2019年5月21日

シェルの不思議


ヘッドシェルって
どれもこれも艶消しなのは何故なんだろ?
ト-ンア―ムはみんな光沢があるのに
先っちょだけがマット仕上げになっている。
艶やかな物もひとつくらい有っていいよね。
古めかしいデザインのシェルならなおさらだ。
僕なら欲しいな。


憧れのオルトフォンSPU、
この武骨な体と控え気味の光沢が大好きだ。
一度は使ってみたい、そうは思っても
昇圧トランス内蔵の、この重量を支えるには
やわなア―ムにサブウエイトを付けるくらいじゃ駄目だ。
やはり同社のRMG-309にマウントしたい。
(YP-400と同じくJ字型の往年の名機である)


そしてタ―ンテ―ブルはガラ―ドの401、
このラインナップじゃなければ納得が行かないという
永遠の憧れと頑なな拘り。


けれど総額〇十万円となると
さすがに阿保らしくなってすぐに諦めがつく。
夢、と言っていいほどの憧れは
儚いものである。

2019年5月20日

ゴジラ


アマゾンプライムにゴジラの全作品が加わっていたので
早速一作目から観始めることにした。
1954年の封切り、僕が生まれた2年後といえば
「戦後」とはいっても、まだあちこちに
戦争の記憶や癒すことのできない傷や痛みが残っていた頃だ。
母親に連れられ、帯広の街へ出掛けると
白衣を着た帰還兵が義手や義足をあからさまに見せつけながら
街角でハモニカを吹いて日銭を稼ぐ光景を
その悲しい音色と共に、今でもはっきりと覚えている。
そんな時代に作られた作品に、圧倒されるだけだ。
そんな時代に作られた作品だからこそ
どこか暗く、重く、もの悲しい。
放射能の恐ろしさと核開発競争の愚かさを
ゴジラの身を纏い我が国は世界に問うたわけで
戦争を体験した先人たちの真っ当な主張は
現代に生きる我々の心にも容赦なく突き刺さる。
はっぴいえんど、とは行かないところに
ゴジラの本質と日本人の血が、垣間見える。
そんな気がするのだ。


2019年5月19日

ハンダの匠


この美しいオリジナルのヘッドシェル、
不注意から断線させてしまったのだが
某リペアショップの「ハンダの匠」に
修理して頂けることになった。
ありがたいことである。

50年前のクラシカルな造作というだけで
音響特性的にど―たらこ―たら言う人もいる。
けれどYP-400は、これでなくちゃいけないのだ。
アナログは相性、それに勝る結果はない。
そして視覚に訴えかけてくる姿形も
アナログの醍醐味なのだから。

2019年5月18日

ダイヤト―ン

遅ればせのGWもどきというか
月曜から金曜まで、のんびりと五連休を過ごした。
とてもタイムリ-なことに
火曜にはヤフオクで落としたYAMAHA YP-400が届き
連休の間はアナログディスクをかけ捲ってしまったが
いい物を手に入れた喜びで至極の時間を堪能できたと思う。
明日の土曜からまた仕事なのが憂鬱ではあるが・・


現在の我が家のモニタ―スピ―カ―は
YP-400の少し前に発売されたダイヤト-ンのDS-251だ。
2年ほど前、近所のハ-ドオフで購入した。
過去にはいわゆる名機と呼ばれていた物なのだが
僕は当時から、あまり関心を抱くことのなかったモデルである。
いや、好きではなかった、と言う方が正しいのかもしれない。
では何故に買ってしまったのか、
やたらと綺麗なのに1万円を切っていたことと
当時はやかましく感じた高域の刺々しさが
この年齢に至ると(聴感の衰えで)
ちょうどいいバランスに聴こえるのでは、という直感からだった。
発売から50年、エ-ジングも十分にされてるだろうと
更に値切った挙句、車に積み込み持ち帰った次第。



ご覧の通り、これまたニアミントと言えそうなほど
エンクロ―ジャ―もサランネットも
肝心のユニットまでもが、驚くほど綺麗な状態で
そして音の方も狙い通り、しゃくれた感の広域は影を潜め
穏やかで繊細な音に変貌していた。
アルニコマグネットのウ―ハ―も、質量ともに申し分なく
バランスよく張り出す音に小躍りした記憶がある。

これが今でも、よく鳴ってくれているので
新たに加わったYP-400が本領発揮できるんだろうね。
70年代の音楽は、やはり同時代に生まれた機材で聴くのがいい。
アナログは、単なる懐古趣味で楽しむものではない。
「マッチング」を模索することから始めなきゃ。
人間の交わりや関りも実は同じ「そこから」なんだと思う。
奥は、深いものさ。

2019年5月17日

ナガオカの功績



50年ほど前からずっと愛用しているディスク・プリ-ナ-という製品、同世代の方ならきっとご存じのことでしょうね。中の芯棒を水で浸して使う、当時としては画期的なレコ-ドクリ-ナ-でした。盤面を回転させながら埃を拭き取るので、僕のような無精者でも面倒臭くなく忘れることなく使うことが出来る優れものです。そんな長年の相棒でしたが、この度やって来たYP-400には使えないのです。何故かというと、YP-400はPLAYボタンを押さないと回転が始まらず、なおかつア-ムリフタ-も下りてしまうからなんです。他社の一般的なオ-トシステムの場合だと、ア-ムを手動でタ-ンテ-ブル側に移動するだけで回り始めますけど、ヤマハの機種だけはその動作を採用してません。なんらかの拘り、なんでしょうかね?唯一不便に思えたのはこの部分です。

そんなわけで代替のクリ―ナ-を探してみると・・
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00IRRKBYI?pf_rd_p=3d322af3-60ce-4778-b834-9b7ade73f617&pf_rd_r=8DVW1AGXW75MMH0A4MVF
ナガオカのこれ、まだ製造販売されてるんですね!びっくりしました。おまけに50年ほど前とまったく同じ色形、仕様変更もされてません。何も変わらぬどころか価格もほとんど当時のまま!ほんと驚きました。交換針に留まらず、ベルトドイブ用のベルトを各種各サイズ、1500円程度で現在も販売している会社ですからねえ。アナログファンには欠かせない存在です。

(追記)
微妙に仕様変更されてました。オリジナルの品番は113でしたが、116を経て現行モデルは118。フェルト部分の毛足の長さや材質に変更があるそうです。


2019年5月16日

不覚にも・・


やっちまいました。
YP-400の素敵さを際立たせていた顔の一部、
オリジナルのシェルが使えなくなるという
不覚にもそんなミスを犯してしまったのです。
悲観・・

事の発端は
カ-トリッジのリ-ド線が細すぎるし
44年も経過してるんだし
硬化してるし
こりゃあ微弱電流の妨げになるだろうと
いつものように交換作業を始めたのです。

ところが
ア-ム側のピンが抜けないのです。
かってえ―なあ!固着しちゃったのかなあ?
ピンセットで強く引っ張ってみると
なんと、ハンダ付けされていたのです。
聞いてないよ―!!と心で叫びましたが
時すでに遅し。
無理やり引っ剝された青のリ-ド線が
ピンセットの先で死に絶えておりました。


やや特異な形状のシェルではありましたけど
まさか、ここがハンダ付けされてるなんて。
ねえ・・(涙)
どなたかにお願いして直して頂くまでの間、
陳腐なシェルで我慢することにします。
けど、見てやってください。
なんだかつまんない顔になっちゃったでしょ。


実は、その急を要したシェル交換
このオ-ディオテクニカに行き着くまで
あれこれとっかえひっかえの
大変な作業となってしまいました。
オリジナルが中途半端な重量だったもんで
標準的な物では軽すぎて
ゴツイ形状の物では重すぎて
それを何度か繰り返した挙句にようやく・・

その惨状がこの画像でして
素人のやっつけ仕事には
落とし穴があちこちに潜んでいるという
見本のようなお粗末クンでした。


リタに慰めてもらってます。
泣かないぞ-!

2019年5月15日

SHUREのカモメマ-ク


発売当時のYAMAHA YP-400には、SHURE M75B Type2が標準でマウントされていた。エントリ―モデルとして誰もが使ったことがあるであろうM44Gの上級モデルである。音質は44Gほどのクセはなく、ドンシャリ感が無いのでオ-ルマイティに使うことが出来る。今回落札した個体にも、当時のままオリジナルのシェルにはこれが付いていた。古い代物だし、愛用のカ-トリッジに交換しようと思っていたのだが、鳴らしてみるとこれが案外といい。44年前の製品だ、針は何度か交換してるだろうが、カモメマ-クのボディは紛れもなく発売当時の物だった。ところがカンチレバ-のテンションも十分で、歪も無く自然な音調がとてもいいではないか。見た目的にも付属のオリジナルシェルによく似合っている。現在でも正規品の交換針が残っているようだし、しばらくはこのまま使ってみることにしよう。


ちなみにこのYP-400はセミオ-ト、機構はサブモ-タ-による駆動ではなく、スイッチを押すと機械的にギアが動いてア-ムを上下するという極めてクラシックなスタイル。ア-ムを盤面へ持って行きPLAYボタンを押すとリフタ-が降り、OFFを押すか最終円まで行くとア-ムレストに戻って来る仕組みだ。ギアが動くので作動時の動作音はちょっと大きいけれども、UP・DOWN時はミュ―トが掛かるので、スピ―カ-からのノイズは発生しないという親切設計なのである。セミオ-トとはいえ、ア-ムが自動的に戻って来てくれるのは、酒飲みにとってはありがたいことである。

それにしても、昨日からいったい何枚のアルバムを聴いてることだろう。楽しいのだ、ディスクをセットしてPLAYボタンを押すのが、実に楽しいのだ。まさに音を楽しむ状態、これは久しぶりの(懐かしい)感覚だ。DENONの引き締まった音とは明らかに異なり、ふっくらとしていて温かい。これはおそらく、耳では検知できない微妙な音の揺れと、箱型のボディが音を膨らませているせいなんじゃないかと思う。僕が求めていたのはこの音で、ゆえに旧いベルトドライブを探すきっかけにもなったのだ。振動対策として箱型から重くて堅い積層合板やレジンコンクリ-トの素材を使うようになってからのモデルだとこうは行かない筈だ。その辺りが、周波数特性だけを見て、音の楽しみ方を知らない技術者のつまらなさでもあるわけで、アナログが衰退して行ったのも、そんなところに原因はある。巨大なインシュレ-タ-が取り付けられた20Kgほどもあるプレ-ヤ-が、必ずしもいい音を出すとは限らない。箱型のYP-400はわずか8Kg、周波数特性では劣っていても、音を楽しく優しく表現してくれる。


このモデルの特異なテ-ブルマットの形状についても語っておこう。レコ-ド盤が面接触ではなく点接触するよう突起が設けられている。クリ―ナ-を押し当てるとわかるのだが、盤面がスリップせずマットに密着している。ほとんどのディスクは歪んでいたり反っていたりフラットではないので、平面のマットでは隙間があちこちに生じてしまう。それを解消してくれるこの形状が、ふっくらとしてはいても分離がよく締まった音に繋がっているのだと思う。44年も経過してるのに、ゴムが硬化しておらず突起がひとつとして欠けてないことも驚きだ。こまめにメンテしていたであろう前オ-ナ-には頭が下がる。そして感謝しかない。