家内が持病持ちで、ここ数年は街中へ出たことがないので
私が例のやつに感染してしまうと大変なことになりますから
自粛という名目で外食や外飲み、果てはライブに至るまで
繁華街へ出掛けることを避ける生活が未だに続いています。
私はどちらかというと引き篭もり気味の性分でしたから
それをさほど不便には感じませんでしたが
評判の映画が上映されても観に行けなかったのがちょっとね。
そんなわけで「ドライブ・マイ・カー」も
U-NEXTの無料トライアルを利用して
今日ようやくNETで観ることが出来ました。
およそ3時間の長い作品ですが
熱くもなく冷たくもなく、淡々と流れる時間を
サーブのシートに座って眺めているような感覚で
現実と背中合わせの非日常的な世界と舞台を
行ったり来たりしながら、つい見入ってしまったのは
やはりキャスティングの妙もあるのでしょうか。
三浦透子さんはさすがの存在感でしたけど
霧島れいかさん、そしてパク・ユリムさんも凄かったですね。
私、日本映画で一番気になるのが声の大きさだったんですが
どの作品もレベルをかなり上げないとほとんど聞き取れませんし
台詞が聴こえないほど小声の作品が多いのは何故なんでしょうね。
それと全体的な映像の暗さも好きじゃありませんでした。
いわば、真っ暗闇に近いシーンと息を殺したような喋り方
これが延々と続くのが日本映画の特徴だと思ったくらいです。
その点でも、淡々と一定の声量と棒読みで喋る演出と
暗くなりすぎない映像は好印象でした。
ひとつだけツッコミを入れたくなったのが
原作には無い後半の北海道へと向かう下り。
時間をかけて丁寧に構築されたそこまでの流れが
唐突に、やや乱暴で雑味なものに変わってしまったのが残念です。
季節柄、予めスタッドレスを履いていたとしても
広島から来て、そのまま冬の中頓別を走るのは無理があります。
しかも、旧いサーブ900ターボで。
その昔、サーブは私も好きな車でした。
バブル期にちょっとしたブームもあって
割と頻繁にそこいらで見かけたものです。
けれど、日本の夏の過酷さには耐えられなかったようで
高速の路肩にオーバーヒートで止まっていたのは
ダントツでサーブの確率が高かった記憶があります。
高温多湿の日本の夏は外車にとって過酷すぎますからね。
なので、一度も乗ることなく終わってしまいました。
もしかすると、主役がサーブ900ターボだったというのが
この映画を3時間も観ていられた最大の要因なのかもしれません。
そしてハンドルを握っている時のエンジンやサスの感触、
それらが無ければ生まれない発想やイメージがあることを
強く共感したからなのかもしれません。