忠さん、あなたは私にとって
五人目のはっぴいえんどだったんですよ。
1stアルバムで一番好きだったのが
この「機関車」と「からす」だったのも
ほぼ同じタイミングでリリースされた
はっぴいえんどの「風街ろまん」と
全く同じフレーバーだったからです。
アメリカンポップスを愛した大瀧さんは福生へ
土の匂いに拘った細野さんと忠さんは狭山へ
それぞれが米軍ハウスへ移り住み
数々の名曲を生み出した時代に
自身のバンド名を自虐的に
フォー・ジョー・ハーフ(四畳半)としたり
あなたの放つ都会的な洒落っ気が好きでした。
それはアルバム「HORO」で更に磨きがかかり
You Gatと歌う「ゆうがたラブ」のリフや
Horoと歌う「ほうろう」のリフが
とても新鮮に、心地好く耳に入って来たものです。
そして衝撃的だったのは「機関車」のアレンジでした。
カントリーフレーバーだったオリジナルが
「HORO」ではR&Bに曲調を変え
サビのメロとコードをマイナーに変えたことによって
(目が潰れ 耳も聞こえなくなって それに手まで縛られても)
この歌詞が途轍もなく強いものになったからです。
75年、この時に受けた衝撃は今でも忘れられません。
冒頭で「五人目のはっぴいえんど」と表現したのは
エイプリルフール絡みの人脈であることに加え
アメリカンミュージックを日本の風土に合わせて
品種改良に貢献した(日本語で歌う)一人だったからです。
忠さん、あなたは私にとっていつまでも
「五人目のはっぴいえんど」であり続けることでしょう。
私がそちらへ行ったとき、また歌を聴かせてくださいな。
忘れものは もうありませんねと
機関車は走るのです
君はいつでも僕の影を踏みながら
先へ先へと走るのです
目がつぶれ
耳も聞こえなくなって
それに手まで縛られても
「機関車」