2012年11月17日

The Heart of the Song


LP盤をのんびりとした気分で聴くためには、ゆったりした時間を持て余し気味の夜が一番なのでして、さすがに昨日今日は余裕が無いせいか(やむなく)CDの棚から何枚か取り出して聴いています。
私は好きなアルバムをBGMとすることは好まず、「聴くなら聴く」でがっつり集中してないと気が済まないところがあるので、こうしてBlogの文章を打っていても手が止まってしまうことが度々あります。耳が音に惹かれてしまうと、言葉が何処かへ飛んで行ってしまって先へ進まなくなり、挙句は書こうとしていたことまで思い出せなくなる始末で、何度も打ち直しするのはもはや日常茶飯事となってしまいました。二つのことを同時になんて、私には出来っこないのです。
ならば軽く行こうと、今夜はエイモス・ギャレットを掛けてみましたが、やはり途中から聴き入ってしまい、わずか数行の辺りを行ったり来たりしています(苦笑)

Amazonの「欲しいものリスト」に幾つかの商品を入れておくと、時折「値下がりしました」と表示されていることがあります。その誘いに乗せられたわけではないんですが、あまりにも安くなっていたのでCDを何枚か注文しました。その内の2枚がこれ。



ブリティッシュ・フォークのオムニバス盤、2枚組で何と¥700!これはお得な内容です。明日大阪から到着予定なのであります。楽しみ!!

2012年11月16日

ジムラン

JBLはジェームス・B・ランシングによって創設されたスピーカー・メーカーです。今はどうなのかよく分かりませんけど、私の若い頃は誰もが「ジムラン」と呼んでいたので私もそうしてました。ところが或る日、ちょっとスカしたお兄ちゃんがお洒落に「ジェビル」なんて口にしたものですから、何だか宝石みたいなその聞き慣れない言葉にとても驚いた記憶があります。
「ジムラン」と聞くと強く逞しい姿がストレートに伝わって来ますし、前述の「ジェビル」と聞くと高級で品のある印象を受けますし、そのまま「ジェイ・ビー・エル」と発音されると端正で律儀な堅物を想像してしまいますし、名前というのは呼び方によって印象はずいぶんと変わってしまうものですよね。私はいつの頃からか「ジェイ・ビー・エル」と呼ぶようになりました。たぶんハーマン・インターナショナルに買収された以降は周囲の大勢がそうだったからなんでしょうけど、あの会社は高級オーディオ・メーカーを数多く傘下に収めてましたから、もしかすると「ジェビル」はハーマンの日本法人が仕掛けたことなのかも知れませんね。違っていたらごめんなさい。

さて、25日ぶりに労働に励んで来た今夜は少々疲れております。こんな夜は「歌もの」よりも、どうしてもこっちの方へ行ってしまいがちです。


ジムランとブルーノート・ジャズ、何故にこれらは相性が良いのでしょう。気持が良すぎます。業務用のスタジオ・モニターは無論のこと、民生機としてもJBLの功績はやはり偉大に感じますね。
リスナーとしての私、ジャズを聴きながらでも焼酎が進むというあたりが極めて日本的なんですが、どっこい日本人として、これは王道ですよね!

2012年11月15日

JBL mini


命の洗濯とも言えるような長い長い休暇も本日で終わり、明日からはまた時間に追われる日常が始まろうとしています。毎日何かしらの作業を見つけてはコツコツと身の周りを整理整頓したり、はたまた安いアナログ・ディスクの探索に出掛けたり、さしたる計画も無く思いつくままに過ごした3週間ほどではありましたが、ゆったりのんびりした中にも自分なりにはかなり充実した日々だったように思えます。特に長らく愛用していたアナログ・プレーヤーが故障してしまったことから格安良品のDENON DP-1700と巡り会い、長らく懸案となっていた私の部屋のオーディオ機器の再構成と放置されていたレコード盤の整理を終えることが出来たのが一番の収穫でした。
ただ、趣味としてのこれらは一度拘り始めるときりが無くなるものでありまして、休日最終日の今日は何もせずただひたすら音楽に浸っていようと思っていたにも関わらず、とんだ勘違いから某ショップへ無駄に足を運んでしまい、帰宅した後もふと思いついたかのようにいきなりJBLのスピーカーを引っ張り出し、すでに完結した筈のデスク上の棚を再々構築してしまうことに相成ってしまいました。ぼーっとしているとイメージばかりが膨らんで、あれもこれも試してみたくなる習癖なもので、スペースの寸法を測り、上手くそこに収まることがわかると即実行してしまうのです。決して働き者ではないんですが、楽器とかオーディオとか己の守備範囲についてだけは行動が素早いのでして、それは思い立ったその時に深夜早朝おかまいなしに始まるのです。

かくして本日も日がすっかり暮れてからの急な作業となってしまいました。引っ張り出されたのはJBL 4312M、私も一時期愛用していた往年の名機4311~4312をそのままダウンサイズしたミニ・モデルです。


わずか300X180X180mmのコンパクトサイズなんですが、見ると分かる通りユニットの色形を含め4312と全く同じ風貌を持っているので、写真だけだと通常サイズの4312とうっかり見間違えてしまいます。(数年前に私がこれをオークションで落札した時、実は最後まで勘違いしてたという笑えない事実があるのです)
そんなこんなで手元に届いてからも、その経緯から何となく気まずさだけが残ってしまい、この個体を恨んだわけじゃないんですが、あまり真剣に聴くことも無いまま仕舞い込んでしまいました。「こんなに小さい体で3Wayはバランスが悪かろう」と、無理に言い聞かせて納得してしまったのです。以来、部屋の片隅の物置みたいな場所にずっと放置されていましたが、「お?あれならここのスペースにちょうど収まるぞ。はて、どんな音だったかな?」ふと思い出した途端、体はすでに発掘作業を始めていて、あっという間にセッティングは終了していたのでした。

数年ぶりに顔を合わせた小さなJBL、どんな鳴りっぷりなのか満足に覚えてなかったので早速アナログ盤で音を聴いてみることにしました。昨晩聴き込んでいたアーロ・ガスリーに針を落とすと・・予想もしなかった分厚い音で鳴り響きました。図体はミニですけど紛れも無くJBLの伝統的な音です。ついこの間までフルレンジのオーラトーンを絶賛しておきながら、マルチ・ユニットでしかもこんなに小さな箱から理想的な音場が表現されるなんて意外な驚きでした。マルチでありながらフルレンジのような音の繋がり、これはもしかすると今一番欲しかった音なのかも知れません。JBLが奏でるバーバンク・サウンドは70年代のいい雰囲気をそのまま伝えてくれてるようで、思いも寄らぬ好結果に大満足と相成った次第です。

そんなわけで長期休暇最後の一日は、そんな慌しい内容で締めとなりました。十分に体を休めることは出来ませんでしたが、気持良く(最後の)夜を迎えられたことが何よりかと思います。さあ、明日から社会復帰です!(少々気は重いんですけどね)


そんな夜のお供はJ.Tで始まりました。JBL mini、本領発揮のサウンドかと思いますが、早めに寝なければいけないので今夜は後片付けが楽なCDで聴いております(笑)

2012年11月14日

タチバナ・レコード


父親が偉大すぎたせいもありますが、息子であるアーロ・ガスリーを私は好んで聴くことがありませんでした。過去に彼のディスクを数枚持ってはいたものの、ほとんど耳にすることも無く手放してしまったくらい私の中では印象の薄い存在だったのですが・・
今日立ち寄ったレコード店でこのアルバムが目に留まり、値段も安かったので「久しぶりに聴いてみるか」みたいな軽いノリで買って帰り針を下ろしてみて、己の浅はかだった捉えどころに呆れるほど素晴らしい内容であることに驚いてしまいました。全曲どれをとっても素晴らしいアレンジで、私好みのミュージシャンがバックを固め、これぞバーバンク・サウンド!のオンパレードではありませんか。ストリングス・アレンジがニック・デカロだなんて、それだけでもご馳走様~てな気分になるってものです。すみません!アーロ・ガスリーさん、あなたを過小評価してました!!
それにしても、リプリーズ盤はどれもいいですなあ。。改めて実感してます。


立ち寄ったレコード店というのは、六角橋から鴨志田へ移転したタチバナ・レコードさん。今日初めてお邪魔しましたけど、綺麗な店内にきっちりと整理された状態で陳列されているレコードたちを見ると、店主が如何に愛情を込めて販売しているかがよく分かります。応援するためにも沢山買ってあげたかったのですが、懐も寂しくなってきたことですし相変わらず安くて買い得な物だけにしか手を出さない主義なので、レナード・コーエンの「LIVE SONGS」とエリック・アンダースンの「SWEET SURPRISE」、そしてこのアーロ・ガスリーの3枚を計三千円ほどで購入させて頂きました。藤が丘の娘の家にも近いので、これから先も度々足を運ぶことになるでしょう。

出掛ける直前にアマゾン経由ビックカメラから注文していた商品が届きました。
スタイラス・クリーナー、アナログ派には欠かせない針先を掃除する専用アルコール液です。


早速20年超の高齢なカートリッジの針先を全部磨いてあげましたが、ダンパーの劣化の方が大きな問題なんですから針だけ綺麗にしても・・と、いくぶん自嘲気味になっております(笑)
でもいいんです。小さな円錐形のダイヤモンドは光り輝きピッカピカになりましたからね。

そろそろ冬本番、寒くて乾燥した気候はレコード盤の再生にとってあまり良い環境とは言えないのですが、何故でしょう?冬のピンと張り詰めた空気がアナログにはとてもよく似合うのです。心と体が温もりを欲しているからなのかも知れませんね。

それを感じることができる冬、私は好きです。


2012年11月13日

電球の温もり


ON AIRの電飾を外して小さなデスク・ライトを置き、ターンテーブル周りの整理がようやく完了しました。レコード盤を照らすのは、やはり(普通の)電球がいいですね。クリプトン球の淡い光がアナログには欠かせない気がするのと、寒い季節にはわずかながら部屋を温めてくれる効果があります。ただし、節電対策の逆を行ってるようで少々後ろめたさは感じておりますが・・

長い眠りから覚めた推定年齢20歳のM44Gですが、今夜は何故か歪が目立ちます。いくら元気そうに振舞っていてもダンパーは古くなってるでしょうし、これは新しい物に替えてあげなきゃ駄目かも知れませんね。うーん、遂に現行型と交代する時が来たということか。サウンド・ハウスで¥4580、Amazonで¥4979、送料を考えたら密林の方が得でしょうけど、うーん現行型かあ。。悩みます。

社会復帰二日前となる明日は、藤が丘の娘宅へ行くついでに鴨志田のタチバナ・レコードを覗いてみようかと思ってます。あ、正確に言うと「ついで」は娘宅(笑)

2012年11月12日

楽しい夜更かし


ご意見は様々あるかも知れませんが、ソロとしての大瀧さんのアルバムの中では「ナイアガラ・ムーン」が最高傑作であると私は今でも確信しています。はっぴいえんどの流れを汲んだベルウッドのアルバムも勿論好きではあるのですが、リズムを重視した音作りに徹したこの遊び心満点なアルバムこそ、その後のナイアガラ・レコードのスタイルを確立して行く上で大きな礎となった筈なんですから。26年前に(当時の大瀧さんのお抱え運転手だった)京都の故・岸本哲クンから頂戴したこのサンプル・アルバム、今聴いても実に楽しい!

このアルバムがリリースされた後、エレック・レコードが傾いてしまった為にレーベルはコロンビア・レコードに移籍することになったのですが(その後再度CBSに移籍)まだこの当時はアナログ全盛の時代、私が所有していたのは全てLP盤でCBS移籍発のアルバム「A LONG VACATION」まではシングル盤を含め全タイトルが手元に有ったと思います。(有った、と過去形なのは金に困った時期に全部売り払ってしまったからなのでして・・情けない)
けれどこのアルバムだけは手放すことが出来なかったのです。「ナイアガラ音頭」のDJコピー盤に7万円もの値が付いたり、布谷文夫さんのアルバム(ポリドールからリリースされたが全く売れずすぐに廃盤になった代物)が1万円で売れたり、ナイアガラやURC絡みだけでも総額数十万円にはなったおかげで家族を守ることが出来たという逸話があったとしても、これだけは持っていたかったのでした。

レコード番号NAL-0002、しぶとく持っていたご褒美なんでしょうか。エレック~コロンビア~CBSと移籍する度にジャケットの裏写真が変更され、今は全く別の画像が使われているようです。私が所有しているオリジナル盤はこんな感じなんですが、これぞ大瀧ハウスと呼べる世界がそこには在るのです。


ね、素敵でしょ!この写真。レコードに囲まれ畳に寝そべる無国籍状態の師の姿に感動したものです。まさに、さよならアメリカ さよならニッポン。この空間からナイアガラ・レコードが誕生したという歴史的な一枚なんですから、これはこの先も絶対に手放すわけには行きません。哲ちゃん(岸本クン)の形見とも言えますしね。いやあ、それにしてもいい写真だあ~

前述のレコード番号についてですが、NAL-0001はシュガー・ベイブだったんです。それも売り払ってしまいましたけどね。でも後悔はしてません。オリジナル盤のほとんどを手放してしまったのは残念ですが、今こうして家族の皆が平和に暮らしていられるんですからね。売られて行ったレコード盤たちも本望だろうと都合良く考えることにしています(笑)

ああ、何年ぶりでしょ。このアルバムに針を落としたのは。いや、それ以前に空気に触れさせたのが一体いつ以来になることやら。幸いなことにジャケットも盤面もカビていませんでした。国内盤のコーティングされた厚い素材のジャケットは、やはりこの国の風土に適合したものなんですね。恐れ入りました!

アナログ三昧な今日この頃、懐かしい音に触れさせてくれたのもやはりDENONのおかげなんでしょうか。こうして聴いていると、福生の大瀧さんのお宅にお邪魔して朝までブラックジャックを楽しんだ思い出が蘇って来ます。ナイアガラ・ムーンをレコーディングした後、伽藍とした45スタジオに唯一置いてあったリッケンバッカーは今でも記憶に残っています。そんな「楽しい夜更かし」については以前の日記をご覧になって頂ければと思います。

ちなみに先日レコファンで百円にて購入(買戻し)した「EACH TIME」の内袋、これはたまりませんね!




2012年11月11日

ガラードとディスク・プリーナーの思い出


ガラード401、リム・ドライブの無骨で重々しいこのターンテーブルを初めて目にしたのは渋谷の百軒店に在ったロック喫茶ブラック・ホークでした。元はジャズ喫茶であったその店のブースの中で、2台が並べて置かれ、オルトフォンのSPUというこれまた重量級でゴツイ顔付きのMCカートリッジで休み無くレコードが掛けられるのを見ながら「カッコいいなあ・・」と、羨望の眼差しで見つめていたものです。時は70年代初頭、渋谷の街が今ほど賑やかではなかった頃のことですが、ペンタングルやフェアポート・コンヴェンションなどを知り得たのもこの店のおかげでした。木の椅子に腰掛け、一杯の珈琲を注文して数枚のアルバムを聴きながら過ごす時間は、当時の私にとって最高の贅沢だったことが思い出されます。そして、いつか自分の部屋でガラードとオルトフォンのセットで音楽を聴きたいものだと思ったほどに、私はこのカッティング・マシーンのような風貌のターンテーブルに一目惚れしてしまっていたのです。
残念ながらその想いを果たすことは出来ませんでしたが、一番好きなターンテーブルは?と問われれば、今でも私は躊躇無くガラード401だと答えることでしょう。仮にこの先、ひょんなことから手に入りそうになったとしても今さら家に置こうとは思いませんけどね(笑)
形こそ異なりますが、その後DENONのターンテーブルが好きになったのも、業務用としての同じ匂いを感じたからだったような気がしています。


watts PAROSTATIK DISC PREENER、この円筒形のレコード・クリーナーの存在を初めて知ったのもブラック・ホークだった覚えがあります。ブース内で次に掛けるレコードの盤面をスルスル~ッとこれで拭いていたような・・おぼろげですが、シンプルで無駄のない形状のこの製品を私は今でも愛用しています。細かく複雑な溝で刻まれているレコード盤の埃を完全に除去するのは不可能に近いことですから、クリーナーで拭き取るなんて行為は単なる気休めにしか過ぎません。いくら上質なベルベットで作られた見た目にも高級感溢れる物であってもそれは同じですから、比較的安価でスマートなこれを当時からとても重宝していたものです。


ちょっと分かり辛いかも知れませんが、中にスポンジを詰めたパイプが入っていて、それを水で濡らしてから挿入すると表面のベルベット素材に湿り気を与える構造になっているので、一般的な(乾いた)クリーナーに比べると静電気の発生を若干抑えることが出来ます。これはある意味とても合理的な発想で、水分の含有率は大きく異なりますが水で湿らせたガーゼで拭き取るのと同じ効果がありますから、ある程度の汚れや埃の除去には効果があると思います。ま、前述の通り「気休め」程度の話ですけどね。

ガラードとディスク・プリーナーの思い出、でした。