2013年8月8日

復縁


ギターの善し悪しって、決して値段じゃないんだよねぇ。
ビギナー向けの安物が、時としてその10倍以上の高級品を越えてしまうこともある。
要は自分の思い通りの音が出せるかどうか、そこんところで決まってしまうのが
出逢いと別れを何度も繰り返すことになる所以なのかも知れない。

たとえばこの00サイズのエピフォン、
同社の近年のドレッドノートには満足に鳴る製品は無くて
おまけに仕上も粗悪な物が多く、私も何度か騙された経験がある。
もう二度とエピなんか買うものか!と強く思ったものだが
ミディアムボディにショートスケールのこの子を目にしたとき
何の根拠も無いまま、これはイケるんじゃないか?と確信してしまったのだ。

予感的中。
ザクザクしたナローな音の質はギブソン直系、というかギブソンより鳴る。
音が太くてレスポンスが良いのは私好みだ。
これはちょっとハマリそう。

気分が良くなり、久しぶりに数曲を歌いながらアレンジを変えてみた。
いつ以来だろう、こんなに楽しく歌えたのは。
その気にさせてくれる相手が、ようやく現れてくれたようだ。

ちなみにこの子は従来の中国工場製ではなく、インドネシアの工場で作られている。
最近生産拠点をシフトしてるようだが、中国のラインより質が良いのかも知れない。
なんか、いい感じだわ。弾いてて楽しくなる!

*

2013年8月7日

ストーンズから消えた男


しばらく顔を見てないからと言っても
隠れている場所はずっと覚えてた。

この娘を連れて帰ったのは、忘れもしない2006年の夏。
ブライアン・ジョーンズの映画「ストーンズから消えた男」を観るため
カミさんと一緒に川崎へ行った日のことだった。
レイトショーが始まるまでの間、時間潰しに立ち寄った山野楽器で
ふと目が合って試奏して、こりゃ面白いと即決で購入した代物だ。
またかい!と、カミさんは呆れていたが
彼女が大好きなブライアンの映画に誘ってあげたせいもあり
こちらにはやや優位な情勢があったので文句は言われなかった。

フェンダーのテレコースティック、
テレキャスターをモチーフにしたエレアコの最初のモデルである。
今夜、何気なく引っ張り出して手入れをしたついでに弾いてみると
わ!薄っぺらな樹脂バックのボディなのに凄く鳴るようになってる!!
セミアコ程度の厚みのボディなれど、生音がやたらとデカイのだ。
しかも切れが良くバランスもいい。

これにはびっくり。
7年間の熟成の成果なのであろうか。
暫くの間、ちょいと傍らに置いておくとしよう。

あまり話題にもならず、興行収益も少なかったであろう
「ストーンズから消えた男」に纏わるエピソードなり。
ちなみにカミさんと観たレイトショー、
それを裏付けるように、観客はわずか数人だったとさ。

*

2013年8月6日

空虚


怒涛の数日間が過ぎて
急に平穏な時を迎えると
なあんか、ぽっかり穴があいたような気分。

足りないんだ、ピースが。
不完全なジグゾーパズルみたいに
記憶の一部にどうしても埋まらない所があるのさ。

平々凡々とした日常に
ちょっと波風が生じただけで
体力気力を消耗して
メモリー回路までおかしくなってしまうのかしら。

だとしたら
人間て、脆いものよね。



その人間が創り出した
地球上で最も残忍で凶暴な兵器によって
日常の営みを寸断された街に
今日も鎮魂の鐘の音が響く。

それでも世界にはまだ
1万7千発もの核弾頭が在るのだという。
抑止だ、傘だ、と言われても
頭のイカレた奴がスイッチを押せば終わりなのだ。

第二次大戦以降、人間は何を学んだかって?
敵に脅威を与えることさ。
力を誇示するために、核の数を競い合ったのさ。

それは今なお続き
飢えた貧しき共産主義国家までもが
交渉のカードと称して海の向こうの大国を威嚇する。

人間て、愚かなものよね。



幸せって何だろう、そう問われれば
そりゃ平穏な日常が一番さ。
誰もが胸を張ってそう答える日は
果たして来るのだろうか。

ぽかんとしながら
私の頭はくるくると回り続けるだけだった。

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2013年8月5日

我が家のお嬢様


家に居る他の猫や犬、そして家を訪れる人間たち
そのほとんどに対して、まるで見下しているかのように
いつもツンとして愛想を振り撒くことをしませんでした。
気を許した相手以外には、媚を売ることもせず
お嬢様の血統らしく堂々とした振る舞いに徹していたようです。

当然、仲良しのお友達は居ません。
けれども彼女のポリシー通りに生きて行く日々の中で
寂しそうな素振りを見せることはありませんでした。

その張り詰めた気持ちから、ふっと息を吐いたとき
化粧を落とした少女のように、彼女はとても甘えた表情になるんです。
床から私や家族を見上げるときは、いつもこの顔で
オバチャンの歳頃になっても、少女のような瞳は変わりませんでした。


家庭内に友達が居ないせいもあり、ふだんは無口なんですが
突然堰を切ったようにたくさんお喋りを始めることがあります。
それもピィピィと甲高い声で、一般的な猫語とは明らかに異なる発音です。
13年前に初めて我が家にやって来たときもそうでした。
ピィピィと鳴く白い子猫に、子供たちはピィちゃんと名付けました。

先月末、突然お尻(正確には陰部)から出血して子宮蓄膿症と診断されましたが
そのときの血液検査で重度の腎不全であることが分かりました。
先生曰く、生きてるのが不思議なくらいの末期的状態で
腎臓はほとんど機能してないくらいの数値だったようです。
この夏を越せるのか尋ねてみましたが、先生の顔には「無理」と書かれてました。

あれから十日ほど、日に日に痩せ衰えて行く姿には
かつての気品ある容姿や愛くるしい瞳の輝きが見られなくなったどころか
数日前からは歩くこともままならない状態にまで陥ってしまいました。
それでも家族が集まるのを待ってくれていたのか、
金曜には末娘が来て、土曜には一番可愛がっていた長男が来て、
ひと通りのお別れをすることが出来ました。

昨夜、30分おきくらいに痙攣が始まり
3時頃までは私と女房と長女が皆で体を擦っていましたが
朝の5時頃、添い寝していた女房に看取られ息を引き取りました。
享年13歳、お嬢様の道を貫き通した見事な生き様だったと思います。

夏の盛りですから、今日のうちに荼毘に付すことになり
今までの他の家族と同じように阿久和のペット葬儀場へ向いました。
我が家から車で15分ほどの場所、今回で10回目です。


不思議なことに、ここへ来るときはいつも快晴。
青い空から燦々と陽が降り注いでいるのです。
20年以上前から変わらぬ風景のこの一角、
ここに立つと、いろんなことが思い出されます。

生前のピィちゃんを可愛がって頂いた皆様、
そしてお悔やみの言葉を掛けてくださった皆様、
この場を借りましてお礼申し上げます。

*

2013年8月3日

見舞い客


末期の猫を見舞いに、娘がポンタを連れて泊まりに来た。
今朝、家まで送って行ってあげたかったけれど
私が病院を予約してあったため、膨大な荷物をバギーに乗せて
午前中の暑くならないうちに電車で帰って行った。
ポンタはちょいと熱あり、それでも元気に悪ガキぶりを発揮していた。

私はシャワーを浴びてから松島病院へと向う。
予定通りちょこっと切開、麻酔注射は噂通りに痛かった。
処置はわずか10分ほど、30分休憩した後に止血を確認して終了。
ちょっとだけ切った割には大袈裟なサイズのガーゼを貼るもんだなあと思っていたが
帰宅して夜になってから剥がしてみると・・
あらら、結構な出血の跡があるじゃないですか。
看護士さんに指示された通り、患部と下着の間にガーゼを挟み
しばらくしてから見てみると、ほんのちょっとだけ血が混じった汁が出ていた。
いったいどれくらい切られたんでしょうね?
処置後の傷みが無いのが幸いとは言え、見えない場所だけに皆目見当がつかない。
明日の午前に診察を受けるので、その時に聞いてみようかな。

今夜はシャワーも酒もダメ。
一晩くらいなら我慢もしますが、明日は平気なのかしら。
蒸し暑い時期だけに、シャワーだけは浴びたいなあ。

夕方(猫を)見舞いに長男がやって来た。
もうほとんど餌を口にせず、お水もほんの少しだけしか飲まない。
ニャアと口は開くものの、声にはならない様子。
あと幾日の命なのか・・

*

2013年8月2日

明日は飲めないのです


父の日に息子から頂いたマッカラン12年、
開けるのが勿体なくてずっと箱に入れたまま置いてあったやつを
思いきって今夜初めて口にしてみた。
(高級酒なので度胸が要るんだよなあ、貧乏性だから)

一杯目はロックで。
あらら、こりゃ芳醇な香りと口当たりだわ。

二杯目は水で割って。
いやいや、これはロックでしょう。

日頃は発泡酒と焼酎ばかり飲んでるもんで
舌が安酒に慣れてしまってるせいか
シビレル・・(笑)
やはり私には場末の飲み屋と安酒が似合うのでしょうか。



さて、明日は松島病院パート2の日。
日帰りでちょぴっと切ってきます。
麻酔の針がイテェんだろうなあ、きっと。
なんたって、デリケートでやわやわのところですもん。

女房や娘に笑われた。
出産に比べたらどうってことないじゃん!
・・そんなの、比較できないし。

男は切られたり血を流したりするのは大の苦手なのさ。
みんな、そうだよね?

明日の己の姿を想像すると
なんだか情けなくなってきた。

今夜は飲むぞ!
明日の分まで飲むぞ!

あ、マッカランは2杯でおしまいにします。
勿体ないから。

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2013年8月1日

美味い煙草をくれないかい

なあんか鬱陶しいです。

好景気にあやかり、儲かってそうなオヤジは偉ぶった口調だし
暮らしが楽にならないのは社会のせいだと卑屈な若者はグレちゃうし
中流階級を気取る者たちは家族旅行とゴルフで見栄を張るし
口の軽いアホな政治家は相変わらず失言を繰り返すし。

なあんか馬鹿馬鹿しい世の中です。
暦の上ではオーガスト。



美味い煙草をくれないかい
紅い色の炎をつけて
体の奥が冷えているから
燃える炎をからだにつけて

うまい話はないのかな
宝島の地図が最後の望み
キャプテンクックの様に俺は今
住所不定無職おまけに低収入


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