2013年11月27日

Khaki



60年代、モッズ・ムーブメントのシンボル・マークはイギリス空軍のラウンデル。
ファッションは細身のスーツにモッズ・コートと呼ばれた米軍のミリタリー・パーカーが定番で
だっぷりとしたカーキー色のコートは若い時分の私の好みでもあった。

カーキー(Khaki)、本来は土埃という意味であり陸軍の軍装色なのだが
「茶色がかった黄色」と表現されるその色は、緑からベージュまで実に幅広い。
そのせいだろうか、私が好きな緑に近い色を近頃はオリーブと呼ぶようになった。

戦闘機や戦車が好きだった幼少時代が影響しているのか、
ミリタリー調の物はこの歳になった今でも大好きであり
カーキー色(オリーブ)のジャケットやコートにはつい目が行ってしまうのだ。

ケツが隠れる程度の丈で、細身で邪魔臭くないコートが欲しいなあ。
(車に乗るときブカブカのコートだと運転するには邪魔臭くて落ち着かないのだ)
そう思いながら店の中を物色していると、モッズ・コートが目に付いた。やはりね(笑)
細い作りだけれど、ツイル・コットンとキルティングの裏地でかなり暖かい。
値段も手頃だったので、即決で買ってしまった。もちろんオリーブ色だ。


(年甲斐もなく)日頃は細いパンツを履いているもんで
この手のデザインはやはり一番しっくりくる。

あ~なんか嬉しい。
憂鬱な仕事場へ向うのが苦にならないような楽しさが込み上げる。
身に纏う物を買った時って、これがいいんだよなあ。

*

2013年11月26日

ヒ・ミ・ツ


考えてみたら
この国には秘密なんて何も無いような気がする。
口の軽いオッサンが、或る日ポロッと余計な事を言い
それを揉み消すのに右往左往する姿ばかり見てきたからだ。

事の重要性を客観的に推し量ることが出来ず
社会の反応や批判を受けてからようやく気付く程度の
そんなお粗末な危機管理の意識しかない者たちに
秘密保護法なんて大きなザルを与えて良いものだろうか。

どれほどの重要性があるのか
考え出すとキリが無いし面倒だから
役人は機密・極秘の判をやたらと押したがるだろう。

情報公開する手間と
それによって不利益を被るくらいなら
最初から極秘扱いにしてしまうのが得策だと
役人や政治家の多くがそう考えるのは目に見えている。

機密だとか情報管理だとか
そもそもこの国の人間にとって、それは一番不得手な分野なんだろう。
物騒な世の中とは言え、諸外国に比べると治安は良いし
テロや戦争が身近なものだと気構える者は極めて少数派だ。

所詮は薄い壁ひとつ、障子一枚の家屋で暮らしてきた民族にとって
話し声が隣近所に筒抜けになることくらいお構いなしだった。
向こう三軒両隣のコミュニティによって成り立ってきたせいもあるし
海に囲まれた島国で単一民族という背景もある。
けれどお人好しで気のいい国民性も今では
分厚い壁の頑丈な家に住み、セキュリティというアイテムを手にした途端
お互いが「個」に執着するようになってしまい、
インターネットは生の会話の機会を激減させる結果になった。

情報垂れ流しの現状があったとしても
個人情報などという響きの良い言葉を植え付けて
何事も保全されているような安心感だけを国民に与えているが
官も民も、それを徹底して極秘とする意識は相変わらず低い。

誰の利益のために、どう運用して行くのか
それがないまま厳つい言葉だけが一人歩き始めるのがこの国のようである。
実はそれが一番怖い。
大本営発表に踊らされ、検閲に戦々恐々とした
そんな歴史が繰り返されることがあってはいけないのだ。


永田町に罵声が飛び交ったその日、
何事もなかったかのように
何も変わっちゃいないかのように
夕陽はいつもと同じ辺りに落ちて行った。

*

2013年11月25日



仕事を終えて屋上駐車場へ行ったのが21時過ぎ。
あれ?思ったほど降ってないじゃないかあ~

しかしドアを開けて外へ出た途端、台風並みの強烈な南風にやられる。
ひええーっ!!
やっとの思いで車に乗り込むと、ボディがユサユサと揺れる。
大袈裟に言えば、コロコロ~ッと転がって行きそうな勢い。
こりゃあ凄い、走り出すと横風でハンドルを取られそうになる始末。

スピード控えめ、無駄な車線変更を避けながらの模範運転で帰宅したけれど
21時から22時にかけての暴風雨は凄まじいもの也。
運悪く、その風が一番激しい時間帯を私の車は走っていたわけで
おまけに、家に着いたときは雨のピークが重なって
車からわずか数メートルの玄関ドアを開けるまでの間にびしょ濡れとなってしまった。
魔の1時間、不運だったわあ。

それにしても、現代の天気予報は恐るべき確率でしかも正確ですな。
1時間毎の変化を見られるウエザーニュース社の予報では
21時から22時が風雨のピークとなっていてズバリ的中!
ひと昔前じゃ考えられないくらいの精密さだ。
それを予測する人も機材も、凄いもんだなあと感心。
地球規模で物事を捉える、まさにプロフェッショナルの仕事である。

しかしだ、この広いようで狭い地球上で繋がった海と空に
領海と領空の線引きをするってことが馬鹿げている。
しかも何処ぞの国などは、アジアの各地で物議を醸す傍若無人ぶりで
今度は自国の防空識別圏を主張してきたかと思いきや、
それが他国と重なっていたと言うから呆れてしまう。
やだねー、この意地汚く挑発する姿勢。

某赤旗の大国さんよ、姑息な手段でアジアを緊張させないでおくれ。
まずはあなたの(手に余るほど)広すぎる国内を人道的に治めなさい。

嵐は自然現象だけでいい。

*

2013年11月24日

寒い夜だわね・・



帰宅して、部屋の灯りを点けるとドキッとした。
真正面の目の先に、見慣れない顔がある。
しかも色合いからして、すこぶるヴィンテージ風なのだ。

誰だ、おまえ。

何のことはない、
昨日お化粧してあげたスタッフォード嬢だった。
見違えるほどに、いい色いい身体つきになっていて
いったい誰なのかを理解できるまでに
おそらく数秒は掛かったことであろう。

立ち尽くし、暫し見とれる。
無骨ではあるが美しいその姿は、南部の小娘に似て愛らしい。
苦労をかけたが、これからはパチモンなどとは言わせないからな。

黙って俺について来い。


決め台詞を吐いてはみたものの
抽選結果は懐を温めてはくれなかった。
愛にも金が掛かるっていうのにさ。

・・寒い夜だわね。

*

2013年11月23日

オレンジ・オイルは化粧品



ギターのメンテに欠かせない物のひとつがオレンジ・オイル。
主に指板の汚れを落とすのに用いるのだが
これを塗ると甘みを伴ったオレンジの香りが部屋いっぱいに広がり
下手な芳香剤よりよっぽどましないい匂いに包まれる。
ボディに塗布するポリッシュはどれもキツイ臭いが残るので
使っていて心地好い雰囲気になるのは、このオレンジ・オイルだけかも知れない。

ただし指板を磨くだけでは、ボトルの中身は一向に減らない。
1本買うと何年も使えてお得な気分にもなりそうなものだが
他に何か使い道はないのか?
以前、知り合いの楽器店主にそれを尋ねたらいいことを教えてくれた。
オレンジ・オイルには糊剥がしの効用があったのだ。
それ以来、ピック・ガードを剥がした後のボディに残った糊はこいつで落としている。
どんなに頑固にこびり付いた糊も、ゴシゴシと擦っているうちに
あーら不思議、跡形もなく消えて無くなるのである。

先日、オール・マホのOO-15Mに目が留まり
手頃なユーズドでも物色してみようかと思ってしまったのだが
待てよ?合板のあいつならイメージ通りの音で鳴ってくれるんじゃないか?
早速押し入れの奥(私は大奥と呼んでいる)からこいつを引っ張り出してみた。


スタッフォード(黒澤楽器)製B-25のコピーモデルだ。
前にも書いたが、オール合板の安い製品だったもんで
このナチュラルの他に赤と黒、合計3本を大人気なく纏め買いした代物である。
赤は知人に譲ってしまったので、今はこれと黒だけになった。

10年ほど前だと、国内メーカーの各社が中国生産にシフトし始めた時期だったが
これはそれ以前の韓国工場で作られた物の在庫品だった。
合板とは言っても(単板だから音や響きが良いというのは迷信なのだ)
しっかりした作りで音も材質も良く、アクティヴのピエゾPUも使用に耐えるもので
2005~2006年頃のライブでは何度か使っていたこともある。


笑っちゃうくらい強烈な三兄弟揃い踏みの当時の絵。
今思えば、赤が手元に残っていたなら昨年の還暦ライブは当然これだったろうな(笑)

ちなみにこの3本の中で、ナチュラルだけは古いロットの製品だったようで
他の2本と比べても丁寧な作り込みで明らかに音の張り出しが違っていた。
いわゆる中域にピークがある蒲鉾型の音響特性、本家ギブソンに近いものであって
そのチープにも感じられる鳴りっぷりが気に入っていたものだが
やがてJ-50やJ-45にその座を奪われ、大奥へと追いやられてしまった経緯がある。
ところがオール・マホのミディアム・ボディに私が惹かれたことから
再び日の当たる場所に返り咲いたというわけなのだ。

おお、イメージ通りの音ではないか!
こりゃあ大奥から引っ張り出してきた甲斐があるってもんだ。
嬉しくなって、この子の貧相なピック・ガードを高級な物に替えてあげることにした。
ぺらっとした胡散臭い薄手の板を剥がし、Gibsonの純正品に貼り替えると・・


ほおら、上の画像とは見違えるくらい高級感が増したでしょ。
如何にパチモンとは言え、お化粧するとこんなにいい顔になるのだよ。
ちょっとだけサイズが違うので、僅かに日焼けした跡が残ってはいるけれど
ブラの紐跡みたいなもんで、これまたセクシーに感じてしまう。←変態なのか?
(勿論この時もオレンジ・オイルが大活躍、まさに化粧品なり)
尻軽で浮気者の私ではあるが、今夜はこの子を愛おしく見つめているのである。

(実はこの後、FBフレンドのとある方のギターがDVで破壊された画像を目にして
とてもショックを受けたのだが・・悲惨すぎる!!)

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2013年11月22日

だいせんじがけだらなよさ



夕陽ってやつはなんだね、
歌の世界じゃ失恋の代名詞みたいに言われるけれど
にたあ~っと笑みを浮かべながら見てちゃいけないのかい?

この世の終わりでもあるまいし
たかだか今日という日が暮れて行くだけのことさ。
にっこり笑って見送ろうじゃないか。

ほら、夕陽の上から夜が降りて来て
やがて陸は闇に閉ざされてしまうけれども
僕らの足元のずっと下を潜り抜けて
反対側からひょっこり顔を出そうって魂胆さ。

何事もなかったかのように
おはよう!って言うつもりだぜ、きっと。
お日様ってやつは、いつも陽気なんだから
笑顔で接してあげなくちゃね。


仕事場の屋上から富士山のシルエットが見えた。
黄昏に染まる淡い色合いの風景が
胸をちょっとだけ刺して行ったような気がする。


だいせんじがけだらなよさ

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2013年11月21日

サンタさんへ



オール・マホガニーのOO-15M、
昨日の夜、ふとこれが欲しくなった。

寒いせいかな。
体が暖を求めているのかも。

それとも歳相応に
ブルージーな域に達したのか。

ちょっと前なら見向きもしなかったモデルなのにね。

ドレッドノートや深胴の
大きなボディが嫌になったせいもある。
薄く小さく、短い物はストレスが無い。

今夜もこれを思い浮かべながら布団に入ろう。
目を瞑り、イメージを膨らませ
そのまま眠りにつくのは幸せなことだ。

サンタさん、
爺さんの枕元にこれ置いてってください。

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