深夜のニュース番組を見ていて驚いた。
昨今の会社では、上司に用を頼まれたりしたときに
「ありがとうございます」と応える若者が増えているんだとか。
それも「これ、コピーしておいて」みたいな用件に返す言葉として。
確かにおかしな日本語だ。
この傾向をずっと研究している人間が言うには
近頃あちこちで「ありがとうございます」という言葉を頻繁に耳にするんだとか。
とても良いことではないか、と思っていたら
前述のような場違いの使われ方が多いらしい。
日本語の「ありがとう」は、とても美しく優しい言葉なのだが
使い方を間違えてしまうと「?」疑問符しか残らない。
「お電話ありがとうございます」
この台詞というか挨拶というかも、今じゃ業種に関わらずすっかり定着してしまった。
企業に客から電話が掛かると、受ける側の第一声はこれから始まる。
当たり障りの無い、最もポピュラーなイントロだけれど
何処へ掛けても同じ台詞が返って来るので「企業の顔」がまるで見えないどころか
せっかくの美しい言葉が、これじゃ「ありがとう」の安売りだ。
おまけに用件の内容によっては、逆に不快感を与えかねない危険もある。
いったい、いつ頃から流行し始めたんだろう?
私の記憶と推測ではバブル期からじゃないだろうか。
右肩上がりの好景気と、ジャンジャン鳴り響く電話の音が
猫の手も借りたいほどの浮かれた気分にさせたような気がしてならない。
言わばバブルの名残、こんなものが今でも通用してるなんてね。
「お待たせ致しました、〇〇でございます」これでいいんじゃないのかしら。
求めてもいない(お世辞にも似た)妙な言葉を投げかけられるよりはよっぽどいい。
日頃コールセンターに従事している身の私ではあっても
正直言ってこの「お電話ありがとうございます」は好きではない。
20年ほど前だったろうか、この言葉を電話口で初めて聞いたとき
気持ちが悪かったのと、その会社が怪しい勧誘でもしてるんじゃないかと思ったくらいだ。
そして、その取って付けたような第一声で、会社の誠実さまで疑ってしまった記憶がある。
こう思うの、私だけなんでしょうかね?
朝でもないのに「おはようございます」
顔を合わせりゃ「おつかれさまです」
なんだか心の篭ってない言葉が人間界には氾濫してるんですね~
我が家の猫がそう申しております。
そう考えると、むやみに「ありがとうございます」を乱発する若者の姿も
あながち間違いとは言えなくなりそうで怖くなってくるのでありました。
けれど「ありがとう」は、与えられたことへの感謝の言葉。
決して挨拶や返答に使うものではありません。
お店に入った途端に「ありがとうございます!」なんて言われないでしょ。
やっぱり「いらっしゃいませ!」なんですから。
冒頭に「ありがとうございます」と言う電話の応対も、変な日本語だと思うのですよ。
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