2014年4月13日

さらば、南本宿!



旧宅を離れ、すでにひと月半が経過したというのに
ピアノの搬出やら室内の清掃やら、
ちまちまと休日の度に少しずつやっていたものですから
未だに鍵をお返しすることができないでいました。
如何に大家さんのご好意とは言え、お恥ずかしい限りです。

ですが本日、ようやくその作業を全て終え
11年に及ぶ思い出深い家を明け渡して参りました。
これで名実共に南本宿とは別れることとなったのです。

ここへ越して来たのは、長男が結婚する前の年の暮れでした。
その後ボーダーコリー犬が家族に加わり、
人間四人と猫数匹の賑やかな生活が始まったわけです。
仲間を大勢集めて近所の公園で花見をしたり
庭先に十数名が集い、バーベキューを催したことも数回あります。
時には一晩の宿泊人数が10名を超えたこともあり、
当時の仲間たちからも愛されていた家だったのだと思います。

竹薮に囲まれたその環境は、言ってみれば何をやってもお構いなし。
ピアノ、ギター、歌、オーディオ、果ては何とサックスまで
音の出る物はその音量を気にすることなく自由にやらせて頂きました。
僕が三十数年間のブランクを経て歌い始めるきっかけとなったのも
でんと構えるこの家の包容力だったのではないでしょうか。

50ちょうどにこの家にやって来た僕は、今年で62歳になります。
この11年間を振り返ると、人生にとって転機とも言えるような
大きなうねりが幾つもあったことが印象的です。
前述の長男の結婚、初孫の誕生。
次女の嫁入り、三人目の孫の誕生。
その間に僕は大きな事故に遭い、半年ほど右半身が麻痺していた出来事や
右眼の急性網膜壊死という稀な病気を発症して二度の大掛かりな手術を受けたり
人生の後半に喜びも苦しみも、様々な経験をさせてもらった気がします。

そして悲しい出来事もたくさんありました。
20年以上も家族と共に過ごした長寿の猫を二匹見送り、
若くして急死したボーダーコリーを見送り、
その後に残った数匹の猫もみな他界して
今は一番最後にやって来た猫一匹だけになってしまいました。

あれこれと記憶を遡って行くと、とても感慨深い家なのであります。
今日カミさんは2階の窓を開け、そこから見る最後の風景を眺めておりました。
数年後、この場所は宅地となり、景色は大きく変わっていることでしょう。
竹薮も全て伐採されますから、毎年楽しめた旬の筍も今年が最後になりそうです。
鍵をお返ししたときに「筍が採れたら連絡しますからね」と、言われたのが
何より嬉しい別れの言葉となりました。
春が来たとは言え気温の低い南本宿、筍の季節はまだ先なのです。

思い出というやつは
或る日ふと記憶の底から湧き上がるものであり
決して大切に抱え込むものではありません。
そうじゃなければ前に進めないことを、人間の脳は知っています。
消去や再生を繰り返しながら生きることで
脳味噌はそのキャパシティを保っているのでしょう。
期せずして湧き上がるであろう南本宿の思い出は
本日をもってリセットすることにします。

この地で関わった皆さま、
この家で共に過ごす機会を得た皆さま、
僕ら一家、とても幸せな11年間でした。

みんな、ありがとう!
さらば、南本宿!!

*

2014年4月12日

次は気をつけなはれ



11日に亡くなったジェシ、
アマゾンに注文した彼のファーストアルバムが
あちこち彷徨いながらも僕の処へようやく辿り着きました。
お帰り、ジェシ!
そう、昨日から行方不明になっていたのはこれなんです。

朝8時、郵便局に電話。
事情を説明して調査を依頼。
1時間ほどして女性オペレーターから経過連絡あり。
昨日の配達員が午後から出社するので待ってほしいとのこと。
さらに1時間後、配達責任者という上司の方から電話。
調査結果を必ずお知らせするので時間を頂きたいと低姿勢なお詫びの言葉。

仕事場へ向う時間が来たので家を出て車に乗り込む。
運転中に着信あり、すぐに折り返すと前述の責任者から再びお詫びの言葉。
数軒先のアパートのドアポストに、間違えて投函したことが判明したそうな。

え!?このきっちりと区画整理された住宅地で
おまけに各戸の入口に番地まで表示されているというのに
思わず「配達員は委託かアルバイトですか?」と、尋ねると
申し訳なさそうに、正規社員であることを恥じるように重ねてお詫びの言葉。
あいにくと誤配先の家人が留守で未だ回収できてないけれど
必ずお届けに上がりますと謝られ電話を切る。

再び車を走らせ、15分ほど経過した頃に何度も着信あり。
運転中で出られなかったが、留守電には2度もメッセージが入っていた。
何事か、と心配になりこちらから掛けてみると
回収は出来たのだが、誤配先で気付かずに開封されてしまった旨の更なるお詫び。
(個人情報云々で大きなクレームになる危険性の高い案件ですからね)

けれど僕は
中身に支障が無く、納品書も抜き取られてないなら構わないと伝え
そのままドアポストに投函するよう指示したのですが・・
誤配した配達員が直接届けに来て、
おまけに夕方にはその上司が粗品を携えて謝罪に訪れたそうであります。
たかがゆうメール1個の誤配で、なんだか申し訳ない気分になりました。

JPは嫌いだ。そう書いてしまいましたけど
一日を通しての顧客対応の品質には感心させられた点が多々あります。
ゆうパックもゆうメールも、嫌いなことには変わりありませんが
有事の際の処理能力が高いのは賞賛に値する素晴らしいことです。
JPは(相変わらず)好きではありませんが、泉郵便局は合格!
そう言わせて頂きます。

でもね・・
午後に配達員が来て、夕方頃には上司が謝罪に来て
その都度応対したカミさんの「お昼寝タイム」が邪魔されたようですから
不機嫌極まりなく、凄い怖い顔で相対したんだと思いますよ。

だから、そのままドアポストに入れていいと言ったのに。
カミさん、ここぞって時は容赦しませんから。鬼と化します。
怖かったろうなあ、きっと(笑)

これに懲りたら、次は気をつけなはれ。

*

2014年4月11日

JPはキライ



数ある宅配業者の中で
僕が最も信頼してないのは首都圏のJPなのでして
(たぶん地方では民間業者より質が良いでしょう)
ゆうパック、ゆうメール、どちらもあまり好きではありません。
アマゾンにCDを注文して通常配送を選択すると
以前ならY運輸になることが多かったんですけど
輸送費高騰の影響からか近頃はJPの配達が増えました。
それも融通のきかないゆうメール。
嫌だなあ、困ったもんだなあ、と憂鬱に思っていた矢先
その心配が現実のものとなってしまいました。

3枚注文した内の2枚は神奈川県内の物流センターから発送され
ゆうメールで昨日の朝(無事に)届いたのですが、
1枚だけ大阪から発送され、外出中にアプリでチェックしていると
夕方に配達完了となったので家族が受け取ったんだと思ってました。
しかし・・

帰宅してカミさんに聞いてみると届いてないそうな。
げっ!誤配完か?(配達完了の誤入力)
だとすると、不在票が入ってないのは何故だ?
さらに不可解なことが・・

カミさん曰く、
その時間帯に委託と思われる配達員が家の前に車を停め
箱を抱えて玄関の方へ歩いて来たらしいのですが
呼び鈴を押すこともなく引き返し、車内で地図を広げていたとか。
(カミさんの宅内監視、緻密なレポです)
なので我が家に来た荷物じゃなかったんだと思ったそうです。
けれど時間帯を確認すると、紛れもなく配達完了時刻と一致します。
はてなあ?玄関脇にはローマ字で名前も出してありますから
家がわからないという筈もなく、入居後に数社が配達に来てますけど
ただの一度も荷物が届かなかったことは無いのです。
くっそー、やはりJPはダメダメだあ~!

なまじ配完を打たれてしまうと、あとが厄介で困るんです。
ネットで再配依頼もできず、最寄の局留めにすることもできず
ただただアナログな電話でやり取りするしかないんですもの。
これは面倒です。
しかも「受け取ってない」旨を説明するところから始めるなんて・・
無駄な用を増やされた僕はちょっと怒ってます。
大嫌いな早起きをして局に電話しなきゃならないなんて、ねえ。
明日の仕事は寝不足決定となりましたとさ。きーっっ!!

ああ、僕のジェシ・ウインチェスターは
いったい何処へ行ってしまったのでしょう。
ジェシ!カンバーック!!(泣き笑い)

そんな夜でしたけど
たまたまテレビを付けていたおかげで
1月に亡くなられた佐久間正英さんのドキュメンタリー番組を観ることができました。

「そして音楽が残った」
自身のLast Daysを完結させて旅立った男の
その清々しくも壮絶な生き様に心が洗われた気がします。

僕とは同い年でした。
改めてご冥福をお祈り致します。

*

2014年4月10日

紙とインク



何を今さら。
そう言われてしまいそうですけど、こんなの買ってみました。
新・名盤探検隊から、ジョー・ママとデラニー&ボニーの「モーテル・ショット」
どちらも昔は米国盤のアナログで持ってましたけど、今は手元に無いので
ジェシ・ウインチェスターを注文した折、ついでに頼んでしまったのです。

懐かしいです。
けど音はともかく、CDのプラスチック感がやはり馴染めない。
まったくの別物みたいに感じてしまいます。
廉価盤だからなのでしょうか、ジャケットの色合いが悪いのも残念です。
当時のジョー・ママのアナログ・ジャケットはもっと濃い赤で
その真っ赤な壁の色と、O SORE MIOの文字が鮮烈に目に飛び込んで来たものです。
このボケた感じ、いただけないなあ。
逆にモーテル・ショットは、ざらざらしたダンボールのような触感でしたから
こんなに綺麗にピカピカになってしまうと、何だかモーテルらしくありません。

ワーナー・ミュージック・ジャパンの関係者の皆さん、ごめんなさいね文句ばっかりで。
このシリーズを安価で発売して頂いたことには感謝してるんですよ。
なので爺の戯言と聞き流してくださいね。
ただただ、あの時代の米国盤のジャケットに思いを馳せているだけなんです。
場末の飲み屋の看板みたいなベターッとしたインクの風合い、
僕はあれがとても好きだったんですよねぇ。
ザ・バンドの「ムーンドッグ・マチネー」もそうでした。
あのオリジナル盤に付いていたポスターなんて、その最たるものでしたから。


広げると80X40Cmほどになるこれ、
とても気に入って僕の部屋の壁に貼ってあったんですけど
残念ながら20年ほど前から行方知れずとなってしまいました。
あのときパネルにしておけばよかったなあと悔やまれます。
アメリカのインクと質の悪い紙の風合い、これがいいんですよね~
この黄昏時の街の風景画、最高です。

日本国内では紙ジャケ仕様のCDが増えてきたとは言っても
やはりジャケットは30Cm角に限ります。
あの30Cmに凝縮されたアートって、とても凄いことなんですよね。
アナログ盤の復刻、どんどんやってほしいものです。

ちなみに肝心のジェシ・ウインチェスター、今日は配達されませんでした。
JPさん、明日は頼みますよ。

*

2014年4月9日

百円の魔法



家庭内の騒音苦情から、やむを得ずモニターの場所を変えました。
デスクのすぐ右の脇、僕の耳からわずか50Cmほどの至近距離となりましたが
耳障りで嫌な音は全く出ないところがJBLの良さなのでしょう。

4312をスケールダウンさせた4312M COMPACT MONITORは
バッフル板のサイズが300X180mmと、かなり小さなボックスなんですが
たっぷりとした厚みのある音で鳴ってくれるので重宝してます。
こんなに小さくて3Wayだなんて、普通に考えたらやかましい音を想像しがちでしょうけど
どっこい高域のピークにも刺々しさが無いのです。
この辺りがクロスオーバーの設定の妙でして、実に巧みに作られています。
130mmのウーハーはフルレンジに近く、その上を補正するスコーカーと
アクセントを付けるためにツイーターがあるような
そんな音作りがJBLの一貫したポリシーで、
それが前述の聴き易さに繋がっているのだと思います。
さすがですね。

実はこのスピーカーを購入したときの笑い話があります。
30年ほど前、4311というスタジオ・モニターを持っていたのですが
手狭になり売却した後に後継機の4312が登場しました。
とある売買サイトで、その4312が驚くほどに安い価格で売りに出されていて
懐かしさと安さのあまり、目にしたその瞬間に即決したのです。
売主は横浜在住だったので手渡しで受け取ることになり
某駅前で待ち合わせ(怪しく)車に乗せ換える段取りをつけました。
そして当日・・

売主は小さなダンボール箱を抱えて車から降りて来ました。
て?あれは何の箱じゃろか??
(4312は外寸で600X350X300mm、目方も20Kgほどあります)
笑顔で現れたその男性、箱を開いて中を見せてくれました。
てーっっ!!小っちゃあーい!!!(汗)

4312の後に「M」と記された型番に、全く気付いておらず
それがミニチュア・モデルの「M」であることをそのとき初めて知ったのでした。
(そりゃ安い筈だわ・・)

しかし、僕は動じることなく
何事もなかったかのような顔をして、その「小箱」を受け取り
諭吉2枚半を手渡してその男と別れてきたのです。
(どうだ、男らしいだろ)

けれど、エンジンを掛けて100mも走らないうちに
その大きな落胆が強烈に襲って来て泣きそうになりました(笑)

そんないきさつから我が家にやって来た4312M、
諦め、馬鹿にしかかっていたそのミニから出て来た(まともな)音に驚かされ
折れそうになっていた心を癒してくれたのは言うまでもありません。
とんだ笑い話ではありますが。


休日恒例、散歩がてらのハードオフ餌箱漁り。
床に無造作に置かれたダンボール箱の中から本日も2枚ゲットして来ました。
ハービー・マン、グレン・ミラー、どちらも百円です。
2枚組であっても百円てところが嬉しい限りであります。

ただし、以前からこれが欲しかったというわけではないのでして
そこに置かれている物の中で一番良かったのがこれだった、というだけで
百円(しかも税込み)の魔法にかけられたようなものなのです。
これが五百円とか千円なら絶対に買わないでしょうね。

百円の魔法、素敵!!

*

2014年4月8日

お帰り、ジェシ!



どうやらジェシの悲しいニュースは誤報だったようで
危険な状態は続いているものの存命であるそうです。

今なお衰えぬ若々しい歌声とジョークに満ちたトーク、
近年のライブ映像を観ていると
まだまだ歌い続けてくれることを願わざるを得ません。

アマゾンに在庫があったので
アンペックスのファーストを注文しました。
アナログ盤を手放して以来、
僕の部屋でこのアルバムを聴くのは
おそらく20年ぶりくらいになるのだと思います。

お帰り、ジェシ!
家に届いたら、そう声を掛けてあげることにします。


*

2014年4月7日

オーラトーンでジェシ・ウインチェスターを聴きたかった夜



アナログと相性が良く、ちょっと大き目のブックシェルフが欲しくて
毎晩のようにヤフオクをチェックしていたのですが
ことオーディオ製品に関しては貧困極まりない現状ですな。
ガラクタばかりで、まともな物がほとんどありません。
僕が捜し求めているような機種は個人の出品が無く
廃品から拾い集めて来たような業者の出品が多いのも困りもの。
しかも競り落とした物は値を上げて別の業者が出品したり
くだらん商品がサイトの中をぐるぐると回り続けているようなもんです。
ヤフオク最低!!(怒)

そんな嫌な気分を解消するため、
旧宅から持って来たオーラトーンの5Cを引っ張り出してみました。
いわゆるラジオ・モニターとして、アナログの時代に一世を風靡したモデルです。
僕のは後期型で、若干帯域が広がってはいるんですけど
典型的なカマボコ型の周波数特性で限りなくローファイな音であります。
これをメインに使うということはないんですが、
中域重視(いや、中域しか出て来ない)のナローレンジな音は
ボーカルの再現性には秀でていると思います。

今夜はこいつでジェシ・ウインチェスターを掛けたいところなんですが
残念ながらアナログ盤を手放して以来、手元に音源が無いのです。
旅立って行った彼を見送ることができないのが
なんだか悔しく思える夜なのでありました。

*