2022年4月18日

そんなわけで「ドライブ・マイ・カー」

 

家内が持病持ちで、ここ数年は街中へ出たことがないので

私が例のやつに感染してしまうと大変なことになりますから

自粛という名目で外食や外飲み、果てはライブに至るまで

繁華街へ出掛けることを避ける生活が未だに続いています。

私はどちらかというと引き篭もり気味の性分でしたから

それをさほど不便には感じませんでしたが

評判の映画が上映されても観に行けなかったのがちょっとね。


そんなわけで「ドライブ・マイ・カー」も

U-NEXTの無料トライアルを利用して

今日ようやくNETで観ることが出来ました。

およそ3時間の長い作品ですが

熱くもなく冷たくもなく、淡々と流れる時間を

サーブのシートに座って眺めているような感覚で

現実と背中合わせの非日常的な世界と舞台を

行ったり来たりしながら、つい見入ってしまったのは

やはりキャスティングの妙もあるのでしょうか。

三浦透子さんはさすがの存在感でしたけど

霧島れいかさん、そしてパク・ユリムさんも凄かったですね。


私、日本映画で一番気になるのが声の大きさだったんですが

どの作品もレベルをかなり上げないとほとんど聞き取れませんし

台詞が聴こえないほど小声の作品が多いのは何故なんでしょうね。

それと全体的な映像の暗さも好きじゃありませんでした。

いわば、真っ暗闇に近いシーンと息を殺したような喋り方

これが延々と続くのが日本映画の特徴だと思ったくらいです。

その点でも、淡々と一定の声量と棒読みで喋る演出と

暗くなりすぎない映像は好印象でした。


ひとつだけツッコミを入れたくなったのが

原作には無い後半の北海道へと向かう下り。

時間をかけて丁寧に構築されたそこまでの流れが

唐突に、やや乱暴で雑味なものに変わってしまったのが残念です。

季節柄、予めスタッドレスを履いていたとしても

広島から来て、そのまま冬の中頓別を走るのは無理があります。

しかも、旧いサーブ900ターボで。


その昔、サーブは私も好きな車でした。

バブル期にちょっとしたブームもあって

割と頻繁にそこいらで見かけたものです。

けれど、日本の夏の過酷さには耐えられなかったようで

高速の路肩にオーバーヒートで止まっていたのは

ダントツでサーブの確率が高かった記憶があります。

高温多湿の日本の夏は外車にとって過酷すぎますからね。

なので、一度も乗ることなく終わってしまいました。


もしかすると、主役がサーブ900ターボだったというのが

この映画を3時間も観ていられた最大の要因なのかもしれません。

そしてハンドルを握っている時のエンジンやサスの感触、

それらが無ければ生まれない発想やイメージがあることを

強く共感したからなのかもしれません。



2022年4月11日

あたしのこと、父ちゃんのこと、家族のこと


ここ2週間ほど、やたら元気です。

ご飯も日に30gほどは食べるようになったので

以前より少しだけ肉付きが良くなりましたし、

なんと言ってもチャームポイントの眼ヂカラ復活が嬉しいです。

完治するのは難しい病気ですけど

ほんの少しだけ安心できる程度には回復しました。

今日、先生と相談して

点滴の間隔を2週間くらいにすることにしましたので

通院のストレス緩和にもなるかと思います。

以上、心配されてた方々へ本人からの近況報告でした。(たー)


ついでに父ちゃんの話をします。

カムカムが終わった後、心はまだ岡山と京都にあるようです。

この分だと、沖縄へは暫く行けないでしょうね。

今朝、ほんのちょっとチラ見する程度に

チムチムエブリバディ(ちゃうて!)の感触を確かめたようですが

やっぱりつまんなそうな顔してました。

父ちゃん曰く、フツーの朝ドラに戻っちゃったと。

たぶん、半年間ずっとチラ見を続けるんでしょうね。

父ちゃん!料理番組だと思えばいいんだってば!(たー連投)


もひとつついでに。

双子のお孫ちゃんがこの春から小学生になったそうです。

でっかいランドセルが初々しいですよね。

毎日楽しそうに通ってるんですって。

いいなあ、人間は。

あたしも学校行きたかったなあ。。(たー三連投)

以上、本日はたーにゃんによる寄稿でした。



2022年4月10日

私なりの朝ドラ考

 


大阪局の朝ドラの歴史には本局との壮絶な戦いがありました。

「純と愛」で大阪局が派手に転けた翌年から始まったのが

「あまちゃん」⇨「ごちそうさん」⇨「花子とアン」⇨「マッサン」と続く

東京と大阪局の(ん)で終わるタイトルの攻防戦であり

それはいずれも見応えがある良い作品の目白押しとなりました。


その後「まれ」の不人気で東京局が失速してしまいましたが

その秋の「あさが来た」の成功によって大阪局は面目を保ちました。

大きな失敗作となった「純と愛」以降は大阪局に名作が多いのです。

おそらく本局の大河に相当する熱量が朝ドラの制作に注がれているのでしょう。


タイトルに関して続けると、名作「ちりとてちん」を含め

「てっぱん」「カーネーション」「おちょやん」等々、

大阪局の(ん)で終わるタイトルに拘る姿勢は尋常ではなく、

地味でしたけど私が密かに好きだった「べっぴんさん」も大阪局でした。


総じて、わたし的には大阪局制作の朝ドラが毎回面白いと思う訳でして

その歴史の中でも極め付けである「カムカム」が終わってしまったことで

今なお余韻に浸りながらも空虚な日々を過ごさざるを得ないのです。

特に今回は制作と準備に三年も費やし、三部作構成とは言え

半年間に三本の濃厚なドラマが放映されたことになるわけですから、

私にとって、その喪失感は計り知れないものがあります。

この壮大な物語の制作は大阪局だからこそ成し遂げられたのであって、

時間と労力、膨大な費用が必要となる大河を抱える本局では

たぶん企画の段階から決して許されなかったことでしょう。


そんな大阪局の心意気を嬉しく思いながら

今日もまた、カムカム百年分の記憶の断片を拾い集めに

私は夢想と夢遊の旅へと出掛けて行くのでした。



2022年4月5日

おいしゅうなれ、おいしゅうなれ

 

書かずにいられません。

初回から最終週に至る全てが神回です。

これほど丁寧に作り上げられた朝ドラがあったでしょうか。

何処を切り取っても無駄が無いどころか

伏線としてあちこちに散りばめられたピースを

順々に繋ぎ合わせて回収してゆく藤本マジックは

こう来たかあ!と唸らせてしまうほど

精密で巧みな脚本に仕上げられています。

たとえば生きるか死ぬかの瀬戸際であっても

決して重くならず、どろどろした感触を抱かせないのも

藤本作品の特筆すべき点ではなかったでしょうか。

これはある意味、三谷幸喜さんの作風にも似ています。


そして毎回感心するのが現場の熱量。

役者さんの技量やセンス、カメラワークはもとより

先の展望を予感させる小物類をチラつかせるショットなど

どれも上手すぎて、数え上げたらキリがありません。

キャスティングも見事な人選だったと思います。

ここにも全く無駄が感じられず、ちょい役の登場人物に至るまで

ストーリーの核として成り立たせる手法はまさに神業です。

画面の中で、全員が意味を持ってそこに映し出されているわけで

もはやこれは朝ドラの範疇では語れないほどの名作と言えるでしょう。

三部作の途中から出演している深津絵里さんは素敵でした。

ただ一人オーディションではなくオファーだったそうですが

おそらく藤本有紀さんの意向なのでしょう。

彼女の存在が、中盤から現在に至るまでの軸となっています。

川栄李奈さんがのびのびと演技できるのも

母親としての彼女あってのことだと思います。


総じて、この作品のキャスティングは実に素晴らしい!

バイプレーヤーの全てが物語のツボに嵌まってます。

そう、誰しもが物語のピースとなって

家族の百年の営みを壮大に表現してくれたのです。

本当に、名作だと思います。

あと三話で終わってしまうのはとても残念ですが

半年間、いいものを見せて頂いたことに感謝します。

朝ドラ好きの私にとって、忘れられない作品となりました。

ありがとう、藤本さん。

ありがとう、全ての役者さん。

ありがとう、現場のスタッフ。

ありがとう、NHK大阪局。


ちなみに・・

豆腐屋のスーパーきぬちゃん、どうしてるかなあ。




2022年4月2日

私の四月

 


先日、大掛かりな配置換えを敢行した際は

4セットのモニターの内2セットだけ結線したのですが

その時の疲れもようやく癒えたものですから

置き具合を修正しがてら全ての結線を終えました。


改めてラインナップをご紹介すると

一番下で支えてくれてるのがダイヤトーンのDS-251で

その上に縦置きしてるのが東芝製の16Cmフルレンジ。

この2台がDAWのモニターとして活躍してくれます。


そして掟破りの横置き8Cmユニットのバックロードホーン2機種、

下がマークオーディオのOM-MF519で

上がスーパーツイーターPT20を追加したFostex M800です。

どちらも解像度が甘いためリスニング用として使用しますが

音の艶やバランス的にはFostexのセットの方が好みです。


軽くて薄いMDF材で作られたエンクロージャーなのに

このM800という(特殊な)ユニットとの相性が抜群で

低域の量感や弾み具合がとても良いんですよ。

数が増えすぎたんで何度か手放そうと思いましたけど

いやいや、手元に残しておいて良かったです。

刺激的な音が一切出ないんでBGMとしては申し分ありません。


明日は天気が良くないみたいですから

久しぶりにアナログ盤を聴いてみようかと思います。

私の四月は真っ赤な嘘をつくことも無く

桜を愛でることもないまま、淡々と過ぎて行くようです。


今宵のBGMはアンドレ・プレヴィン&ダイナ・ショア「パリの四月」

M800が奏でる音は、夜の空気に艶やかに響くんです。



2022年3月26日

春ですから、模様替えしました。

 



モニタースピーカーの入れ替えに伴い

長らく手付かずのままだったデスクトップを整理しました。

8Cmユニットのバックロードホーンだと低域が強調され

リスニングには支障が無くてもモニターとしてはちょっとね。

思い切ってロクハンをディスプレイの脇に置くことにしたのです。

そのスペースの関係でデスク右奥の整理をした次第。


久しぶりに聴いた東芝製の謎の16Cmユニット、

コーン紙が薄くて軽いこともあり音の反応がとてもいいです。

特に中高域がいい、コアキシャルユニットかと思わせるくらい

センターキャップから粒立ち良く高域が張り出して来ます。

分解がいいので打ち込み時のモニターとしては申し分ありません。

低域がやや不足気味なので(例によって)百均セリアにて

210X120X60mmのスポンジブロックなる物を見つけ4個購入。

スポンジという名称であっても硬質ゴムを思わせる硬い材質で

デスクの共振防止と低域の締まり具合に効果的でした。

当初は下駄型に立ててセッティングしたんですが

中高域とのバランスを取るため平に並べてベタ置きに変更。

定位も良く、いい塩梅の音質になってくれました。

無名とは言え、やはりこのユニットは侮れない実力を秘めてますね。

大切に使わせて頂きます。

最後になりましたが・・

先月から続くウクライナでの紛争は、未だ終わりが見えません。

敵意を剥き出しにして、ひとたび拳を振り上げてしまうと

納めどころ、落としどころが見つからず

どんどん深みに嵌まって行くのが戦争の悲惨さです。

TVやNETで毎日報道される空爆や瓦礫と化した街並み

その光景を目にする度、人間の愚かさに憤り

攻撃を加えた側が悪としか映りません。

けれどそこに、ありとあらゆる類の情報が入り乱れると

もはや何が真実で何が嘘なのか

何が何だかわからなくなってしまうのも事実です。

NATOの巧妙で用意周到な戦略によって

西側の罠に嵌ったプーチンという構図も浮かんできますが

いずれにしても戦闘で犠牲になる多くの兵士や市民、

そして子供たちを思うと、NO WAR!としか言えません。

生涯を通して一貫した反戦の思いだけで

それ以上のことに言及するのは避けたいと思っています。

今はそれしか言えないのです。



2022年3月14日

思い出の地

友人の書き込みに懐かしい場所のことが記されていて

それを読むうちに甘酸っぱい思い出やら記憶やら

わけのわからん有象無象が蘇ってきてしまった。

相鉄線の三ツ境駅から坂道を上った所にある聖マリアンナ病院。

25年前、45歳の誕生日に人生初となる入院生活を経験して

その後も別の病で二度ほど入院してお世話になった場所である。

大きな自然公園やたくさんの木々に囲まれた環境に加え

駅からの道には春ともなると桜が咲き誇り

通院するときの憂鬱さを忘れさせてくれたりもした。


そこでの入院生活を(自虐的に)歌にしたのが

8トラックマルチで製作した「聖マリアンナ病院にて」

2005年にステージに復帰する前の、

打ち込みで宅録に勤しんでいた1999年頃の作品。

お世辞にも上手いとは言えない拙い歌と演奏なので

お聞かせするのはとても恥ずかしいことなれど

ご興味のある方(のみ)聴いて頂けたら嬉しいです。

(ご視聴は下記リンクから)

http://kazura-sound.up.seesaa.net/image/maria64k.mp3


「聖マリアンナ病院にて」


夜明けと共に目を覚まして

東の空染めてく太陽に祈る

今日も一日、何事もなく終わりますように

聖マリアンナ病院にて

朝焼けの眩しい窓辺に立ち

麗しき微笑みを讃えしは母なるマリアンナ


ここでの暮らしにも慣れて世間話で暇潰す

わけもなく相槌打てば

退屈な時間さえも苦にならない

聖マリアンナ病院にて

秋晴れの青い空を見上げ

色づいた森の中で穏やかな午後を祝うマリアンナ


無精髭伸ばし、やるせないような気怠さに

眠れぬ夜は宙を睨んで狂おしいほどに暗い沈黙

聖マリアンナ病院にて

新しい朝を迎えるならこの身を捧げましょう

神の手に抱かれマリアンナ


どれくらいの間、寝てたのか

橙色の陽は傾き

目に映る何もかもが黄昏の中で肩を寄せ合う

聖マリアンナ病院にて

夕映の空を渡る鳥

目の前の世界中が安らぎの時を刻む

マリアンナ