2012年3月10日

淡々と


どちらも恐ろしい光景でした。
偶然にも重なった11という数字を恨めしく思ったものです。

予想だにしない出来事は、非現実的なものとして目に映り
あまりにもリアルな映像からは逃れようのない戦慄を覚えてしまいます。

いつもと変わらぬ町並みが、家が、
一瞬の内に瓦礫と化してしまう恐怖は言葉にできません。

いつもそこに居る家族が、愛する人が、
さよならも言えずに永久の別れを迎える結果になるなんて
その悲しみと怒りをいったい何処にぶつけたらよいのでしょう。

世界を震撼させた同時多発テロから10年、
そして東日本大震災から明日で1年、
どちらもまるで昨日の事のように生々しく蘇ります。

個々の人間にとって「世界」とは、何も地球上全てを指すものではありません。
日常そのものが、すなわち世界なのであり
その日常(世界)が崩壊してしまうことほど恐ろしい結末はないのです。
被災された方々の心情を思うと、体が震えてくるほどの憤りが込み上げてきます。
淡々とした日々を送っていた彼らが、いったい何をしたと言うのですか?
惨い、あまりにも惨すぎる。

さりとて人間は無力だからと、逃れる気持ちにはなれません。
向き合い、受け入れ、そして自分に何ができるのか
「降りかかる災いや試練を そのまま受け入れちまえよ」

私は人として生きて行きたい、淡々と。
そう思う夜なのです。



2012年3月9日

BLUE NOTEは数寄屋橋の思い出


終日の雨なんて、久しぶりですね。
もう24時間以上も降り続けています。
こんな夜はBLUE NOTEの音に浸りましょう。

この2枚のディスク、とあるお店のカバーに入ってまして
右下にSOUND MARKET HUNTER TOKYO GINZAとプリントされています。
都内中古レコード店の老舗ハンターの物で、最盛期には6店舗ほど在り
数寄屋橋の1号店は創業44年の歴史を誇っていたお店でしたが
10年ほど前に突如破産宣告の張り紙を残して閉店してしまったようです。

何を隠そう1970年代から1990年代に至る20年ほどの間、私はそこに勤めていました。
売上も会社の規模も右肩上がりだった一番良い時期に仕事をさせて頂いたのです。
中古レコードの仕入れの他に輸入盤の仕入れも担当したりしながら
雑誌広告の原稿を作ったり、単価の大きなオーディオや楽器の売買を提案して
新たに専門の店舗を設け、大幅な黒字を生み出すなど、ずいぶん貢献したものです。
オイルショックの影響からレコード盤の原料である塩化ビニールが不足して
メーカー各社がプレス量を大幅に削減した結果品薄になった時代や
CDが主流となりアナログディスクの売れ行きが激減して大量の不良在庫を抱えた時代など
世の中が大きく変わって行くのを目の当たりにしながらも楽しく働くことができました。
私は都内の店舗を転々とはしましたが、20年ほどの間のほとんどは数寄屋橋界隈に居ましたから
お店に足を運ばれていた方なら(たぶん)私とお会いしたり言葉を交わされたりしていた筈です。

私が退職したのは長男が中学に上がった頃ですから15~6年ほど前だったと思います。
毎日が楽しかったせいか、休日返上であまりにも仕事に没頭しすぎて
家族とゆっくり過ごす時間も無いまま、気が付くと長男は立派な男へと成長していて
幼かった娘たちもいつの間にか大人びた少女に変わっていました。
四十過ぎまで我武者羅に働いてきたことへの反動もあったのかも知れませんが
数寄屋橋の店舗全体のリニューアル工事で一時閉店となる機会に、
役職や高額の給料を棒に振り、社長に相談して辞めさせて頂きました。
その後の転職の苦労や収入の激減などはありましたが、後悔はしなかったことを覚えています。

ただ、お店が(会社が)無くなってしまったことは残念です。
当時の社長は二代目で、私と同じくらいの年齢だったこともあり
気軽に何でも相談できましたし、よく新橋界隈で飲んだりしていました。
今でもあの頃のことは夢にも出て来るくらいです。
それが破産だなんて、いったい何があったというのでしょう。
従業員は全社で数十名居ましたから、その者たちがどうなったのかも気がかりですが
辞めて以来は誰とも連絡を取り合うことも無かったので全く状況が分かりません。
現代のように携帯やメールというツールがあれば何らかの形で繋がっていたんでしょうけどね。
同族経営の会社でしたから、お家騒動があったのか
はたまた野望に満ちた若い社長だったので投資に失敗したのか、皆目見当もつきません。

ちなみに当時はソニービルの地下にも店舗がありましたから
来日した様々なアーティストが買い物がてらよくお店に立ち寄っていました。
私が覚えているのはエルトン・ジョンですが、他にも居たかも知れません。
あ、数寄屋橋のお店には故・筑紫哲也さんが毎日のように来ていました。
花の銀座の一角に在った(場に不釣合いな)中古レコード店、そんなお店の思い出話。

蛇足ながら、私の歌「塀にもたれて」の詩は、数寄屋橋のこの店から本社の在る新橋へと
JR高架沿いのコリドー街を歩きながら見上げた空を歌ったものです。
そして新橋からは深夜、その頃住んでいた東戸塚の家へ帰るために
改札を抜けて地下の横須賀線ホームに辿り着き、汗ばんだシャツと酒の臭いが染み付いた
そんな都会のやりきれない夜の風景を歌にしたのでした。

私の一時代の思い出・・




2012年3月8日

太陽嵐のせいかしら?

体の右半分が不調です。
昨日熱くて辛いカレーを食べ過ぎたせいか、右上の奥歯がシクシクと痛み
つられて治療中の右眼が時折ガンガンと痛み
おまけに右の臀部に出来たおできまでもがジンジンと痛み
春先のこの時期は、痛いのや痒いのが続々と登場するので困ります。
暴飲暴食と極度の睡眠不足を避けたりしながら、体に無理の無いよう生活してるつもりですが
寄る年波には勝てないという、ことわざ通りの現象なのでしょうかね。
(いや待てよ、太陽フレアに伴い大量放出された荷電粒子のせいか?)
・・人体にも影響があるかも知れないもんねぇ~

ガソリンが高くなったと昨日ボヤキましたが、
だからと言って信号待ちでエンジンを止めたりとか
アクセルを踏む量を抑え込んだりなんてことはしてませんよ。
必要以上にスピードを出さないのは勿論ですが
普通に、ごく当たり前に、流れに乗って走っています。
経済的にもう無理!となった暁には、潔く車を捨てる覚悟です。
それまでは「普通に」走っていたいですからね。

3.11の直後、街中からガソリンが欠乏した頃のことを思い出します。
燃料の消費を抑えようと、夜間でも車全体の流れがかなり遅くなっていました。
無理に追い越そうとする車は数えるほどで、
みんなお行儀良く一列に並んで走っていた光景が印象的でした。
己の生き方に障害とならない部分での「流れに乗る行為」社会では大事なことです。
なので、私は「流れに乗って」走ります。


そんな今夜のお供はディラン・ボックスのDISC THREE、
スーマーの傑作和訳「愛がぶらさがってる」の原曲「BLOOD IN MY EYES」の
オーバーレベルで歪んだギターの音とボーカルがやけに心地好いのです。
しかしながら、この歌はスーマーの勝ち!!






2012年3月7日

百五十円也


じわじわ、じわじわと上がってきてるのは感じていましたが
1号線沿いのスタンド各社の前を通過する時、とうとう目にしてしまいました。
L/150円の看板、それもいたる所で。
昨日より3円~4円も高くなってしまいました。
イラン情勢を考えると、いつかこの日が来るであろうことは予測できましたが
いざ目の当たりにしてみると、やはりショックです。
これから先、いったいどこまで上がって行くのでしょう。
胸がざわざわしてきます。

そんな夜ですから
高田渡を掛けてみました。
いつの時代も、庶民は困難を受け入れることしかできないのです。
乗り越えようなんて、誰も思っていません。
ただただ呆れて、へへと嘲笑って酔い潰れるのです。


高田渡「ごあいさつ」




2012年3月6日

西向きが好きなんです。


今日は女房の誕生日、私より一足早く還暦を迎えました。
twitterやfacebookを通してお祝いの言葉を戴きましたこと、ありがたく思います。
お互いにかなりガタは来てますが、おかげ様でまだしばらくは元気に過ごせそうです(笑)

彼女の所用で大田区役所まで車を走らせた帰り道、
北寺尾の1号線沿いに在るスターバックス鶴見店に立ち寄りました。
国道沿いでドライブスルーまであるなんて、ふだん見慣れたスタバとは違いますし
丘の上に建ち夕日を受けたこの店の前を通るたび、一度行ってみなくてはと思っていたのです。

予想した通り、素敵なお店でした。
広い駐車場からウッドデッキのエントランスを抜けて入口へ向かうと
眼下に第2京浜を見下ろすオープンデッキがいい感じです。
西向きなので、夕方は沈み行く太陽が眩しいかも知れませんが
自称「西日好き」な私にとっては、またとないロケーションなのであります。
暖かだった今日は、その西日を堪能できたことも収穫ですし
コーヒーを飲みながら心置きなく煙草が吸えたのも有りがたいことでした。
(二人とも喫煙者ですからね、煙草が吸えない店では寛げません)

1号線を挟んで向かい側のライフから見るとこんな感じです。
ご興味のある方、近くを通りかかる方、是非一度覗いてみてください。


ね、いい感じでしょ。
晴れた日の午後がオススメですが、朝7時から翌朝の4時まで営業してるそうです。
http://www.starbucks.co.jp/store/search/detail.php?id=730&search_condition=%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E3%80%80%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%B8%82%E9%B6%B4%E8%A6%8B%E5%8C%BA&pref_code=14&city=%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%B8%82%E9%B6%B4%E8%A6%8B%E5%8C%BA&store_type_3=&search_by_address_flg=&x=73&y=15

陽気が良かったせいか、私の愛車も終始ご機嫌な走りでした。
エンジンもミッションもタイヤも、やはり春先が一番調子がいいようです。
660CCのロープレッシャー・ターボが気持ち好く吹き上がる
そんなドライブ日和の一日の締めは、昨夜に続きディランです。



2012年3月5日

0と1の魔法


もしかすると・・
開封しただけで、一度も聴いてなかったかも知れません。
2007年の10月に発売された3枚組のDYLAN [Limited Edition]
布製のクラシックな箱に収められたリマスターのベスト盤です。
装丁も素晴らしいし、ジャケットやライナーの写真もいいし
(今さら)へえ~と、感嘆している自分に呆れています。

オーラトーンがどうだこうだと書き記しておきながら
実は私、家で音楽を聴くことはごく稀なのであります。
年に一度くらいだけ無性に聴きたくなって、数日間に手持ちのアルバムを一気に掛け
そしてまた一年くらい全く聴かない状態が続くような、そんな暮らしぶりなのです。
そんなわけですから、このアルバムのように持っていることを忘れている物も多々あります。
ちなみにこれはどこに埋もれていたかというと、
ブルースハープを数本入れたケースの「台」になっていました。
今夜ふと、はて?あの赤い箱は何だったかしら?と思いながら上の物をどかしてみて
4年半ほど眠ったままだったことに気付いたのでした。

これも今さらですが、対訳は中川五郎氏の手によるものでした。
後で老眼鏡を掛け、じっくり読んでみたいと思います。
それにしてもデジタルのリマスターって、素晴らしく艶やかな良い音になりますね。
DISC ONEの声もギターも、とってもリアルに聴こえます。
アナログの時代はマスターテープの音質とカッティング技術に頼らざるを得なかったものですが、
現代はデジタル処理を施すことによって、後からどうにでも加工できるんですからねぇ。
たかが数字の0と1の組み合わせで、いったい何ができるって言うんだい!!などと、
日頃はややデジタルに対する反骨精神みたいなものを抱いてはおりますが
このように60年代初期の音を生々しく感じるほどに聴いてしまうと
(ちょっとだけ)デジタルの罠に溺れてみたくなってしまいます(笑)

でもねえ、その0と1を読み取れなくなってしまったら
目の前に有っても一切のデータが取り出せなくなるようなことは困りものです。
パソコンのハードディスクにも同じようなことが言えますし、
ちょっとしたトラブルでデータを失ってしまうような事故は頻繁に耳にします。
それも原因が全く分からないまま。
けれどアナログであれば、レコード盤もテープも「目の前に有れば」何とかなります。
しかもお金をかけずに自分の手で。
この差は比較にならないほど大きいのです。

リスナーに手間を取らせない諸々のデジタル技術が、
自分で何とかしようという発想と行為を奪ってしまいました。
便利になったとは言え、あらゆる局面で己が行動を起こす意志が希薄になってしまったような
そう思う私は大袈裟に考えすぎなんでしょうかね?

ああ、やめたやめた。
私が何を言ったところで、価値感てぇやつは複雑すぎるのですから。
最後に、今夜もボロボロのFE-103は絶好調なのであります。
わ、今「JUST LIKE A WOMAN」!



2012年3月4日

BLUE RIVER


今夜はエリック・アンダースンの「ブルー・リバー」を聴いています。
72年にリリースされたこのアルバム、ふと無性に聴きたくなる時があるんですが
曲や詩もさることながら、プロデューサーであるノバート・プットナムが好きな理由もあります。


ナッシュビルのスタジオ・ミュージシャン達が集まって結成されたエリアコード615というバンド、
彼はそこのベーシストで、私の好きなJ.J.CALEやトニー・ジョー・ホワイトなどのバックも務めています。
シンプルなフレーズなんですが、J.J.CALEの「REALLY」で聴かれるような音が大好きでして
この70年代の最高傑作と評された名盤「ブルー・リバー」に辿り着いたのも
人とはちょっと違い、クレジットに彼の名前を見つけたからだったような気がします。

そんな裏話はともかく、いかに偶然辿り着いたとは言え、これは素晴らしいアルバムなのです。
うまく表現できないんですが、俗っぽい言葉を用いるなら心が洗われるというか
タイトル通り、清らかな水が荒んでしまった心を優しく包んでくれるかのようで
少々疲れている時には2~3回続けて聴いてしまいます。
私にとっては一種の清涼剤と言えるのかも知れません。

ああ、それにしても
ナッシュビルの音は素敵です。
前述のエリアコード615の2枚組UK盤を聴きたくなって探してみましたが
レコードは見つからず、残念ながらすでに手放してしまっていたようです。

それではもう一度「ブルー・リバー」を。。