはかなわん、とばかりに
急いで家まで戻り、全部取り込んでから再び散歩コースへと向かったのでした。
(自分で洗濯した物が雨に濡れてしまったら怒りが込み上げますもんね)

しかし・・
黒い雲はそのまま通り過ぎ、雨が降ることはありませんでした。
用心してるときってのは、得てしてこんなものなんでしょう。
急病の友人も快方に向かっているようで
めでたしめでたし、な10月最後の一日でございました。

ところで、昨晩のBlogのタイトル「Wet man」
憂いのある男、というつもりで書いてしまったんですが
よく考えたら「湿気た男」ですよね、こりゃあ。
かずら元年の人間性、言い得て妙です(笑)

2012年10月30日

Wet man


私のように、何度か入退院を繰り返した者であればいざ知らず
スポーツで鍛えた肉体を持ち、爽やかな笑顔の似合う者が急な病を患い
それが私よりも遥かに若い方だったりすると、何だかとても心配になります。
友人の体調が思わしくないと聞き、今夜は少々気を揉んでいるのですが
大事に至らず、快方に向かってくれることを祈るばかりです。

こんな夜は、何か爽やかな音はないかしらと
がさごそ探して出て来たのがアメリカでした。
(私の部屋にはヌメッとした音源の物ばかりなもんで)

結果、期待したほどの爽やかさは無かったのですが、私にはむしろそれが好印象。
個々の楽器もボーカルも、音が細くてクリアな音像なのですが
ぎらぎらの乾いたカリフォルニアの空ではなくて、少しばかり湿った影があります。
調べてみると、三人共イギリス育ちでアメリカン・スクールに通っていたそうです。
なるほど、やっぱりね。あの辺りの空気を吸ったミュージシャンは皆いいですよ。
かのイーグルスも、ファースト・アルバムは敢えてロンドンでレコーディングしてましたし
ややどろどろしてヌメッた感じの音のファーストが私は未だに好きですもの。
スコーン!と抜けるんじゃなくて、モノラルっぽく真ん中の芯がどっしりした音。
アトランティック盤が好きだったのも、その辺の音作りのせいだと思いますけどね。

いや、待てよ。
60年代後半に台頭して来たカリフォルニア・サウンドって
どれもブリティッシュ風な音に仕上げられてるなあ。。何故?
ま、ここから先は評論家諸氏やコレクターの方にお任せしましょう。

余談ですが、
iPhone5でこのアルバム・ジャケットを撮影したとき
イラストの顔に対して「顔認識」のインジケーターが働きました。
おまえ、賢いなあ!と、褒めてあげるべきなんでしょうかね?

さらに余談となりますが、
音楽も映画も文学も、少年時代から一貫して憂いを含んだものが好きなのは
私の心が病んでいるからなのかしら。
そんな男に気を揉まれても、前述の友人はありがた迷惑なのかも知れませんが
早く良くなって、いつもの笑顔を見せてほしいと願うのです。

2012年10月29日

冬はアナログだ!酒だ!人間だ!!


ほうぼう屋にて三十数年ぶりに再会したヨシムラくんから
店内で撮影したとても素敵な写真が届きました。
彼がバッグの中に忍ばせていたミラーレス一眼で撮られた一枚なんですが
私、こんなに柔らかな表情でカメラに収まるなんてこと滅多にありません。
歌ってるときよりも、よっぽどいい顔してますもんね。
旧友と酔いしれる時間が、よほど心地好かったんだろうなあと思います。

この絵が大いに気に入ってしまった私は、ふと思ったのです。
これは先々の葬儀に必ず使ってもらうべきだ!と。
かなり現実的な位置に居る私ですから、決して冗談で言ってるわけではありません。
こんな幸福そうな柔和な目で、皆さんとお別れできたなら素敵じゃないですか。

ただ、あまりそれを強調すると、撮った本人から縁起でもないと叱られそうなので
さらっとこれくらいに留めておきましょう(笑)
けど、いい絵だよなあ・・

いい絵といえばもう一枚。
やはりヨシムラくんから送られて来た酔っ払い三人衆。


さすが一眼、いい色合いしてますよね~
先日UPしたiPhoneで撮ったものとは奥行き感が違います。
前述の絵もそうですが、私みたいに薄っぺらな人間でも深みが出るっちゅーもんですわ。
いろんなものが凝縮されてるようで、とても温かな色彩の絵です。

そうそう、ツトムと寄った二軒目の店で飲みながら
「どう?機会があったらまた一緒に演りたい?」て、尋ねてみたんです。
すると彼、「そりゃあ演りたいさあ~」と、眠そうな目で答えてました。
ほぼ意識を失いかけてたんで、たぶん全然覚えてないんでしょうけどね(笑)
実現できるかどうかは別として、そう答えてくれたことが嬉しかったです。

あれからずっと、気分の良い夜が続くもんですから
今夜は久しぶりにアナログ・ディスクを回してみました。
テリー・メルチャーの声が、冷えた部屋の空気を暖めてくれます。


さて、次は何を回そうか?
などと考えている暇(いとま)も無く、ついいつもと同じジャケットを引っ張り出してしまいます。
ああ、やはり出て来てしまいました。ステファン・スティルスのCBS盤。
このアルバム、ほとんど話題にならなかったと思いますし
アトランティック盤も勿論いいんですが、私は妙に気に入ってるんです。


本日の総括として・・
冬はアナログだ!酒だ!人間だ!!
そう思えて仕方ないのであります。

2012年10月28日

こわやこわや・・


翌日、ツトム邸で目覚めたのは12時ちょうど。
家の前を走る車の音が間近でずっと聴こえていたせいか
夜中に何度も目が覚めたのですが、窓を締め切った部屋は明かりも入らず
おまけに家の中がしーんと静まり返っていたものですから
これはまだ起き上がるような時間ではないのだろうと思いながらうとうとしていたのです。
足元で寝ていた筈のタロウも居ないし、ツトムが犬の散歩から帰ったら起きようか
なんてこと考えながら焼酎臭い息を吐いて再びうとうと・・
暗がりの中で、ふと外してあった腕時計を見て「げっ!もう昼じゃん!!」てことになった次第。
奥さんや娘さんが在宅の日だったら「なんや、このおっさん」みたいに思われたでしょうな、きっと。
飲んで人様のお宅に泊めて頂いた翌日、昼近くになってからむっくりと起き上がり
食卓に用意された朝飯とも昼飯とも言えない微妙な時間帯に
奥様を目の前にしながら食事をする気まずさっていったらないですからね。
奥様も娘さんも所用で不在の日だったことが幸いでした。ふうぅぅ。。

ひとしきり会話をした後、帰りは井の頭線で渋谷へ出るのが良かろうと
ツトムが吉祥寺まで送ってくれると言うので、またまたお言葉に甘えることに。
細い裏道・抜け道も、日曜だったせいか五日市街道に出る直前で大渋滞。
悪いことしたなあと思いつつ、ようやく駅まで辿り着きそこでバイバイ。
歩き出してみて気が付きました、まだ酒が残ってる(笑)
吉祥寺なんて、いつ以来だあ?10年?15年?久しぶりだよなあと感慨に浸り
懐かしさのあまり、ちょいとその辺をブラついてみようかとは思ったものの
日曜の人並みは物凄く、おまけに再開発で景色は変わってしまってるし
田舎もんが歩き回るには酷な環境だろうと決め込み、そそくさと駅に入ってしまいました。
旅慣れてないと、こういうところが駄目なんですよね。

それにしても、東京って凄い処ですねぇ。
半ば強制的に流れに乗せられてしまうような怖さがあります。
山手線がホームに入って来るときのスピードに驚き、
それがわずか3分間隔で次の車両が入って来ることにまた驚き、
乗り損なっても次がすぐ来るのに、敢えて飛び乗る乗客の姿にまたまた驚き、
みんな、なんて忙しい暮らしをしてるんでしょうね。
分刻み、秒刻みの営みに慣れてしまった都会の人間たちのうねりが
この国を物凄いスピードで引っ張って行ってるような、そんな風に思えるのです。
渋谷駅のモヤイ像の顔を見ていると、なんだか憂いを感じます。
僕らが棲んでいた頃の、人通りもまばらだった渋谷には
呼吸できる隙間と実感できる空があったものですが
それが、今は無い。

駅前の、人とは認識できないほどの塊になった群衆を見てしまうと
いくら用事があったとしても、あの中へ身を投じることだけはできないでしょう。
電車の窓から見た情景は、まるで奈落でしたもの。
乗換えで素通りするしか、私にはできそうにありません。
もはや都会恐怖症にまで陥ってしまったのでしょうか。
こわやこわや・・


2012年10月27日

西荻窪にて


西荻窪ほうぼう屋さんにて、同窓会的な飲み会を催しました。
四十年ほど前、私が渋谷ジァンジァンで歌っていた頃のサポート・メンバーでして
左が7年ぶりに逢うベースのツトム、右が30数年ぶりの再会となったギターのヨシムラです。
二人とも当時はまだ高校生、私は二十歳になったばかりくらいだったでしょうか。
若く凛々しかった少年たちの姿も、今ではこんなになっちゃいました(笑)

それぞれの思い出やら記憶やらを肴に酒は進みます。
なんと言っても大昔の話ばかりですから、
誰かが当時のエピソードを口にしたとしても
三人の内の必ず一人くらいは思い出せないでいました。
老齢化のせいかも知れませんけどね(苦笑)

いやあ、ずいぶんと飲みました。
途中退席したヨシムラを見送った後もツトムと飲み、
閉店の時刻を過ぎていることにも気付かず居ました。
(女将、申し訳ない!だって居心地が良すぎたんですもの)


そそくさと会計を済ませ、近所の店で軽くもう一杯飲んでから
ほぼ意識を失いかけている上石神井のツトム邸へ向かうためタクシーを拾い
いきなり運転手に「京都まで行ってください」などと馬鹿な冗談を飛ばしつつ
無事に?ツトム邸のお布団に潜り込むことができました。
私、バタバタと大急ぎで横浜へ帰るつもりなどハナから無く
ツトムのお言葉に甘えて、当初から一泊させて頂く予定で来ていたのですが
日頃はひたすら朝を待ち、始発電車で帰宅することが多かったものですから
横になって寝られるというのはとても有り難いことでした。
彼の愛犬タロウが妙に懐いてきて、とりあえず口元をベロベロ舐められ
布団が敷かれると私が寝付く前までは足元で寝ていました。
久しぶりの犬との接触、それもまた嬉しかったなあ。

話は戻り、Blues居酒屋ほうぼう屋さん、お世話になりました。
期待していた通りの温かでいいお店でした。


一人で店を切り盛りしているスーちゃんも一緒にパチリ。
実はこの方、実力派ブルーズ・シンガーでもあるのですが
生き方に勢いを感じるほどパワフルな女性でした。
Facebookでは以前から繋がっていましたけど、お逢いするのは今回が初めて。
これもまた良き出会いとなりました。

人間て、いいなあ。