2013年5月26日

棘だよ、棘!


五十を迎えたと聞き
その友人に逢いたくなって反町の店へ出掛けた。

私のHOMEとも言える国道沿いの小さなライブ・バー、
以前はそこで月に一度は歌っていた私だが
最後に店に顔を出したのは昨年の10月のこと。
店主に会うのも、1月にサムズ・アップで催された彼のブライダル・パーティー以来だった。

何も変わってなかった。
店も店主も、友人もそのバンドの音も。
自らをパブロック・バンドと呼ぶ彼らの演奏を聴きながら
そこで飲むビールの味はこの上なく旨いし、
私にとってはとても贅沢な時間なのだ。

ロケットメンの諸君、ありがとう。
昨夜も楽しませてもらったよ。
ROCKが不良の音楽と揶揄されていた時代、
あの頃に連れて行ってくれる君らは最高だ。

私が中学生の頃、田舎に1軒だけあった生バンドが演奏してる店に行き
ワクワクしながら(ワルそうな面構えの)バンドを夢中で観ていたことを思い出す。
不良っぽくて不健康そうな、それこそがROCKだった時代である。
それが今じゃ、どれも健全で綺麗すぎてつまらないし退屈だ。
そう、毒が無い。

お互いが傷を舐め合うような、そんな気色の悪い優しさじゃなく
突き放し、否定することの根底にある優しさがROCKだった筈だ。
そんなことを考えながら飲んでいた。
いや、それを思い出させてくれるのが彼らの演奏なのだろう。
カッケェ~と思いつつ、実は嫉妬することもしばしばあるのだ。

ROCKは棘だよ、棘!



いつもなら電車を乗り継いで行くその店まで
昨日はふと思い立って横浜から歩いてみた。
ダイヤモンド地下街を抜け、外れにあるバナナ・レコードの棚を冷やかし気味に覗き
地上に出て鶴屋町の歩道橋を渡り、沢渡の丘の辺りまで行くと
夜風がとても心地好く感じられた夜だった。
案外と近いものだし、また歩きたくなるコースだね。

*

2013年5月24日

伝染るんです


さて・・
明日は所用で家を早くに出なければならないので
焼酎をさくさくっと飲んで床に就くことにします。

恥かしながら、早いとは言っても
それはあくまで私の生活習慣に於ける早さでして
世間一般の方からすれば、むしろ遅いくらいの時間なのですがね。

宵っ張りの朝寝坊な不良オヤジなもんですから
朝ドラが始まる頃に起き上がるだけでも大変なことなのです。

昼間はグースカ寝てばっかりのこの娘、
夜が更けて来るとシャキーンとした眼で起き上がるのも
主人の生活リズムのせいかも知れません。

伝染るんです。by 吉田戦車

*

2013年5月23日

正規紛い品


ガサゴソと、夜になると何かを始めるのが私の習癖。
今夜はベッドの下からこいつを引っ張り出してみた。

ShenandoahのMD-18
その昔、黒澤楽器が韓国の工房に作らせていた物で
ボディ内部にはby C.F.Martinと刻印されている。
50年代のD-18のコピーではあっても、「由緒正しき」紛い品なのである。
ロング・サドルにラッカー仕上げと、見た目もかなりの美形であり
トップ材以外は合板なれど、これもまたよく鳴る自慢の一品なのだ。

店頭で一目惚れして購入したのは20年ほど前だったろうか。
ほどよく鳴らし込み、経年の賜物で板材の水分は完全に飛ばされて
今は当時以上に乾いた音で元気に鳴ってくれている。

数年前、下北沢LOFTで初めて披露した折に
リハのサウンド・チェックを終えると店主が血相を変えて飛んで来て
「これ、何者!?」と、驚かせた逸話があるくらいだ。
エアーで集音すると、それくらいよく鳴る。

実は今、「相棒」を物色中。
ライブを再開するにあたり、こちらをその気にさせてくれる音を
とっかえひっかえしながら、あれこれ試している最中なのだ。

移り気で浮気心が旺盛な私にとって
これは一番の難題!である。


:*

2013年5月22日

バレバレのインチキが好き

力作、なんて代物じゃありませんけど
こんな幼稚でアホらしくなるような悪戯が好きなんです。

大昔にヤフオクで入手した粗悪なデカールが有ったもんで
数年前アリアのドレッドに貼り付けてみたんですけど
今、改めて見てみると、我ながら呆れてしまいます(笑)
仕上げも雑だなあ・・

オリジナルのヘッド


サンドペーパーでデカールごと塗装を剥がし


艶無しのクリア・ラッカーを塗布後に新たなデカールを貼り付け


再びクリア・ラッカーで仕上げ、ペグを取り付け完成


馬鹿ですよね。
自分ではプラモにデカールを貼る行為と同じだと思ってるんですが
いい歳したオヤジがやることじゃありません。
良い子のみんなは絶対に真似しちゃいけませんよ。
それにしても、サイズも違うし粗悪な作りのステッカーですなあ・・

これ、まだ手元にありますけど
なんだか気恥ずかしくて、その後のライブで一度だけ使ったきりなんです。
だって、こんなにインチキ臭い姿なんですもん。


・・でしょ(汗)

MartinはHD-28とD-18を持っていた時期がありますけど
私には分不相応だと思い、どちらもすでに手放してしまいました。
怪しいオヤジには、こんな紛い品がちょうど良いのですよ。

でも、どこぞで見掛けても
決して笑わないでね!

*

2013年5月21日

夜明け


夜明けが早くなりました。
四時を過ぎると、裏庭がこんなに明るくなっています。

空気がぴんと張り詰めた冬の朝も好きですが
草木が呼吸を始め、やがて鳥たちが囀り出す
ゆったりとした今の季節の朝は心が和みます。

悶々とした夜を過ごした後に
白々と明けて行く朝を見届けるのはいいものですね。
夜明けに立ち会えたことが、ちょっとだけ嬉しい気分にさせてくれますし
なんだかそれで救われたような気になりますから。

友と多くを語り、そして朝を迎える。
それもまた、かけがえのない素敵な時間だと思います。

幾つになっても
夜更かしはやめられそうにありません。

*

2013年5月20日

Blowin' In The Wind

何事も肥やしとなるのだろうから
人生に於ける無駄なものは無いんだろう、とは思う。

けれど日々の営みの中では
無駄な時間を費やすことがあまりにも多過ぎる。

今までいったい何やってたんだあ?
そんなことの繰り返し。

何かを積み重ねたつもりでいても
気が付くと、あちこちに中途半端な土台の
その残骸だけが幾つも転がっている。

なんだ、何ひとつ手にしてないじゃないか。
愕然とするのはそんなときだ。

60年分の残骸に、埋もれてしまいそうになることがある。
ゴミも宝も一緒くたになった荒地の
そしてそこに座り込み、実は途方に暮れるのだ。

いっそのこと、全てが灰になればいいのに。
そう思うときが幾度となくあっても
そんなことは出来やしない。

自らを否定するだけの
確固とした答えなんて何処にも無いのだから。





*

2013年5月19日

野太い彼女


GUILDをさ、
数ヶ月ぶりにケースから出して
手放すつもりで手入れを始めたんだ。
もうこれを使うことはないんじゃないかと思ってね。

そしたら

やだよー、あたいのこと捨てないで~!
と、言わんばかりに
むっちゃくちゃいい音で鳴るわけさ、これが。

だめだ、
この音を聴いてしまうと別れられない。
いかに尻軽の私であっても
思い留まるしかないじゃないか。

かのリッチー・ヘヴンスが愛用したGUILD、
そのDNAを受け継ぐ野太い彼女を
ここで見捨てるのは罪だよね。

ごめん。
浅はかだった私を許しておくれ。

そして彼女は再び
私の傍らに座り、寄り添ってくるのであった。

雨音が部屋を包み込む。

*