2013年11月11日

表と裏



東京に木枯らし1号が吹き、列島は一気に冬本番となりました。
北国では本格的な雪が降り、ここ横浜も夕刻からずいぶんと冷え込んできています。
明日の横浜の最低気温は6℃とか。
すでに氷点下となっている地域の方には笑われるかも知れませんけど
北海道で生まれ育ったくせに、私は人一倍の寒がりなもんで
気温が一桁になった途端に縮み上がってしまうのです(笑)

そんな寒さを嫌って外に出るのを躊躇うからでしょうか、
この季節になると無性にアナログ盤が聴きたくなってしまいます。
裸電球の橙色が温かく感じられるように、CDに比べてレンジの狭いアナログ盤の音が
妙に心地好く体の中に溶け込んで来るのは決まってこの時期なんです。
室温が低いと、わずか1.5gほどの針圧で盤面をトレースするプレーヤーにとっては
空気の乾燥と併せて、とても過酷な条件になるんですけどね。

昨年の秋ハードオフにて格安で購入したDENONのターンテーブル、
およそ半年ぶりに電源を入れましたが、今年も快調に回ってくれたのが嬉しいです。
サーボ基板にトラブルの多い機種なので、突然制御が効かなくなる物もありますから
幸い今回は「当たり」だったのかも知れませんね。


左からオーディオテクニカのMC(品番不明)MMのシュアーM-44G、同じくM-97HE、
午後からふと思い立って、カートリッジの針先の手入れを始めました。
この他にもDENONやオルトフォンのMCも手元に有るんですが
どれも皆20~30歳と高齢のため、さすがに高域が歪んだりする始末で
現在使い物になるのはこの3個だけとなってしまいました。

本当はMCの色付けの無い音が好みだったんですけど、
アンプのフォノ・イコライザーの昇圧が片チャンネルだけ不調なものですから
今回からM-97HEという、往年の名器V-15TYPEⅣ直系のMM型に替えてみました。
これ、形が好きになれなくてずっと使ってなかった代物なんですが
(個人的な好みとしてカートリッジは無骨なまでに四角い物が良い)
音質といいトレース能力といい、予想を裏切る好結果となりました。


アナログ時代の晩年に登場したカートリッジだけあり、
当時としては先進的なデザインでしたが私はこの顔付きが好きになれませんでした。
なので25年間、まともに使ったことが無かったのですが
びっくりするくらいどんな厳しい音溝にも喰らい付いて行きますし、
聴感上の歪感が極めて低く、どのアルバムもとても楽しく聴かせてくれます。
どれもが退役時期を遥かに過ぎた物ばかりの中で、これは嬉しい誤算です。
シュアーさん、ありがとう!

すっかり気を良くした私、アルバムを何枚聴いたことでしょう。
そして今はマナサスを掛けながらキーを叩いております。
2枚組なので計4回席を立たなければなりませんけど、それが苦にならない。
(操作に危険な)焼酎を飲みながらも、アナログ万歳!の心境です。


リスナーはA面とB面をひっくり返すことで一息つけて、
ミュージシャン(制作者側)は表と裏で表情や表現を変えられる。
アルバム作りにはそれが欠かせないと、今でもずっと思ってるんですよね。
表と裏、何事もこれ大事!

*

2013年11月10日

この世で一番怖いもの



前触れも無く、地響きを伴って突然襲って来る
地震てやつは自然災害の中で一番手強い相手だろう。
今朝の揺れにもかなり動揺した。

けれど呑気な人間にも動物的な本能が幾分残っているようで
強い揺れを感じながらも「ああ、これは大事には至らないな」みたいな
曖昧ながらもその先の予測が辛うじて出来るから不思議だ。
なので就寝中だった今朝は飛び起きることもなかった。

3.11の時は、ただならぬ気配に傍にあったギターを抱えベッドの上に避難した直後に
座っていた場所に棚からJBLのモニタースピーカーが降って来た。
逃げてなければ打撲か骨折、またはギターのボディが割れていただろう。
自然の営みの中の急な変化を感じられなくなった人間でさえも
その程度のことは出来るんだなあと、当時は感心したものだ。

私の故郷、帯広。
ここは過去に何度も大きな地震に見舞われている。
十勝沖地震と呼ばれ、古くから大地震が幾度も起きている場所だ。
1952年、私がまだ母の胎内に居るときにマグニチュード8.2の大地震があり
1968年、高校1年のときにマグニチュード7.9を実体験した。
午前の授業中に木造校舎が不気味な音を立てながら激しく揺れ始め
1階の教室に居た我々は一目散に窓から校庭へと逃げたのだが
よじ登った窓枠が大きく揺れて誰もが地面に転げ落ちた光景を今でも覚えている。
校舎が崩れることはなかったものの、家に帰ってみると分厚い漆喰の壁が剥がれ落ち
壁のあちこちに亀裂が入っていたのにも驚かされた。
そして何度も来る余震、夜には空が明るく輝く発光現象もあり
まるでこの世の終わりを告げられているような恐怖から、眠れないまま朝を迎えた。
あの日のことを、今でもよく覚えている。
トラウマなのか、それ以来僅かな揺れにも敏感になってしまったようだ。

本震の前に来るP波という微弱な振動を察知する者は案外と多い。
寝ているときの私もそうだが、友人知人にも数多く居る。
ただし動物的感覚のそれであっても本震直前の1~2秒にしか過ぎないのだ。
その極めて僅かな時間の前触れを感じ取ったとしても
防衛手段の役に立たないところが地震の怖さなんだろうな。
敏感な野生動物たちとて、逃げ出すことは出来ても助かる保証は無いわけで
地上には逃げ場が無いという共通点だけが虚しく浮き彫りになる。

やはり地震は怖いものだ。

*

2013年11月9日

燃費



今年も登場しました。
安いのに丈夫で長持ち!電気ストーブ。
かれこれ10年ほど使ってますが、故障や断線は一度もありません。
今の時期は400Wだけですが、中旬くらいからは2本点けて800Wになり
そして冬本番を迎える頃に、その座を灯油ストーブに明け渡すのでして
これが私の部屋の毎年のローテーションなのであります。
夏に新調したエアコンと、どちらが電気を喰うのか定かではありませんけど
天井から乾いた風が出て来るよりは、こちらの方が何となく好きなんです。

そして昔ながらの灯油ストーブ。
換気は必要になりますけど、部屋に適度な潤いを与える湿った暖気がいいですね。
天板でお湯が沸かせるのも重宝で、いつでも熱々のお湯割りが飲めるのも便利です。
加湿器なんて必要ありません。

とは言え、昨年からの灯油の高騰は続いてまして
数年来お付き合いしている業者の、今年の初値は18Lで¥1950でした。
年内に2千円の大台に乗るやも知れない現状、これは痛いです。
リッター¥108なんて、ほんの数年前ならガソリンが買えますもんね。
10年ほど前の倍以上に跳ね上がったまま値が下がりません。

エコ・ドライブと称して自動車が低燃費を競う昨今、
灯油を使う暖房器具にも革命的な技術開発は出来ないのでしょうかねぇ?
ハイブリッド・ファンヒーター!リッター30時間!!とか・・
残念ながら、どこのメーカーのカタログにも「燃費」は触れられてません。
高価な油を燃焼させるんですから、あっても良さそうな気がするんですけどね。

そんなこんなで、
今年も間もなく冬がやって参ります。
寒い寒いと縮こまり、私の体までもが燃費が悪くなるのです。

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2013年11月8日

乗りかかった船



12月12日(木)『週刊 永遠のゼロ戦プラモデル』創刊!!

・・こういうの、やめてくれませんか。
店頭で見掛けるとつい買ってしまいますから。

なになに?全20巻の付録を組み立てると
二一型、三二型、二二型、五二型の1/72スケールの零戦4機と
空母の甲板を模ったパネルが出来上がるんですって!?

・・いやいや、そんなジオラマ飾る場所もありませんから。

ま、創刊号に二一型の全パーツが入っていれば1巻だけは買うでしょうな。
ケチ臭く小出しにしてたら絶対に買いません、はい。
講談社さん、デアゴスティーニのように創刊号だけは大サービスしてくださいよ!

それにしてもこのモデル、精巧な作りやなあ~



さてと、今宵もまた
カミさんの求める(理想的な)リュックサックをネットで捜すとしますか。
なんたって注文が多すぎて見つからない!
二晩続けて長時間パソコンと睨めっこなもんで疲れましたけど
乗りかかった船・・て、やつでしょうか。ひいーっ!

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2013年11月5日

古典



この時期になると無性に聴きたくなってしまうのがこれ。
「RCAブルースの古典」と、矢吹申彦さんがジャケットを手掛けた「続・RCAブルースの古典」
どちらもRCAビクターからリリースされた3枚組のオムニバス・アルバムである。
中村とうよう、日暮泰文、鈴木啓志のお三方がライナーを書いていて
その分厚い解説を読みながら耳を傾けるのもアナログ盤の醍醐味。
ただしディスクが計6枚、裏表12面もあるのでなかなか聴くことができない代物なのだ。
それでも寒くなって来るとアナログ盤が恋しくなり、何故か真っ先にこれを聴きたくなる。
酒を飲んでディスクをひっくり返したり、針を降ろしたりするのは危険が伴うものだが
我慢できず深夜に掛け始めてしまい、機材や盤面を傷めることはなかったとしても
そのまま眠ってしまって、朝までプチンプチンと回りっ放しだったこともある。

けどだからと言って、これがCDでは味気ないのだ。
紙ジャケットから漂う黴の臭いを嗅ぎながら、
或いはピックアップが微かに上下に揺れるのを横目で見ながら、
拘りではないが、そうして相対するのがブルースには似合っている。
もちろん酒も欠かせない。

ただ、私の手元にはこの2巻と数枚のアナログ盤しかブルースの音源は残っていない。
それが残念だ。
戦前、アメリカ各地に居た無名のブルースマンの演奏を
フィールド・レコーディングで収録していたヤズーというレーベル、
若い頃はそのアルバムを見つける度に買い集めていたものだったが
全て売り払い、今じゃ1枚も残っちゃいないのだ。
・・おおブルースの神よ、お許しください。

おっといけない、ブルー(ズ)と表記しなければ
西荻窪の店の女将に叱られてしまうな(笑)

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2013年11月4日

Slip and Roll



友人がエイミー・マンのことをBlogに書いていた。
ヴォーカルとベースを担当していたティル・チューズデイを経て
その後ソロに転じ、映画「マグノリア」で高い評価を受けるに至ったが
そのライブ・ステージが何とも素敵な53歳の女性である。

(私の大好きな)ギリアン・ウェルチもそうであるように
ギターをしっかりと弾く女性はとても魅力的だ。
おまけにギリアンはJ-50、エイミーはJ-45と、
二人共Gibsonを愛用しているところが私には更にツボなのである。


2012年のBing Loungeでの映像が幾つかUPされているが
このシンプルな3Pの演奏がとても気に入っている。
曲は同年にリリースされたアルバム「チャーマー」からスリップ・アンド・ロール。
・・素敵です。

*

2013年11月3日

11.3



星野が監督に就任した春、あの未曾有の大震災が起きました。
その3.11をひっくり返した数字の今日、東北楽天が優勝を果たしたことが
不思議な巡り合わせのような気がしてなりません。

震災直後、計画停電と称してさほどの被害も無かった都市が闇に閉ざされ
節電の大合唱の下、ネオンやショーウィンドウの灯りを消して
形ばかりの体裁を繕ったのが中央に位置する都会のやり方でした。
新品の防災服に身を固め、テレビの前で原稿を棒読みする閣僚たちを
被災地で必死に生きる方々はどのように見ていたことでしょう。
「不謹慎」というレッテルが連鎖的にそこら一面に張りめぐされ、
伝統の祭りまでもが中止になってしまう不可思議をどう受け止めていたでしょう。
批判を恐れた多くの都会に住む者たちは、自粛という隠れ蓑に逃げ込み
やがて時が過ぎ行くことだけを願っていたように思えるのです。
そんな風潮を、いったい誰が喜ぶでしょう。
結果、支援しなければならない者たちまでもが疲弊してしまい
街には背を丸め暗い表情の、疲れきった市民で溢れてしまいました。

冒頭に何故このようなことを書いたかと言うと
楽天の諸君が、なりふり構わず貪欲なまでに優勝を捥ぎ取ったからです。
ポーズと体裁、セオリーを重んじる(東京)巨人軍とは対照的に
勝ちたい、勝つんだという意志が、皆の顔に漲っていたのは言うまでもありません。
その想いが空回りすることなく、力に転化できたことが素晴らしいのです。
格好に拘らずそれを成し得たことが素敵なんです。

都会の人間やマスメディアは綺麗事しか口にしません。
評論家を自称する者は経験だけを語り、冒険を善しとはしません。
時には無謀だと言いながら嘲笑うことさえします。
則本の中継ぎ、田中の連投を目にして
楽天には他のピッチャーは居ないのか?と言う者まで居ました。
何を馬鹿な、短期決戦にセオリーなど無いのです。
確実に抑えられる投手を起用することに何の躊躇いが必要でしょう?
指揮官と本人の意志だけです。

美馬、則本、田中、このリレーは今日の楽天にとって最善の策であり
そして彼らはその期待に見事に応えてくれました。
地方の弱小球団が、巨大なグループ会社に支えられた伝統ある球団に勝利した
この歴史的な瞬間に立ち会えたことはこの上ない喜びなのであります。
格好ばかりを気にする都会の坊ちゃまたちに一矢を報いた彼ら、
その瞬間を思い出しながら勝利の美酒に酔いしれる私は
まさに「日ノ本一」の幸せ者であります。

最後に、
私を含め日頃は野球を観戦することも無い多くの者たちが
このシリーズだけは熱い眼差しを注ぎ一喜一憂できたのも楽天の功績です。
優等生揃いの読売巨人よ、来期は泥臭く直向なプレーに邁進するべし!

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