2012年2月25日

朝まで待てない!

我慢できずに、アナログプレーヤーの上に積まれていた諸々の物を取り除き
埃がハラハラと降るのをものともせずにレコード盤が掛けられるようにしました。
かなり強引、休日の明日まで待てば掃除もできたのかも知れませんが
思い立ったらすぐ実行に移すのが、深夜のかずら元年なのであります。

DENONのMCカートリッジ、DL-103はさすがにくたびれているようなので
SHUREのM-97HEという、これまた骨董的に20年ほど放置してあった物と交換しました。
カンチレバーもダンパーも、たぶん耐用年数の限界を超えているんでしょうけど
案外と使えるもんですね、感心してます(笑)
音の輪郭が明快なSHUREのパチッ!というスクラッチ・ノイズ、気持ちいいですねぇ~
アナログの醍醐味ここにあり、て感じで楽しくなります。

アナログの時代は音楽を聴く上で避けて通れなかったノイズ音、
これがまた実に懐かしい風情なのです。と言うよりも、音楽の一部なんでしょうね。きっと。


最初に引っ張り出してみたのはリンゴ・スターの「BEAUCOUPS OF BLUES」
1970年にアップルから発売されたカントリー・ソングのカバーアルバム。
本場ナッシュビルの大御所ミュージシャンをバックにレコーディングされた物でしたが
発売当時は全くと言っていいほど売れなかったようです。
リンゴの歌はお世辞にも上手くはありませんが、
彼が好きだったカントリー・ナンバーを網羅したこのアルバムを
私はジャケット全体がコーティングされたUK盤(英国プレス)で持っていました。

そんなレア?な物をなぜ持っていたのかと言うと、
昔々勤めていた某レコード店に大量の在庫があり(千枚以上は有ったと記憶してます)
500円の売値でも一向に在庫が減らないことが不憫に思えて買ってしまったのです。
確かこの後は300円に値下げされた筈ですが、じゃあ何故千枚以上も在庫が有ったのかと言うと
その当時、海外のバイヤーから輸入盤を仕入れる時はタイプで打たれたリストが送られて来て
売れ筋や新譜を安くしてもらう代わりに、処分に困っている旧譜もセットで買わされたのです。
その貢献度が仕入れ価格に反映されるわけで、このリンゴの(売れ残り)アルバムも
無理やり押し付けられて大量に在庫を抱えてしまう羽目になったのです。

私も持っているだけで、敢えて「聴きたい」とは思ったことが無かったのですが
今こうして聴いてみると素朴な歌声が実に味わい深く感じられます。
ジェリー・リード、ピート・ドレイク、チャーリー・ダニエルズ、D.J.フォンタナによる演奏に支えられ
とても上機嫌で歌っているリンゴの姿を想像してしまいます。

いつも思うんですが、アナログ・ディスクの30Cm角というサイズは
写真やロゴ、デザインを含めて一番妥当な大きさだと今でも実感しています。
どんなに小さなフォントでも文字は全部読めますし
その文字の配置やデザインが絶妙なアートを醸し出してくれます。
これはCDのサイズでは絶対に表現できないものです。


裏ジャケをこんなふうにレイアウトしたり、


見開きジャケットの内側がこんなふうだったり、
歌詞やクレジットまで全部そのまま読むことができます。
レイアウトの自由性という点では、この30Cm角が限界でしょうね。
つまりは究極のアートと言えるわけで、当時は「ジャケ買い」が多かったことも頷けます。


お次はデイヴ・メイスンにキャス・エリオットが絡んだブルー・サム時代のアルバム、
ママス&パパスで鍛えぬいた彼女のコーラスが絶妙な一品です。
現在でもCDで購入できるようですが、前々からアナログで聴きたかった1枚でもあります。
それに何と言っても見開きジャケットの大きな写真がたまらない魅力です。
クレジットが無いので不確かですが、このモノクロで髪に風を当てる構図、
たぶんノーマン・シーフの手によるものじゃないかと思います。
数多くのジャケット写真を手掛けた彼の作品もまた、アナログ時代の象徴なのです。

それにしても・・
老朽したSHUREのボロボロなカートリッジも立派ですが
毎夜褒め称えているFE-103、アナログ盤も見事に再生してくれてます!(嬉)



2012年2月24日

「G」繋がり


すでにご承知の通り、私は優柔不断で一徹さに欠ける人間である。
飽きっぽい性格を見透かされないよう、切り替えの速さに置き換えたりもしながら
あちらこちらをつまみ食いしながら、しぶとく生きている。
それはある意味では堂々巡りとも言えるのだが、仮に元の鞘に納まったとしても
そこへ至るまでの過程が面白いのだし、もっともらしい理由付けを考えることも無駄ではないと
そう勝手に思い込んだまま60年近くを生き抜いてきたわけである。

前置きはさておき、Gibsonが自分にとっての原点だとツイートすると
友人から「あなたにはGuildが似合っている」と返って来た。
もちろん両方共、私の大好きなギターであることは間違いない。

GibsonとGuildは、マホガニーモデルに関してはとてもよく似た性格を持っている。
どちらも私好みの太くてウッディーな音で鳴ってくれるのだが
ザクザクとパーカッシブなGibsonに対して、Guildの方は倍音成分の艶が乗り
大音量でやや深く重い音になる傾向がある。けれど音離れはいい。
板厚が薄く軽いボディと相まって、スコーンとした抜けの良さが気持ちいいのだ。

とにかく音はバカでっかい。
コンパクトな音量のGibsonと比較すると倍くらいの音圧がある。
もしもPAを通さずに歌ったなら、たぶん声量が負けてしまうほどの音なので
私はセーブすることもなく一晩で喉を潰してしまうくらいの勢いで歌わなくてはならないだろう。
けれども「かずら元年」のスタイルを変えずにこのまま歌い続けるのだとしたなら
それも悪くはない選択なのだと思う。

私のことをよく分かっている男の言葉だ。
その返信を見て、よーしやってやろうじゃないかと喧嘩腰になってきた。
挑むよ。Guildを従えてガツーン!と行ってみるよ。
GibsonもGuildも元年も、どれもガッツ溢れる「G」繋がり。
おまけにGは私が好んで使うコードでもあるし、ジジイのGでもあったりする。
さあ、Gで行くよ!Gで!!


などとツラツラ書いている傍で流れているのはJ.T
ローズウッド・サドルのJ-50、いい音してるなあと感心しきり。
今宵もFE-103と共に夜は更け行く。
外は春の匂いをいっぱいに纏った雨が降りしきっている。



2012年2月23日

ラジオ・モニターがあった時代の音楽ですから


70年代のアルバムはどれも、音がぎっしりと詰め込まれてなくて
楽器間の隙間だらけの、その音の空間が大好きなんです。
そこの部分に人間の息遣いや感情を感じるのでありまして
隙間を埋めて包み込むような歌声が、なんともいえず心に沁み入ります。

FE-103で聴く今夜のハーヴェストもいいですね。
スピーカーの持つ控えめな音質のせいか、
「A MAN NEEDS A MAID」のストリングスも大袈裟に聴こえません。
そして名曲「HEART OF GOLD」のシンプルなリズム、
私が抱くドラムの理想の音は、未だにこれが基本になってるくらい好きなんですが
それが一番いい状態で耳に入って来ます。
改めて・・恐るべし、103!!(しかもボロボロの年代物)
ゆるゆると音楽に浸るときには欠かせないですね。


昨夜掛けていたバッファロー・スプリング・フィールドも実に良かったです。
昔、JBLの4311で聴いていた頃の印象とは大きく異なり
原盤のATCOレコードが意図していたサウンドがようやく分かったような気がしています。
音が厚く中域を重視したこの時代の音作りは
その当時の民生用オーディオ機器の非力な再生能力を補うためと
帯域が極端に狭いAMラジオやカー・ラジオで聴くリスナー向けだったんでしょうね。
レコーディング・スタジオにはオーラトーンの5Cなど「ラジオ・モニター」も有ったくらいで、
最終のミックスダウンはラジオでも良い音が出るように行われていました。
これらを「いまどき」のオーディオで掛けても、いい音がするわけないんです。

たとえ音質は劣悪でも
AMラジオやお店の有線放送、はたまた商店街でふと耳にするこの時代の音楽。
それがとても素敵に聴こえるのも、同じ理由からなんだと思います。
ハイファイばかりがいい音ではない(場合も)あるのですよ。



2012年2月22日

ギターもスピーカーも、楽器なのです。


行ったり来たりを繰り返しながら
人は再び同じ場所へと戻って来るのでありまして
その瞬間の懐かしい匂いがとても愛おしくなるものです。

ザクザクとパーカッシブな音を刻むには
やはりこのギターでなければなりません。
そう気付いた今夜の私でありますが、これもおそらく
FE-103が奏でるアナログ・サウンドを彷彿とさせる音に毎夜浸っているからでしょう。

「良い音」とは、決して響きがよくて美しいものだけとは限りません。
たとえレンジが狭く、さほどのサスティーンを感じさせないものだとしても
その人、その歌には、それが一番よく似合うことだってあるのです。
所詮は好みの世界、オールマイティーである必要は無いんですからね。
ちっぽけな図体のFE-103が、それを教えてくれたような気がします。


そんなわけで、今宵も70年代の音に浸りきっているのです。
音楽は中域重視、この時代のどのアルバムからも
意図するサウンド・ポリシーが伝わって来ます。

そろそろ手持ちのCDは全て聴き終えてしまいそうです。
早くアナログ・プレーヤーを手入れして、レコード盤が掛けられるようにしなければ
聴くものが無くなってしまうどころか、すぐにでも聴きたいアルバムを見つめるだけになってしまいます。

ディスクはバッファロー・スプリング・フィールドに変わりました。
60年代の(もっこりした)ATCOレーベルの音、気持ち良く鳴ってくれてます。
たぶんレンジを広げた最近のスピーカーでは、この雰囲気は楽しめないでしょうね。
それどころか、粗が目立って聞き苦しく感じるかも知れません。
けれども私が好んで聴くアルバムは全て60~70年代にかけてのもの。
レンジの狭い音がちょうど良いのです。

今、スティルスの「BLUEBIRD」が掛かっています。
ええ音じゃあ~♪




2012年2月21日

薀蓄を語る


今宵もまたFE-103のチープな音を楽しんでおります。
70年代の音楽を聴くにはJBLかALTEC、はたまたFostexのいずれかでなければ!
そう頑なに思うようになってしまいました。

昨夜のJ.J.CALEとの相性にも素晴らしいものがありましたが、
72年にジョン・サイモンのプロデュースで作られたこのアルバムも抜群の音質で鳴ってくれます。
まるでウッドストックの空気が伝わって来るようです。
代表曲である「スモール・タウン・トーク」は文句なしの名曲ですが、
今まであまり興味を示すことがなかった曲も素敵な雰囲気に包まれていることに
改めて気付かされるあたりがFE-103のおかげなのかも知れませんね。

とにもかくにも、フルレンジ1発が醸し出す音は
多少レンジが狭かろうが、上から下までどの帯域もとてもスムーズです。
2発3発のユニットを繋げた時のクロスする帯域のピークやディップが無いからでしょうね。
特にこの10Cmという非力に感じてしまうほどの小口径が実にいい!
大昔に20Cmのユニットを1発で鳴らしたことがありますが、
口径がデカイだけあって中高域はツイーターを追加しないと篭った音になってしまいました。
その点、10Cmという小ささは周波数特性的には有利に働くのでして
妙に強調されるところも無くフラットな特性のまま鳴ってくれるのです。

FE-103についてあれこれ想いを馳せているうちに
その昔、奇抜なアイディアで名作を多数世にだした長岡鉄男氏が設計した作品の中から
バックロードホーンを横向きにした形状のスパイラルホーンを思い出しました。
内部の構造はこんな感じです。


横に渦巻いているので当然箱の厚みは薄くなり、バッフル面が広くなります。
これを天井近くの高い位置にセットして、部屋そのものがホーンの延長となるように
そんなアイディアから生まれた形状なのです。
私の部屋、床に関してはかなり手狭になってますから、これを作ってみたくなりました。
旧い家なので、長押から天井までは60Cmほどの十分なクリアランスがあります。
長押に乗せる形で壁面に固定すれば吊り下げよりも良い結果が得られそうなので
昔のスタジオ・モニターみたいに高い位置にセットしてみようかなと。
さすがにこれのキットは無さそうなので、ラワン合板を切って自作するか
どなたかがヤフオクで売りに出しているのを見つけるしかないですけどね。


ディスクはライ・クーダーの「紫の峡谷」に変わっておりますが、
ライが弾くスライドの音が生々しくてびっくりします。
ちょっと歪ませたギターのリフも、とてもリアルに聴こえてついニヤッとしてしまいそう。
飲みながら聴くには最高です。



2012年2月20日

続・FE-103


わずか10Cm口径のフルレンジ、FE-103で聴く音楽はどれも楽しいです。
アコースティック楽器と声の帯域が、癖が無くて特にいいですね。
昨晩の予告通り今宵はジャック・エリオットを堪能しております。

あまりの楽しさから、暖かくなったら部屋の配置換えを敢行して
埃まみれになってるアナログ・プレーヤーを手入れしてあげて
わずかに残ったレコード盤も聴けるようにしようかと思っております。
この音、アナログ・ディスクの方がもっと楽しそう!

ただ、10個くらいある手持ちのカートリッジはMMもMCも
どれも10年から20年前の旧い物なのでまともにトレースできないでしょうから
音が太くて安いSHUREのM44Gあたりを1本買おうかしらと思っていたら・・
ちょっと胸騒ぎのするモデルを見つけてしまいました。
しかも実勢価格¥2200と、交換針より遥かに安い!


オルトフォンのオメガというMMカートリッジであります。
適正針圧1.75g、出力電圧4mVと、DJ用に比べると扱い易そうな数値でして
ヘッドシェルにマウントするとこんな風貌です。


私の本来の好みは無骨なほどに四角い箱型のボディなんですが
これ、針先も見え易くて視力の衰えた身には良いかも知れませんからね。
FE-103には癖の少ない音質のカートリッジの方が良さそうな気がするので
ドンシャリ感の大きなSHUREよりも合うと思います、たぶん。

ディスクは替わり、J.J.CALEの「ナチュラリー」
なんだかアナログ盤を掛けてるような錯覚に陥る音質です。
懐かしい!そして楽しい!!
しばらくは(旧式)オーディオにハマリそうな感じの今日この頃。

ちなみに今聴いてるこのディスク、かなり昔に購入したCDなんですが
「ナチュラリー」と「リアリー」初期LP2枚が1枚にパッケージされたお得盤。
ノン・ストップで一番好きなアルバムが2枚ともいっぺんに聴けるわけでして
これもまた楽しさを増幅させる一因でもあるのです。



2012年2月19日

FE-103バンザイ!

ふと思い立ち、ずっと使っていなかったプリメイン・アンプをコンセントに繋ぎ
埃を掃ってから恐る恐る電源スイッチを入れてみました。
なんたって5年くらい前にハード・オフで五千円で購入したジャンク物、
それを更にほったらかしていたわけなのですからね。
けれどそんな不安をよそに、リレーもきっちり作動して無事電源が入りました。
心配していたボリュームやスイッチ類のガリも全く無かったのは驚きです。
ハード・オフのジャンクの中では当たり物だったんでしょうかね。

ちなみにこのアンプ、テクニクスのSU-A900というMOSクラスAA回路を持つ一品でして
音の線が細くならず、なかなかに深みのある音色なのですよ。
真空管アンプの感触に近づけるため、長年擬似A級動作を研究してきた同社の傑作かも知れません。
MCカートリッジ用のヘッドアンプが搭載されてるのも美味しいところですが、
(これまたほったらかしの)アナログ・プレーヤーの手入れには時間が掛かるので
今夜は断念してCDプレーヤーを繋いでの音出しです。
それも、敢えてこんなチープなスピーカーで。


これもジャンクで二千円だったFostexのFE-103という10Cmのフルレンジがマウントされた箱。
本来のモニタースピーカーには目もくれず、今夜はこれを鳴らしたい気分になったのです。
さすがに10Cmの小さなユニット、バスレフではあっても低域は細くなってしまいます。
けれど1発というのは定位感が抜群に良くて、小音量で聴くにはとてもいいんですよね。
特にFostexのユニットは篭った感じが無く、音抜けが良いのも好きなところです。
このジャンクのスピーカー、コーンやエッジを見る限り30年以上は経過してるんでしょうけど
今も衰えることなく元気に勇ましく鳴ってくれてます。
この音に浸っていると、10Cmをマウントしたバックロードホーンもいいかも知れませんね。


ディランを2枚掛けた後、今はブルーノートの名盤「サムシン・エルス」を聴いていますが
マイルス・デイヴィスのミュートしたトランペットの音がすうーっと抜けて
ハンク・ジョーンズの厚いピアノが埋もれずに聴こえて来るのが快感ですなあ。
いやあ、実にいい。FE-103バンザイ!な気分です。

キーボードを叩いていて、なんだか人差し指が痛いなあと思って見てみると
第一関節の辺りから血が滲んでいました。
どうやらアンプのケーブルを引っ張り出す時に粗目状の壁面と擦れたようです。
何かに夢中になってると、怪我をしてても気付かないものなんですよねぇ(笑)